特集論文
FAアプリケーションパッケージ “iQ Monozukuri”
2017年10月公開【全3回】
名古屋製作所 炭崎竜平 堀健一 増田芳樹 海津雅洋 寺田大祐
[第1回]製品概要
1. まえがき
急速な人件費高騰、作業者流動リスク上昇などの労働市場環境の変化に加え、顧客ニーズの多様化、最終製品に対する品質要求の高まりなどの市場環境変化を背景として、これまで、とりわけ新興国で拡大してきた労働集約型生産方式の抜本的な見直しが求められている。
プロセスレベルでの局所的要素に加え、体系的に整理されたソリューション整備が新たな課題として生じる中で、当社は、製造現場を “工程” “用途” “装置” の観点から俯瞰し、それぞれの領域で抽出される課題に対する直接的解決手段としてアプリケーションパッケージ “iQ Monozukuri” を提供している。
本稿では、 “iQ Monozukuri” の特長及び提供するソリューションについて述べる。
2. iQ Monozukuriの概要
2.1 iQ Monozukuriのコンセプト
多品種少量生産への柔軟な対応に向けたライン自動化及び品質レベル維持のためのデータ収集管理システムなど、抜本的生産方式の見直しが求められる中で、当社は2003年からFAとITの連携によって製造業での業務プロセス全般の効率化及びTCO削減を推進するe−F@ctoryを提唱しており、個々のFA機器製品の提供に加え、生産方式及び種々の生産課題に対する解決策となるソリューションを提供している。
e−F@ctoryでのソリューションの1つであるアプリケーションパッケージ “iQ Monozukuri” は、当社が培ってきたノウハウに基づく解決策として、課題解決に当たり “想定すべき課題” “実施すべき事項” そして “実現手段” がパッケージ化されているため、課題解決に必要な知識が乏しい場合にも、短期間で簡単に導入できる有効かつ直接的な解決手段である。
2.2 iQ Monozukuriでの開発の方向性
生産方式全体の見直しに係るソリューション提供を意図することから、製造現場全体を俯瞰することは不可避である。局所的取組みでの課題だけでなく、全体システムとしてのあるべき姿を見据えた上で、周辺との関連性を考慮した解決策及び妥当性評価のためのツールとしてソリューションマップを整備した(図1)。
製造現場を “工程” “用途” “装置” の観点で俯瞰しながら、当社ノウハウに基づき、それぞれの領域で “想定すべき課題” “実施すべき事項” を提示し、目的を明確化した上で具体的な実現・解決策として、当社FA機器、パートナー製品に加え、解決のための論理体系をプログラムとして組み合わせたアプリケーションパッケージを順次整備している。
iQ Monozukuriのラインアップを拡充することで、生産現場全体に対するソリューションの提供を目指す。
2. 3 iQ Monozukuriの提供価値
開発コスト低減、システム立ち上げ時間短縮など、製造業における業務全般を価値提供の対象とする。
- (1) 設計・調達:選定ツール提供によって、必要とする機器の調達漏れを防止
- (2) プログラミング:制御プログラムや表示器の画面データ提供によって開発コストを削減
- (3) 立ち上げ:設定支援ツールや対話式ウィザートなどの提供によって立ち上げ時間を短縮
- (4) 運用・保守:BI(Business Intelligence)ツールの提供によって生産実績情報の見える化を図り、生産効率改善に貢献