Factory Automation

情熱ボイス

情熱ボイス【e-F@ctory篇】IoTを活用した、ものづくりの革新e-F@ctory。
これからのものづくりを担う
トータルソリューション企業として

2017年3月公開【全3回】

第2回 “挑戦” MESインタフェースユニットからソリューションへ

 名古屋製作所 e-F@ctory推進プロジェクトグループで e-F@ctory推進グループマネージャーを務める石田誠は、MESインタフェースユニットが登場した時期、本社のFAシステム事業本部で主に自動車メーカー向けのFA機器の営業を担当していた。2008年からは米国のMitsubishi Electric Automationに赴任し、現地の自動車メーカーを担当することになる。

 石田は、同じ自動車メーカーでも、日本と米国では生産システム構築の進め方が大きく異なることを実感する。
「日本では自動車メーカーの生産技術担当の技術力が高く、現場を熟知しているので、彼らに対して当社のFA機器の機種毎の利点やソリューションをアピールすればいい。しかし、米国では生産設備の更新は、設備メーカー任せになる部分が多い。当社のFA機器の利点をアピールしても、『欧米のメーカーと何が違うのか』という話になるんです」

 そんなときに役立ったのが、e-F@ctoryというコンセプトだった。

 「三菱電機はFA機器単体を提供しているのではなく、e-F@ctoryというコンセプトを基に、お客様の悩みを解決するトータルソリューションを提供しているのだと説明すると、お客様もよく理解してくれたのです」

 そして現場の機器について詳しく知ることのない生産管理の担当者も、「MESインタフェースユニットを活用すればITとFAをつなぎ、簡単に現場のデータを収集できる」ことを理解し、高く評価してくれた。

 当時は後にe-F@ctory事業を推進する立場になるとは露とも思わなかった石田だが、2012年に名古屋製作所へ異動。2015年からは、新たに発足したe-F@ctory推進プロジェクトグループの技術とりまとめ役としてe-F@ctoryの普及促進にどっぷり浸かっていくこととなる。

FA機器単体の販売では生き残れない

 MESインタフェースユニットは、e-F@ctoryを体現する製品として、e-F@ctoryという言葉の普及に大きく貢献した。しかし、それだけに社内外で「e-F@ctory=MESインタフェースユニット」という誤解を生んだ側面も否めなかった。それでも、e-F@ctoryのコンセプトは、「FAとITを活用し、開発・生産・保守の全般にわたるトータルコストの削減、工場の全体最適」であり、トータルソリューションという位置付けは、関係者の間で変わることはなかった。

 2000年代後半に入ると、e-F@ctoryプロジェクトは本来のコンセプト実現に向けて新たな動きを見せる。それは、名古屋製作所やFAシステム事業本部のメンバーが、「これまで通りのFA機器販売のビジネスでは、近い将来、立ち行かなくなるのではないか」という危機感を抱き始めたからだった。

渡部は言う、
「名古屋製作所はモータの製造から始まり、サーボモータ、シーケンサ、数値制御装置(CNC)、放電加工機、レーザ加工機など、より付加価値の高い製品に生産品目を広げてきました。しかし、機器単体の製造・販売というビジネスの形は変わりませんでした」

 「現在、名古屋製作所の営業部トータルソリューションマーケティンググループでグループマネージャーを務める川村貴史は、2001年から6年間FA海外事業部に在籍し、2007年からチェコやドイツに赴任した。その経験から、「現地進出している日系エンドユーザ様からの要求や、欧州の装置メーカー様へFA機器を販売している中で、これからはFA機器単体の販売だけでは価格競争に陥って共倒れになり、いつか限界がくるだろうと思うようになりました。お客様のニーズを本当に満たすためには、ハードだけでなくソフト、サービスを含めたトータルソリューションという形でのビジネスモデルが求められると考え始めたのです」。

 当時、米国に駐在していた石田もMESインタフェースユニットの販売を通じて、「今後はサービスやソフトウェアも合わせて提供するトータルソリューションの提案へとシフトしていかなければ、生き残っていくことはできない」という思いを深めていった。

「e-F@ctoryアライアンス」が発足

 そして2011年、「e-F@ctoryアライアンス」が動き始める。これは同社のFA機器との接続親和性の高いソフトウェア・機器のメーカーや、それらを活用しシステムを構築するシステムインテグレーション会社と連携し、最適なソリューションを提供するFAパートナープログラムだ。

 それまでもCNCやシーケンサといった単体機器や技術ごとには、他の企業とパートナーシップを結んでいた。しかしトータルソリューションの提供という視点で考えた場合、個別のパートナーシップの状態では不都合な面もある。そこで同社のFA機器に関わるあらゆる企業と新たにe-F@ctoryアライアンスを結び、三菱電機と連携して、顧客企業の開発・生産・保守全般にわたるトータルコスト削減を図り、工場の全体最適を目指すことにしたのだ。

 e-F@ctoryアライアンスの立ち上げに関わった森は「これまでのように個人商店的に動くのではなく、なんでもあるショッピングセンターのほうが、お客様にも強くアピールできると考えたのです」と設立の背景を語る。川村は「それまでの『お客様の生産ライン、設備・装置に対する個別最適提案から、上位ITシステムと現場のつながりやサプライチェーン、エンジニアリングチェーンといったバリューチェーンまでをも含めた全体最適提案』へ踏み出す重要な一歩」と同アライアンスの意義を強調する。

一覧に戻る