情熱ボイス
情熱ボイス【e-F@ctory篇】IoTを活用した、ものづくりの革新e-F@ctory。
これからのものづくりを担う
トータルソリューション企業として
2017年3月公開【全3回】
第3回 “未来へ” 強い追い風が吹き始める
2013年4月、名古屋製作所営業部にトータルソリューションマーケティンググループが発足。三菱電機はトータルソリューションの提供という、新たなビジネスの展開を前面に打ち出した。
トータルソリューションの提供とはすなわち、長い間温め続けたe-F@ctoryのコンセプトを推進することにほかならない。発足当初から参画し、2015年からグループマネージャーに就任した川村は、そう認識した。
ちょうどそのころ、e-F@ctoryの推進に強い追い風が吹き始める。IoTやインダストリー4.0が日本でも、大きな話題になり始めたのだ。
ただ、欧米と日本では工場の効率化に関する考え方が異なるという意識も川村は持っていた。「欧米は上位システムでの計画やシミュレーションを、生産現場に落とすという仕組みで動きます。一方、日本は現場を大切にする。アプローチは正反対ですが、逆にそこが私たちの強みになるだろうと思いました。現場の情報を吸い上げることで工場全体を最適化する。我々にとってのトータルソリューションは、e-F@ctoryのコンセプトそのものだったです」
2015年には名古屋製作所 e-F@ctory推進プロジェクトグループが発足。同グループのe-F@ctory推進グループマネージャーに就いた石田たちが技術面でサポートしながら、トータルソリューションマーケティンググループとともにe-F@ctoryを推進する体制が整った。
その頃には、「e-F@ctoryを推進することでトータルソリューションを提供することが、今後のビジネスには不可欠」という意識を、名古屋製作所やFAシステム事業本部の社員全員が共有するようになった。森は「社員の意識が変わり、仕事を進めやすくなりました。今ではあらゆるFA機器のマーケティングに、e-F@ctoryというコンセプトを掲げています」と説明する。

現在のe-F@ctoryコンセプト図。発表当時から時代と共に変化を遂げ今に至る。
ものづくりのTCO削減に昇華を目指す
苦労のかいもあって、e-F@ctoryは急速に認知度を高めている。2011年に約200社でスタートしたe-F@ctoryアライアンスの参加企業は現在、約400社に倍増。「損害保険会社やゼネコンなど、これまでは考えられなかった異業種の企業も参加してくれています」と森は反響の大きさを語る。インターネットを活用して、FA機器の稼働状況やメンテナンス状況をパソコンやスマートフォンで知ることができるリモートサービス、「iQ Care Remote4U」という、先端技術総合研究所が当初、描いたようなサービスの提供も始まった。「e-F@ctoryは今や、日本だけでなく中国や東南アジア、さらには欧米も含め世界からも注目を集めるようになりました」と石田は手ごたえを感じている。
今後は、サプライチェーンやエンジニアリングチェーンの全体にわたって、ものづくりのTCO(トータルコスト)を削減し、企業の付加価値向上を支援するトータルソリューションにまでe-F@ctoryを昇華させたいというというのが、全員の願いだ。
黎明期から関わってきた渡部は、「e-F@ctoryは、ものづくりの最適化に向け、情報をいかに活用するかを視野に入れたソリューションです。今後は知識と知恵、つまりナレッジをビジネスに結びつけていくことが重要になるでしょう」と自分たちの課題を説明する。
「未来の三菱電機を考えると、FA機器単体のビジネスに加え、e-F@ctoryを軸としたソリューションビジネスを柱にしていかなければなりません。私はかつて、上司から『強いから生き残れるのではない。変われるものだけが生き残れるのだ』という教えを受けたことがあります。三菱電機も生き残るためには、変わらなければならない」。川村はこう決意している。

FA-IT統合ソリューション「e-F@ctory」の歩み
| 2000年 | eコマースに注目が集まる中、先端技術総合研究所からITと製造業をつなぐ新たな製品開発の提案 |
|---|---|
| 2003年 | 「FA統合ソリューションe-F@ctory」発表 |
| 2004年 | 名古屋製作所「サーボモータ工場をMESインタフェースユニットの情報化モデル工場」として一般公開 |
| 2005年 | 「MESインタフェースユニット」を発表 e-F@ctory化工場(サーボモータ)稼働 |
| 2010年 | e-F@ctoryを省エネ分野に展開 |
| 2011年 | 「e-F@ctoryアライアンス」始動 e&eco-F@ctory化工場(三菱電機自動化機器製造(常熟)有限公司)稼働 |
| 2013年 | 名古屋製作所営業部「トータルソリューションマーケティンググループ」発足 e-F@ctory化工場(名古屋製作所FA機器生産棟)稼働 |
| 2014年頃から | ドイツ発「インダストリー4.0」が日本でも注目を集め始めたことにともない、名古屋製作所「e-F@ctoryモデル工場」の見学者も増加 |
| 2015年 | 名古屋製作所「e-F@ctory推進プロジェクトグループ」発足 ※トータルソリューションマーケティンググループとともにe-F@ctoryを推進する体制が強化される |
| 現在 | 「e-F@ctoryアライアンス」の参加企業が約400社に増加 |
| 今後 | e-F@ctoryを「企業の付加価値向上を支援するトータルソリューション」へ |
文:斎藤 俊明
写真:工 晋平
製品・ソリューション紹介
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e-F@ctoryは、「生産情報の見える化」「エネルギーの見える化」「安全の見える化」の実現による企業のTCO削減、企業価値向上を支援します。