①人と接しているときは、その相手の人権にも接している
②自分自身が人権もつ当事者である
という二つのことを認識することが大切じゃ。
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前回は、企業が「人権」に取り組むようになってきた背景と目的について勉強しました。国連が2011年に「ビジネスと人権に関する指導原則」というものを出したことが、企業に人権への取組みを求めるきっかけになったんですよね。
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よく覚えておるな。そのとおりじゃ。その「指導原則」について簡単に解説しよう。「指導原則」が企業に求めている取組みの3本柱は「①人権方針の策定」、「②人権デューディリジェンス(人権DD)」、「③苦情処理メカニズム」じゃ。
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え~と、まず、人権に対する方針を立てて(①)、人権DD(②)??、そして苦情を受けて対応する仕組をつくりなさい(③)、ということでしょうか。
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①と③はそういうことじゃ。人権DDとは、事業を営むなかで社内や社会に与えるかもしれない“人権への負の影響”を調査・特定し、それらの発生を予防したり、発生した問題に適切に対処する仕組みのことじゃ。そしてその実施した対策についてしっかりと外部に開示することも求められておる。
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そういうことだったんですね。企業が取り組まなければならないことはわかったんですけど、三菱電機はちゃんとこの指導原則に対応しているんですか。
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もちろんじゃ。三菱電機は人権に対する方針を立てて(①)、人権インパクト・アセスメントなど人権DDに関する取組みや情報開示を行い(②)、苦情に対する仕組み(③)も作っておるぞ。このあたりはサステナビリティレポートに詳しく載っておる。
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そうでしたか。。。私の周りにはそのような仕事をしていそうな人がいないので、ちょっと遠い世界です。
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そんなことはないぞ。企業活動に関係した人権の問題は、たくさんあり、実は既に社内の多くの部署が対応しておるぞ。
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例えば、「職場の人権」については、人事部が従業員に対してハラスメントやダイバーシティについての研修をしたり、各拠点の安全衛生委員会では労使が一体となって労働災害を防止する取組みを進めておる。
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そういえば、資材部が「サプライチェーンの人権」のために強制労働や児童労働をしないよう取引先に要請したり、取引先の取組状況を確認しているということを聞きました。
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全国の製作所で有害物質の管理を徹底しているのは、「地域社会の人権」を守ることにつながるし、営業部門が顧客の個人情報の管理を徹底するのも「消費者の人権」を守ることに役立っておるんじゃ。
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確かに言われてみると、会社の中の多くの仕事が人権を守ることに関係していて、これらは人権DD(②)の「人権への負の影響の是正、防止、軽減の仕組みづくり」(図1の赤枠)なんですね。
三菱電機グループが企業として人権に取り組んでいることは理解できたんですけど、先程挙げられたような仕事に直接関係しない、たとえば私のような担当者にも何かできることはありますか?
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とてもいい質問じゃ。従業員一人ひとり、だれもができて、だれもがしなければならない、大切な人権の取組みがあるぞ。これじゃ。
再生時間:1分39秒
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上野さんのお話し、わかりやす~い! とっても簡単! 「人権」って、とても身近な問題なんだなって、気付かされました。「私たちの取組み」、すぐに実践します!
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そうじゃ。身近な問題だからこそ、常に、ず~っと意識し続けることが大切なんじゃ。ミジカく(短く)終わらせてはいかんぞ。
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博士、、、寒い!? 。😊
人権の尊重の取組
三菱電機グループでは、「人権の尊重に関する方針」に基づき、「あらゆる人の尊重」をマテリアリティ(重要課題)として以下の取組を進めています。
◆人権インパクト・アセスメント
三菱電機グループでは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」が求める人権デューディリジェンスの一環として、定期的に「人権インパクト・アセスメント」を実施し、三菱電機グループの企業活動における人権への影響を評価しています。
◆従業員の人権に関する取組
従業員の人権を尊重するとともに、ダイバーシティの取組、働きやすい職場環境の整備、労働安全衛生と心身の健康確保などの取組を行い、すべての従業員がいきいきと働ける職場環境を実現していきます。
◆サプライチェーンにおける人権の取組、RBA への加盟
サプライヤーに対して、「人権を含む社会課題への取組に関する同意書」の取得を2018年度から継続して行っています。また、当社グループの人権の取組の客観性・透明性を高めるため2022年2月にグローバルサプライチェーンにおいて社会的責任を推進する企業同盟であるResponsible Business Alliance(以下RBA)に加盟しました。今後はグローバル基準であるRBA行動規範と自社の取組を整合させ、サステナビリティの取組の継続的な改善を進めてまいります。
◆英国現代奴隷法、豪州現代奴隷法への対応
2016年度、英国子会社のMitsubishi Electric Europe B.V.とMitsubishi Electric Air Conditioning Systems Europe Ltd.において、強制労働、人身取引等「現代の奴隷」の根絶を目的として制定された英国現代奴隷法へ対応し、声明を発表の上、毎年度内容を更新し、開示しています。
◆個人情報保護の対応
三菱電機グループは、重要な人権であるプライバシー権を尊重しながら個人情報の有用性とバランスを図るため、OECDプライバシーガイドラインに規定された8原則をベースとしたルールに準じて個人情報保護の取組を推進しています。
◆教育
三菱電機は、国内外の関係会社を含めた従業員を対象に、人権に関するテーマを含めたサステナビリティに関するeラーニングを実施しています。また、役員に対するコンプライアンスセミナーや、新任の管理職、新入社員等を対象とした人権についての研修も継続的に実施しています。
◆苦情処理メカニズム
三菱電機グループでは、様々なステークホルダーの皆様からのお問い合わせに対する窓口を複数設置し、これらの窓口を通じて人権に関する相談も受け付けています。
◆社外との対話
三菱電機グループの人権課題への取組を実効性のあるものとするため、有識者や人権NGO等と対話し、人権の取組に関してのアドバイスをいただいています。