FAアプリケーションパッケージ　“iQ Monozukuri”

　代表的な３つのアプリケーションパッケージの機能について述べる。

　作業者の入れ替わりが多い組立て作業現場を中心にスキルの定着が進まず、新人作業者に対する作業支援・品質管理の課題が生じている。同様に、携帯機器・自動車関連産業でも製品サイクルが極めて短くなることで作業支援・品質管理のニーズが高い。
　当社名古屋製作所では、e−F＠ctoryコンセプトに基づく生産方式改善活動の中で、ねじ締め作業における “ポカよけ” “作業指示” “作業良否判定” “作業実績管理” “トレーサビリティ” を支援するシステムを構築済みである。このシステムの導入によってねじ締め不良の後工程流出防止と作業者教育に要する工数の半減を実現している。
　このねじ締め作業支援システムを汎用化し、簡単システム構築を支援するアプリケーションパッケージとして “iQ Monozukuriねじ締め作業支援” を開発した（図２）。
　このパッケージでは、制御プログラム、作業指示管理の表示器画面データ、設定ツール、実績情報のBI画面をパッケージ化しており、ユーザーは短時間で簡単にシステムを構築できる。作業手順を設定するツールでは、ねじ締め箇所の指定を製品画像上の任意の位置にマウスカーソルを合わせてクリックすることで設定可能となっている。また、海外展開を前提とした開発を実施し、日本語、英語、中国語（簡体字）での表示に対応している。

　ハイブリッドカーや電気自動車等の次世代エネルギー自動車の増加に伴い、リチウムイオン電池等の二次電池市場が拡大している。二次電池の基幹部品は比較的薄くかつ柔軟な素材である高機能フィルムや金属箔（はく）であり、塗布・貼り合わせ・切断などの加工処理を施すコンバーティング装置の需要が急増し、素材に対する加工品質の向上のため張力制御がこの装置における核となる技術である。
　当社としてもこの市場の拡大に注目し、制御機器や駆動製品を活用した張力制御を実現するアプリケーションパッケージ “iQ Monozukuri CONVERTING” を開発した。このパッケージでは、素材巻き出しや巻取り制御などの基本的機能をFB（Function Block）によって部品化してあるため張力フィードバック制御を部品の組み合せで簡単に実現できる。また、装置立ち上げ時に時間を要するフィードバック制御応答性の設定を自動で行う機能も部品化されており、装置立ち上げ時間短縮にも大きく寄与する。従来、３か月程度必要であった、プログラミングから装置立ち上げまでの期間が１週間まで短縮された例もある。これは、FBを用いた部品化によってプログラムが標準化・簡略化されたことに加え、演算部分に、このパッケージが提供する信頼性の高い機能部品を採用することによってプログラミング不具合リスクが低減されたからである。
　また、張力制御だけでなく、蛇行補正や巻径演算といったコンバーティング用途に必要不可欠な機能もFB化して用意しているため、様々な機械に適用できる（図３）。

　機械加工品や成型品にはバリ取り工程や研磨工程が必須とされる場合が多い。現状、加工機械の効率的な運用のため、又は人手でないと作業できない複雑な形状に対応するため、人手によるバリ取り・研磨作業が行われている。
　熟練技能の伝承困難、粉塵（ふんじん）など悪環境、また、人員確保などを背景に、さらには品質向上・安定化、時間短縮、省人化を目指し、比較的安価で多用途に活用できるロボットによるバリ取り・研磨作業の自動化が求められている。
　ロボットによる自動化の課題は、プログラム作成とトライ＆エラーの繰り返しに伴う、膨大な立ち上げ・調整のための労力であり、この課題を解決するアプリケーションパッケージ “iQ Monozukuriバリ取り・研磨” を開発した。
　このパッケージはバリ取り・研磨に使用する各種機能を活用したアプリケーションプログラムを標準化し、アプリケーション機能や調整サポートツールを対話型のウィザードとした製品である（図４）。