各事業所で、生きもの調査から
始まる自然との共生を推進

周囲の自然環境との調和を目指して

名古屋製作所(尾張旭工場)

名古屋製作所尾張旭工場は、サーボモータの生産工場として、2025年7月に稼働を開始しました。最新技術を駆使した最先端のモノづくりを行うだけでなく、環境保全活動も事業活動と一体のものとして積極的に取り組んでいます。活動の推進にあたっては、もともと水田があった地域に立地していることから、「周囲の自然環境との調和」をテーマとしています。

こうした活動の一つとして、構内にビオトープを造成し、周辺地域に生息する生きものの呼び込みを目指しています。今後は、工場の稼働率の上昇とともに、ここで働く従業員も増加していく見込みです。従業員の参加も促すことで、活動の幅を広げていきます。

事業所所在地

〒488-0054 愛知県尾張旭市稲葉町五丁目1番地1

主な取扱製品(名古屋製作所)

シーケンサー(PLC)、表示器、インバーター、ACサーボシステム、三相モーター、産業用・協働ロボット、電磁クラッチ・ブレーキ、テンションコントローラー、配電用変圧器、FAセンサー、FAプラットフォーム、e-F@ctoryビジネス、FAアプリケーションパッケージ、産業用ソフトウエア

主な取組みテーマ
  • 周辺環境と調和するビオトープを造成 [A-1-(1)] [A-1-(2)] [A-2-(2)] [B-4-(1)] [B-4-(2)] [B-4-(3)] [B-4-(4)] [B-5-(2)]
  • 構内の外来種を把握・管理 [A-1-(2)]

[ ] 内は取組みテーマの分類を示します。詳細については以下を参照ください。

名古屋製作所(尾張旭工場)の活動の方向性

取組みの特徴
  • 周辺環境との調和を意識

名古屋製作所(尾張旭工場)の活動テーマ

周辺環境との調和と生物多様性の保全を目指し、
ビオトープを造成

周辺環境との調和と生物多様性の保全を目指し、ビオトープを造成

ビオトープの周囲には法面を設け、格子状の柵で囲んでいるビオトープの周囲には法面を設け、格子状の柵で囲んでいる

尾張旭工場の周辺には、多くの水田が広がっています。さらに、工場の南側には矢田川が流れているほか、北には愛知県立森林公園があるなど、水環境・緑環境が豊富な地域です。こうした立地条件に加え、もともと水田があった区域に工場を建設した経緯もあり、環境保全に配慮した活動を行っています。

また、愛知県では、開発の際に自然への影響を回避・最小化・代償するため、「あいちミティゲーション」という独自の制度を設けています。

このため、工場周辺の自然環境との調和を目指し、工場建設に合わせて構内にビオトープを造成しました。

同工場のビオトープは、上池から下池へ水が流れる構造としています。また、雨水を貯留するための調整池に隣接しており、大雨などでビオトープの水量が増えたときには調整池へ水が流れます。ビオトープと調整池を一体とした構造により、藻が繁殖するのを防ぐとともに、自然の湿地に近い水かさを保っています。また、周囲を壁ではなく柵で囲み、法面を設けているほか、周辺の敷地には生きものの住処となる植物を植えるなど、周辺地域に生息する野生の生きものが出入りしやすくなるような工夫もしています。

これまでに、周辺地域から入り込んできたと見られる生きものの生息が確認されています。今後は、ナゴヤダルマガエルなど地域固有の希少種も呼び込めるよう、環境の維持・改善を続けていきます。

上池と下池からなるビオトープ

ビオトープと水路でつながる調整池

上池と下池からなるビオトープ(左)と、そこから水路でつながる調整池(右) 上池と下池からなるビオトープ(上)と、そこから水路でつながる調整池(下)

ビオトープ内で確認されたカエル

ビオトープ内で確認されたヤゴ

ビオトープ内で確認されたカエル(左)とヤゴ(右) ビオトープ内で確認されたカエル(上)とヤゴ(下)

飛翔生物を観測するカメラ(通称:トンボカメラ)飛翔生物を観測するカメラ(通称:トンボカメラ)

カメラで観測されたトンボカメラで観測されたトンボ

最先端の工場を目指して

構内には緑地帯を設け、在来種を中心に植物を育成構内には緑地帯を設け、在来種を中心に植物を育成

太陽光発電などのCO2フリー電力を100%使用太陽光発電などのCO2フリー電力を100%使用

尾張旭工場は、三菱電機のFA制御システム製品の生産工場です。2025年7月に生産稼働を開始した直後であるものの、品質と生産性を高いレベルで両立しています。また、CO2フリー電力を100%使用しているほか、自社のFA統合ソリューション「e-F@ctory」を活用したエネルギー監視システムを導入するなど、「モノづくり」と「サステナビリティ活動」の両面から、最先端の工場を目指しています。

生物多様性保全活動においては、生物多様性を実現し、それを自発的に維持・保全できる組織であることを「あるべき姿」として定めています。そのうえで「工場における観測生物種数/周辺環境の観測生物種数」や「従業員の生物多様性への関心度」などの具体目標を設定し、継続的な活動計画の策定に着手しています。

