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エコプロダクツ2012 開催レポート第3回

第1回、第2回のレポートでは「ビル・工場ゾーン」を中心にお伝えしました。3回目の今回は「家庭ゾーン」「社会ゾーン」をレポートします。

電気を消費する社会から、電気を作り出す社会へ

ブース内では、約15分間で「家庭ゾーン」「社会ゾーン」の見どころポイントを教えてくれる「みどころツアー」が開催されていました。旗を持ったガイドのお姉さんに続き、たくさんの参加者が、最新のエコ情報、製品情報の説明に耳を傾けていました。「みどころツアー」は、「家庭ゾーン」からスタートです。

「家庭ゾーン」編

消費エネルギー量を、太陽光の発電量だけでまかなえるか?

三菱電機グループでは「ゼロエミッション住宅」の実現を目指して、2011年5月より神奈川県鎌倉市の「大船スマートハウス」で実証実験を行っています。「ゼロエミッション住宅」とは、とことん省エネにこだわった地球に優しいエコ住宅のことです。年間の消費エネルギー量を、太陽光の発電量以下に抑えることが可能となりました。
「大船スマートハウス」では以下の3つを行っています。
(1)日差し、通風などの自然エネルギーの活用
(2)省エネ性能の高い三菱電機の空調、照明などの採用
(3)家庭のエネルギー管理を行い、節電に役立つシステムの採用

ゼロエミッション住宅への具体的な取り組み(大船スマートハウスの事例)

「大船スマートハウス」では、太陽光発電システム(PV)、電気自動車(EV)、ホームエネルギーマネジメントシステム(HEMS:ヘムス)という3つを連携させています。これを「PV・EV・連携HEMS」と呼びます。

晴れている日中は太陽光発電により、家庭の電力をすべてまかなうことができます。太陽光発電があれば、家庭の電力供給が途絶えていても不自由なく家電機器を使うことが可能です。太陽光発電で余った電力は、電気自動車に蓄えておくこともできます。

曇りなどで、晴天時より発電量が少ないときは、家庭で使用するエネルギーを、蓄えていた電気自動車から取り出し、電気製品に使用することができます。消費電力が増え、太陽光発電と電気自動車に蓄えておいた電力を超えてしまいそうになると、HEMSが電力の消費抑制を行います。雨の日や夜は、電気自動車の畜電池からのみ電力を供給することになります。家電機器などを使用し過ぎないように、しっかりコントロールしてくれるのがHEMSと言うわけです。

「PV・EV・連携HEMS」を使うことにより、災害などで電力供給が途絶えても、なんと1週間以上の電力をまかなうことができます。人の力だけでは難しいことも、新しい技術を利用すると、快適に省エネできることが分かりました。

東北地方太平洋沖地震以降、災害時の対策について不安に思う方も多いと思います。このようなシステムを活用していけば、災害時の不安も軽減されるのではないでしょうか。

「家庭ゾーン」で「スマートハウス」の説明を聞いた後は、「社会ゾーン」へと移動しました。

「社会ゾーン」編

橋や鉄塔などの振動発電を用いた無線センサー

道路、橋、鉄塔など、細かな振動はさまざまな場所で起こっています。製品化はされていませんが、その微弱な振動を電力にできないかと研究中です。自然発生的に起こる振動で、電気を作ることができれば、鉄塔の上や、険しい山の中など電池交換ができない場所や、電源設備が使えない場所で活躍できると考えられています。

現段階では、無線センサーにて温度や湿度などの情報を定期的に測定することに成功しています。将来的には橋やトンネルのひずみを発見し、事故を未然に防ぐなど大きな活躍が期待されています。

振動という今まで利用されることのなかったエネルギーが、新しい電力源として利用できるようになったら素晴らしいですね。

電車の電力を用いた回生電力とは?

電車は、走っている時、膨大なエネルギーを持っています。ブレーキをかける時、この運動エネルギーを電気に変換し、他の電力に利用する仕組みが「回生電力」です。回生電力を使って、駅のホームの照明をつけたり、他の電車を走らせたりすることができます。
今まで使われていなかったエネルギーを、積極的に使用していこうという取り組みですね。

モーターを高効率化して節電に繋げよう

モーターを動かす際には、インバーターという装置を使います。インバーター装置の半導体は、今までは主にSiシリコンで作られていました。三菱電機はシリコンより優れた物理的・電気的特性をもつSiC(シリコンカーバイド)を使った「SiCパワーデバイス」を使用することにより、インバーター装置を高効率・小型・軽量化することができるようになりました。

「SiCパワーデバイス」は家庭の電気製品から産業用機器まで、全てのモーターに対応できます。将来幅広い領域での節電効果も期待できますね。

プラスチックリサイクル

これまで、家電製品のプラスチックの再利用はごくわずかでした。その理由は、種類や、劣化の状態がバラバラなプラスチックを、正確に分別することが技術的に難しかったからです。

三菱電機グループでは、研究を重ね、高純度・高回収率のプラスチックの「選別」を実現することに成功しました。プラスチックの比重の違いや、X線、静電気などを活用した画期的な方式で、これまで6%だった家電のプラスチックリサイクル率を、なんと70%以上まで向上させることができたのです。

さらに、レアアースのリサイクルにも取り組んでいます。2012年4月からは、使用済みのルームエアコンからレアアース磁石を回収する自動解体装置を稼働させました。循環型社会に向けてリサイクルにも真剣に取り組んでいます。

最後に・・・
「エコプロダクツ2012」には、たくさんのご来場、ありがとうございました。昨年よりもさらに進歩したエコ・省エネ活動をみなさまにご紹介することができました。これからも三菱電機グループでは、低炭素社会、循環型社会に向けてさまざまな取り組みを行っていきます。来年の「エコプロダクツ」では、さらに進化した技術をお届けできるように日々、三菱電機グループ全体を通して努力していきます。