海外レポート
智能製造への貢献度の高さを印象づけた
「中国国際工業博覧会」
2017年12月公開
第2回 中国ユーザーに聞く「e-F@ctoryに決めた理由」

2017年11月7~11日に中国・上海で開催された工業総合展示会「中国国際工業博覧会」への出展をはじめ、三菱電機のソリューションが中国で注目されているのは、e-F@ctoryが中国で既に数多くの実績をあげているためです。中国でe-F@ctoryを導入されているユーザーの1社、青島佳友精密機械有限公司の宋佳琳董事長に、e-F@ctoryを導入した理由を伺いました。
「当社は中国・青島で包装機械のインテグレーションを手がけています。商品を自動で包装する設備の構築などを通じて、物流業界の業務効率化を支援しています。イタリアの企業と共同出資で物流会社を立ち上げ、物流分野で直接ソリューションを提供することも始めています。また中国の包装機械の業界団体の副会長も務めており、自社だけでなく業界全体の問題解決にも取り組んでいます。
三菱電機とは2015年6月に日本の名古屋製作所を訪問させていただいた時からの縁です。名古屋製作所でe-F@ctoryの理念を具体化した生産設備やモデルラインなどが稼働しているのを見て、製品の品質向上や稼働率向上などを実現するのに有効なことを確信しました。実は当社の生産設備はそれまで他社の機器を使っていたのですが、この時の見学を機に、FA機器もサーボ機器もe-F@ctoryに一新することに決めたのです。
中国の製造業で進む智能製造の流れの中で、物流業界は情報化と自動化が求められています。物流は特に需要の変動が大きい業界です。需要が大きく変わっても対応できるように、生産や物流など個々の現場単位でなく、サプライチェーン全体で自動化とそれによる最適化を進めるのが理想です。e-F@ctoryはその実現に有効なソリューションを用意していると思っています。
三菱電機と一緒に現場の課題の解決に取り組んできて、三菱電機が「システムを売ったらそれで終わり」というような企業ではないことを実感しています。課題解決のプロジェクトは長い期間に及ぶことがほとんどです。システムの導入前から導入後までを含めたトータルでのサポートが重要であり、サポート体制の充実した三菱電機は信頼できるパートナーと認識しています。その三菱電機が提供するe-F@ctoryなら、安心して導入することができます。今後もお互いの信頼感を高めていきたいと考えております。(談)
「智能製造フォーラム」でソリューションの進め方を紹介
この他にも、中国でのユーザーの広がりを印象づけたのが、展示会2日目午後に三菱電機の主催で開催した「e-F@ctory智能製造フォーラム」です。展示会場近隣のホテルで行われたこのフォーラムには、製造業関係者を中心に約200人が参加しました。

会期2日目に開催された「e-F@ctory智能製造フォーラム」
フォーラムではまず、コンサルタントの工控網数据技術有限公司副総経理の陳然氏が、中国製造業の投資状況を分析。陳氏は政府が進める智能製造実現のための政策やそのロードマップを紹介するとともに、製造業の業種ごとに実現のプロセスは異なることを説明しました。一方で陳氏は「智能製造へ発展できる企業は全体の5%にとどまる」とし、多くの製造業は基盤作りから取り組む必要があると提言。そのための参考として、工業情報部が提示する109個の具体的なモデルプロジェクトも紹介しました。
三菱電機自動化(中国)有限公司の笙田倫は、中国のリチウムイオン電池工場の事例を通して、三菱電機のソリューションの進め方を紹介しました。このリチウムイオン電池では、素材へのコーティングなどの前工程や電解液の注入などの後工程に加え、原材料の在庫管理や現場の安全対策にも改善をはかることを目指し、三菱電機とともにe-F@ctoryの導入に着手。三菱電機はユーザーとともに個々の要素にKPI(Key Performance Indicator)を設定し、その達成に必要な生産やエンジニアリングのプロセスの最適化を進めるなど、システム導入の前に業務全体の見直しや再設計を行うことで、e-F@ctoryの導入効果を最大限に引き出しています。こうしたコンサルティングが可能なのは、三菱電機が中国での智能製造実現で豊富な経験とノウハウを持っているためであり、欧米ベンダーに多いパッケージ型のソリューションと違い、現場への適応と効果発揮をすぐに実現できることを強調しました。

三菱電機自動化(中国)有限公司の笙田倫氏は
中国のリチウムイオン電池工場の事例を通して、
三菱電機のソリューションの進め方を紹介

三菱電機の杉山素氏はエンジニアリングチェーンと
サプライチェーンも巻き込んだ情報化と自動化の重要性を強調
三菱電機からはFAシステム事業本部の杉山素も講演しました。杉山はものづくりの情報化と自動化は生産現場だけでなく、ものづくりの工程のエンジニアリングチェーンと、流通や販売までを含んだサプライチェーンも含めた全体で進める必要があると強調し、そのためにe-F@ctoryではさまざまなパートナーと連携していることを紹介しました。
加えて、エッジコンピューティングの重要性についても言及しました。製造業は、リアルタイム性が肝であり、生産現場に近い場所でデータ分析・診断をすることにより、タイムリーなフィードバックができるメリットについて言及しました。
その上で、エッジコンピューティングを実現する上で、工場にはさまざまなメーカーの機器が混在しているのが実態であり、それらをつながりやすくすることが必要と提言。そのために、三菱電機を含めたFA・IT分野の主要メーカーが連携し、企業・産業の枠を超えて、共に協力と協働を行う場を作っていく、Edgecrossコンソーシアムが誕生したことを説明しました。Edgecrossコンソーシアム発足はこの講演の数日前に発表されたばかりということもあり、中国のユーザーにも大きな関心を持って受け止められていたようです。
この他にも三菱電機関係者やパートナー関係者が最新の技術や事例を紹介。展示会と合わせて、日本で生まれたe-F@ctoryが中国の智能製造実現に有効なソリューションであることを、来場者に印象づけました。
- 要旨 智能製造への貢献度の高さを印象づけた「中国国際工業博覧会」
- 第1回 上海市市長や行政幹部が中国国際工業博覧会の三菱電機ブースを視察
- 第2回 中国ユーザーに聞く「e-F@ctoryに決めた理由」