スポーツわくわく研究所
調査レポート2

トランポリンを 知ろう!

研究員たちから「トランポリン」
についての
リサーチ結果
を紹介するぞ。

「空への憧れ」から生まれたトランポリン

⼈間の「⿃のように⼤空を舞いたい」という願望を叶えるため、⼈を跳ね上げる⾏事や遊戯は、古くから世界中で⾒られます。たとえば、スペインの「ケット上げ」は何⼈かで⽑布の端を持ち、上に載せたワラ⼈形(ペレレ)や⼈間を跳ね上げる⾏事です。1930年代になって、アメリカ⼈の⾶び込み・タンブリング競技の選⼿、ジョージ・ニッセンがスポーツとしてのトランポリンを発案。その後、現在の形に近い器具が開発されて、世界へ広まっていきました。
(参考⽂献『トランポリン競技』⼤林正憲 著)

サーカスの空中ブランコで、安全ネットの跳ね返る⼒を使って、再びブランコに⾶び移るような曲芸からトランポリンの原形が⽣まれたという説もあるわ。

実は巨大な編み物だったトランポリン台

基本の構造になる⾻組みは、安全のために⾓を丸くした⾦属製フレーム(縦520cm x 横305cm x ⾼さ115cm)です。このフレームと118本のスプリングでつながれているのが、遠⽬に⾒ると⼀枚の布に⾒えるテープベッド(通称ベッド)。幅4mmほどのナイロン製テープ(またはロープ)を編んでつくられています。トランポリン選⼿が使えるのは、ベッド上の約2m×約4mのスペース。ベッドの周囲は安全のために柔らかいマットに囲われています。

トランポリン台に近寄ってよく⾒ると、テープが編まれているのがわかるよ!

大迫力トランポリン選手のジャンプ

トランポリンによる跳躍の高さは、女子で6m、男子だと8mにも達します。 これは、実にマンションの3~4階に相当する高さ。そのため、ベッドへの着床時にかかる重さは、なんと体重の13倍にも達します。全身の筋力を使うトランポリンは、30秒ほどの競技で100メートルの全力疾走と同じくらいの体力を消耗すると言われています。

高さにもビックリだけど、身体にかかる力に驚き。
体重50kgの場合は、650kgの荷重になる計算ね。

「シンクロナイズド競技」の美しさは必見

トランポリンの個人競技は、10の異なる技を連続して行い、高さ、演技の完成度、移動(トラベリング)の少なさ、技の難易度を競います。個人競技のほかには、並行に置かれた2台のトランポリン台で2人が同じ空中演技を同時に行う「シンクロナイズド競技」、4人チームの個人競技による合計点で順位を競う「団体競技」などがあります。

ほかにも体操の跳馬や床運動に似た競技、レクリエーションを目的にした日本発の競技があるらしい。調べてみよう!

跳ぶのは10本、失格ルールに注意

トランポリンの競技では、予備ジャンプ(垂直ジャンプ)で徐々に高さを上げていき準備を整え、1本目から10本を連続して演技した後、着地を決めて終了。30秒ほどの短い時間にすべてを込めます。なお、10本の中で同じ技を2度以上跳んだり、競技中に選手の安全を守るマットへ少しでも触れると失格になります。ちなみにシューズのつま先、落としたヘアピンなどが触れても同じく失格です。

トランポリン競技では、失格になるルールに気をつけて演技しないといけないのね。

トランポリンの基本的な技をチェック

基本的な姿勢として、「タック」(抱え込み)、「パイク」(屈伸)、「ストレート」(伸身)があります。

基本的な技として、「フィート」(立位)、「シート」(坐位)、「フロント」(うつ伏せ)、「バック」(仰向け)があります。

実際の詳しい動きは、STEP3の動画をチェック!それぞれの技で、着床するときの音が微妙に違うんだよ。トランポリンは耳でも観賞できる!

ハイテクも利用した競技の採点

トランポリンの競技は審判団によって採点され、合計点で順位を競います。採点の基準になるのは、高さ、演技の完成度、移動(トラベリング)の少なさ、技の難易度です。高さを測るのは、トランポリン台のフレームに付けられたセンサー。この装置で選手がマットに触れていない時間を測って、滞空時間を計算するのです。演技中の姿勢も評価されるため、選手は毎日、姿勢を意識して磨きをかけるといいます。

足先までピンと伸びた姿勢や美しい身体の線。選手の努力の賜物なのね。

観戦の上級者は、選手の足もとを見る

トランポリン台のベッドと接する足もとはパフォーマンスを左右する重要なポイントで、着用できるのは、シューズもしくは靴下。そして、色は「白」しかダメ! トランポリン用シューズや靴下には滑り止めが付いていますが、 市販されている通常の靴下を好む選手もいます。つま先の感覚や柔軟な動きを大切にするトランポリン競技。足もとの選択には、選手それぞれのこだわりが現れています。

ちなみに裸足での競技は認められていないんだって。これも安全のためなんだね。

トランポリン選手の強い味方「スポッター」

空中で選手が姿勢を崩したときなどに怪我をしないよう助けるため、トラン ポリン台の脇で待機するのが「スポッター」です。大会では4人のスポッ ターが1台のトランポリン台に付きます。選手が空中で体制をくずしたりす ると、スポッターがマットを素早く滑らせるようにベッド上へ投げ入れ、落 下の衝撃を吸収。マットを持たないスポッターは、選手が台から飛び出した時の補助をします。練習中に新しい技を試すときは、スポッターがいると安心だと選手は言います。

瞬時の判断が求められる重要な役割。危険とも隣り合わせにある選手を支える、大切なパートナーだわ。

こんなうれしい効果もある、トランポリン

トランポリンでは、ジャンプの離床から着床までの一連の動作を脳が判断し、 瞬時に身体へ信号を送ると言われます。その動作の繰り返しで、脳と身体が 自然と連動して脳の活動が活発になるという学説が報告されています。体幹の強化やバランス感覚の育成、イメージと身体の連動、空中動作の習得にも有効なトランポリンは、体操や飛び込みなど、他種目のアスリートにとっても必要な能力を伸ばせる有効なトレーニング器具です。実際にNASA(アメリカ航空宇宙局)では宇宙飛行士のトレーニングに活用されています。

子どもの頃にトランポリンで楽しみながら脳神経と身体を同時に鍛えると、記憶力、集中力、理解力がアップするとも言われているんだ。スゴイね!

所長のコメント

二人ともトランポリンにずいぶん詳しくなったようだね。それじゃあ、次は練習中のトランポリンの選手を訪ねておいで。きっと貴重な話が聞けるはずだよ。

2019年3月公開