各事業所で、生きもの調査から
始まる自然との共生を推進

近隣の海や山とのつながりに配慮した取組みを継続

長崎地区

長崎地区の事業所がある時津町は、自然豊かな環境に恵まれています。長崎県の生物多様性保全計画で重要な取組み対象となっている内海「大村湾」に面しており、敷地内にはその水域へつながる水路が流れています。周囲は山々に囲まれており、水生生物・陸生生物など、様々な生きものを敷地内で観察することができます。こうした周辺環境とのつながりを大切にし、水路の環境維持や野外教室の開催、外来種の抑制など、自然との共生に向けた取組みを積極的に展開しています。

事業所所在地

〒851-2102 長崎県西彼杵郡時津町浜田郷517番地7

主な取扱製品

車両空調機器、非常用発電設備、可動式ホームドア

主な取組みテーマ
  • 事業所敷地内および周辺地域で生きもの調査を実施、結果を地域行政と共有 [A-2-(1)] [A-2-(3)] [B-4-(5)]
  • 敷地内で確認できた生きものを周知 [A-2-(2)] [C-7-(1)]
  • 敷地内で確認された特定外来種を駆除 [A-1-(2)]

[ ] 内は取組みテーマの分類を示します。詳細については以下を参照ください。

長崎地区の活動の方向性

取組みの特徴
  • 周辺地域でも生きもの調査を実施。確認された生きものについては地域行政に報告
  • 生きもの調査結果を独自の「生きもの図鑑」や看板などで従業員や見学者に周知
本編
資料編

長崎地区の活動テーマ

外来種管理の取組みを継続

長崎地区では、2015年に生きもの調査を実施し、約250種の生物が確認され、多様な自然が広がっていることが明らかになりましたが、環境省が指定する「特定外来生物」であるナルトサワギクの分布も確認されました。

このため、年に2回程度、敷地内を巡回して調査・駆除を実施しており、確認された株の数は減少傾向にありますが、野鳥などによって種が運ばれることがあるため、依然として数株が発見されています。2024年度には、敷地内の水路周辺を中心に計10株が確認され、推奨される方法に基づき適切に駆除を行いました。

また、敷地内では特定外来生物に指定されていない外来種も見られるため、それらへの対策も検討を進めています。

※特定外来生物:「外来生物(海外起源の外来種)であって、生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼすもの、又は及ぼすおそれがあるもの」
(出典:環境省ホームページ)
https://www.env.go.jp/nature/intro/
1law/outline.html 新しいウィンドウが開きます

ナルトサワギクナルトサワギク

従業員が構内の植物をチェック従業員が構内の植物をチェック

敷地内を流れる水路の環境維持

長崎地区では、大村湾に流れ込む雨水排水用の水路が敷地内を横断しています。この水路は、当地区の環境保全活動における象徴的な場所となっており、これまでの調査で希少な生物が確認されています。

こうした貴重な生態系を保全するため、水路の脇には確認された生きものや当地区の取組みを紹介する案内板を設置し、従業員への啓発や地域住民への情報発信に活用しています。

敷地内を流れる水路敷地内を流れる水路

水路の脇に設置した案内板水路の脇に設置した案内板

コゲツノブエガイ

ニホンウナギ

敷地内の水路には希少種「コゲツノブエガイ」(環境省「第四次レッドリスト」絶滅危惧種Ⅱ類)や、近年数を減らしているといわれる「ニホンウナギ」も

野外教室を通じた環境マインドの育成

従業員とその子どもたちが交流しながら自然観察従業員とその子どもたちが交流しながら自然観察

参加者の集合写真参加者の集合写真

2023年10月、事業所近くの「崎野自然公園」において、「みつびしでんき野外教室」を実施しました。「五感を使って自然を感じよう」をテーマとした今回は、時津地区および丸尾地区のグループ従業員とその親子41名が参加し、自然観察や生きもの探しのほか、草スキーやチューリップ・ユリの球根植えなどのアクティビティを行いました。子どもたちは、ルーペで植物を観察したり、スコップで土を掘り返して生きものを探したりと、自然に積極的に触れ合っていました。また、親子で発見を共有し合う姿も多く見られ、楽しみながら自然について学ぶ貴重なイベントとなりました。

