特集論文

“e-F＠ctory” を支える
CC-Link IEフィールドネットワークBasic

2017年9月公開【全3回】
名古屋製作所　上野友義　市村宇志

［第2回］製品特長(上）

3．　CC-Link IEフィールドネットワークBasicの特長

　ローレンジ市場が求める要件として、コスト削減（製品コスト、設計・立ち上げ・保守コストの削減）や、汎用Ethernetとの親和性（TCP／IP通信との混在、汎用Ethernet機能の活用）などが挙げられる。CC-Link IEフィールドネットワークBasicは、これらの要件を満たすために、次に示す特長的な機能を実現している。

3. 1　シームレスな情報連携

　CC-Link IEフィールドネットワークBasicはアプリケーションレイヤのプロトコルであり、アプリケーションレイヤ以下は、汎用Ethernetと同様である（図３）。そのため、汎用Ethernet上で動作するほかのプロトコル（HTTP／FTP／SLMP等）との混在が可能である。また、汎用Ethernetの機能である無線化や、パケット優先制御などを使用できる。これによって、上位ITシステムから生産現場の機械まで１ネットワーク化できる。この特長によって、簡単にe-F＠ctoryソリューションを実現できる（図４）。

図３．CC-Link IEフィールドネットワークBasicのプロトコル階層

図４．CC-Link IEフィールドネットワークBasicを使用したe-F＠ctoryの実現

3. 2　コストパフォーマンスの高いシステムの構築

　CC-Link IEフィールドネットワークBasicは、汎用Ethernet上に簡単・低コストでサイクリック通信を実現できる。そのため、コストパフォーマンスの高いシステムの構築が可能となる。

3. 2. 1　TCP／IP通信との混在による省配線化

　TCP／IP通信との混在が可能なため、制御用の専用回線が不要となる。そのため、既存のネットワークを活用してネットワークの種類を一本化でき、省配線化によってコストを削減できる（図５）。

図５．TCP／IP通信との混在による省配線化

3. 2. 2　シーケンサCPUがマスタ局に対応

　シーケンサCPU（MELSEC iQ-Rシリーズ、MELSEC iQ-Fシリーズ、MELSEC Qシリーズ、MELSEC Lシリーズ）がCC-Link IEフィールドネットワークBasicのマスタ局機能を内蔵するため、専用のネットワークユニットが不要となり、最小構成でネットワークを構築可能となる（図６）。

図６．シーケンサCPUがマスタ局に対応