生物多様性の実現度を可視化しながら取組みを発展させていくことで、将来的には自然共生サイトの認定も目標にしていきます。

FA(ファクトリーオートメーション)制御システム:工場内の生産工程を自動化するためのシステムや技術の総称

担当者の声

従業員が参加する活動へと発展させていくことが必要です。

尾張旭工場での生物多様性保全活動はまだ始まったばかりですので、少しずつ強化していく計画です。そのためには、担当部署内で完結するのではなく、多くの従業員が参加する活動へと発展させていくことが最も重要だと考えています。一方で、こうした活動は、事業活動とはかけ離れたものと捉えられがちで、興味を持ってもらうことの難しさも感じています。

今後は、社内のイントラサイトなどでの情報発信を継続することで、生物多様性保全活動に興味を持つ従業員を少しずつ増やしていければと考えています。

生産システム推進部 環境推進課 岩田 良美
(座っている写真左から2人目)

社外との連携も検討し、活動の幅を広げていきたいです。

ビオトープの造成以降、これまでにさまざまな種類の生きものを確認しており、活動の方向性に間違いはなかったと手ごたえを感じています。ただ、ナゴヤダルマガエルをはじめとする希少種は確認できていませんし、外来種の駆除なども進めていかなければなりません。今後は、外部専門家などの協力を得て生きもの調査を実施するなど、社外の団体との連携も検討しながら、活動を強化していきたいと考えています。

また、活動の情報を積極的に発信していくことも、私の役割です。そうして活動を続けることで、いずれは工場内にとどまらず、尾張旭市の生態系にも関心を持ってもらえればと思っています。

生産システム推進部 環境推進課 吉岡 雄三
(座っている写真右)

尾張旭工場の取組みを参考に、製作所全体の活動強化につなげていきます。

名古屋製作所と産業メカトロニクス製作所全体での生物多様性保全活動を発展させていく計画について、従業員の意見を取り入れながら立案中ですが、活動への認知をどのように広げるかが課題になっています。尾張旭工場の取組みは当製作所における先行事例ともいえますので、これをヒントに活動そのものを強化するのはもちろん、従業員の関心拡大にもつなげていきたいと考えています。今後は名古屋製作所内の拠点どうしで情報交換をしながら、活動情報の発信強化やイベントの開催など、従業員が参加したくなる様々な施策を打っていこうと思います。

総務部 総務課 大﨑 徹
(座っている写真左)

(2025年11月取材)

マネジメントの声

ビオトープをきっかけに、様々な施策を検討していきます。

一般的に、「企業活動」と「環境貢献活動」はトレードオフの関係にあると考えられがちです。そのため、企業の利益につながりづらい環境貢献活動に対しては、従業員がモチベーションを持ちづらい側面があります。しかし、私たちにとって自然環境との共生は、より良い未来をつくるうえで不可欠であり、サステナビリティ実現への要請を背景に社会からの関心も一段と高まっています。そのことを従業員全員が自然に理解し、省エネや廃棄物抑制などの環境負荷抑制に前向きに取り組めるよう、ビオトープをきっかけとして様々な施策を考えていこうと思っています。また、工場のある愛知県や尾張旭市など行政との連携も視野に、長期的に活動の強化を進めていきたいです。

生産システム推進部 環境推進課長 紀平 康裕

(2025年11月取材)

名古屋製作所(尾張旭工場)の活動の方向性

以下は三菱電機グループの各事業所による生物多様性保全活動の方向性を示した一覧表です。
名古屋製作所(尾張旭工場)の活動がどの方向性に当てはまるのかを、色で示しています。

活動の方向性
  • A 生きものへの
    負の影響を低減する
  • 1.「開発圧※1」「外来種圧※2」の抑制  ※3
  • (1)生きものに対する影響把握
  • (2)外来種管理
  • 2.「希少種」「固有種」への注意喚起と保全
  • (1)構内生物リストの公開
  • (2)希少種、固有種の保全
  • (3)周辺の保全課題への協力
  • 3.農薬影響の管理や、緑地・天然資源の保全
  • (1)生きもの殺傷の抑制
  • (2)水や土壌等の天然資源への配慮
  • B 生きものとの
    より豊かな共生を目指す
  • 4.機能緑地の設定
  • (1)緑地管理の体制
  • (2)飛翔性生物の利用地の整備
  • (3)「みどり+生きもの」優先地の整備
  • (4)事業所周辺への「みどりの連続性」の提供
  • (5)事務所周辺の生物多様性保全活動への貢献
  • 5.緑地の単純化、特定化など、産業的志向からの
    脱却
  • (1)植生の多様化・多層化
  • (2)植物などの特性に合致した緑地管理
  • (3)地域への貢献・配慮
  • C 働く中で社員が
    自然との関係を取り戻す
  • 6.生態系サービスの職場での積極的享受
    (休憩所、フロア)
  • (1)文化的サービスの享受・場づくり
  • (2)供給サービスの享受・場づくり
  • 7.「無関心」「無関係」状態から、
    「全員が関係ある」状態へ
  • (1)理解と行動促進の教育
  • (2)職場・業務での関係創出

※1開発圧:棲みかの破壊。事業拠点を新たに建設することや、天然資源の採取などのために開発が行われること(サプライチェーンでの開発を含めて)、などが該当。操業による水の使用が周辺地域や水源、ひいては生きものの生息環境に影響を与える場合などもこれに含まれると考えられる。

※2外来種圧:その地域にもともと存在しない生きものが、外構や建物の脇の緑地、生垣などをつくる際に地域の外から樹木や草木を導入することがある。何気なく行われる生きものの移動が、地域固有の種の生息を脅かしたり、遺伝的な汚染の原因となることがある。

※3外来生物法の「特定外来生物の飼育、栽培、保管又は運搬」に関する規定に則り活動を実施。