長崎地区では、この野外教室をはじめ、子どもたちを中心とした地域の方々との交流機会を定期的に設ける計画で、これからも環境マインドの育成に貢献していきます。

生物多様性保全に向けた取組みを継続

長崎地区の担当者長崎地区の担当者

長崎地区では、環境省「自然共生サイト」への登録を目指し、生物多様性保全に向けた取組みを継続していきます。今後は定期的な生きもの調査を実施するとともに、ビオトープの設置なども計画しており、活動の幅を広げていきます。

長崎地区は周辺を山と海に囲まれ、かつ敷地内に川が流れているなど、自然豊かな土地柄であり、生態系への影響が大きい事業所です。地域や事業所内の生物多様性保全への意識を高めながら、活動を進化させていきます。

※環境省「自然共生サイト」:
https://policies.env.go.jp/nature/biodiversity/
30by30alliance/kyousei/新しいウィンドウが開きます

マネジメントの声

社内の意識を高めることで、活動を強化していきます。

以前、私が製造部に所属していた頃は、「環境保全」といえば製品による環境負荷低減が取組みの中心であり、事業所内の自然や生物多様性の保全という側面には目が向いていませんでした。しかし、工場長となって所内全体をマネジメントする立場となり、この豊かな自然のなかにある事業所で生態系を保全していくことの重要性を改めて認識しました。

今後、当地区も自然共生サイトへの登録を目指しており、さらに取組みの強化が必要です。まずは社員の意識を高めていきたいと考えています。自然豊かな土地柄で活動する私たちだからこそ、環境保全や生物多様性への意識をさらに高め、活動をより強く進めていきたいと考えています。

長崎工場 工場長 湯淺 裕行(写真中央)

活動を推進できるサイクルの確立に取り組みます。

環境活動を続けていく上では現状を把握することが重要ですが、長崎地区では様々な事情からこれまで十分に生きもの調査を実施できていませんでした。そこで、改めてしっかりと調査を行い、その結果を活動に落とし込み、社内へ周知することで活動をさらに浸透させていく、というサイクルを確立したいと考えています。また、活動の拡充に向けて、他拠点との情報交換や事例調査の機会を積極的につくっていくことも私の役割だと認識しています。

当地区の環境担当者からはビオトープ設置の提案も受けていますし、マネジメントする立場として、活動をしっかりとバックアップしていきたいと思っています。

長崎地区 生産システム部 次長 小川 達也(写真左)

従業員が興味を持って参加できる土壌をつくっていきたい。

環境活動は、現場で働く従業員にとっては、なかなか関心を持ちづらいテーマです。ただ、業務の効率化や製品の軽量化、紙・ごみの削減といったことも含めて、私たちの活動は、すべて環境負荷の低減や生物多様性の保全につながるものです。

私の立場としてはそのことを従業員一人ひとりが認識できるように働きかけていくことだと思っています。何か特別なことをするということではなく、日々の業務と環境のつながりを知り、生態系保全の取組みにも多くの従業員が興味を持って参加してくれることを期待しています。

長崎地区 生産システム部 副課長 髙平 淳也(写真右)

(2025年6月取材)

担当者の声

生物多様性への理解を、従業員全員へ浸透させていきたいです。

私はこれまで、環境保全といえば「工場排水などによる環境への被害を防止する」ことといった考えを持っていました。しかし、活動の担当者となって以降は、より生態系の保全を目指す方向へと考えが変わってきています。

今後は、この考えを長崎地区で働く従業員の全員に浸透させていきたいです。一人ひとりが地域の環境やそこに生息する生物について理解を深めることができれば、豊かな自然との共生も進むだろうと期待しています。

長崎地区 生産システム部 環境施設チーム 主任 小野 裕樹(写真左)

活動の「見える化」と「アピール」に取り組みます。

今後は、環境活動の「見える化」と「アピール」をテーマに、取組みを推進していきます。ビオトープの整備や植物の解説表示など、目に見える形の活動を進めるとともに、Webサイトなどを通じて情報を発信していきたいです。

また、私たちの部門だけではなく、他の部門や地域住民の方々も積極的に巻き込み、活動の輪を広げることにもチャレンジしていこうと考えています。

長崎地区 生産システム部 環境施設チーム 松林 雄樹(写真右)

(2025年6月取材)

フォトギャラリー