受賞技術を適用した陸上端局装置(左)と大西洋横断海底ケーブルシステム(TAT-14)のネットワーク図(右)

三菱電機株式会社は、「大容量光通信を実現する高度変復調技術の開発と実用化」に関する技術が、公益財団法人 電気科学技術奨励会が主催する令和5年度「第71回電気科学技術奨励賞」を受賞しましたのでお知らせします。受賞式は、11月30日(木)に学士会館(東京都千代田区)にて行われます。

受賞の概要について

<第71回電気科学技術奨励賞>
 「大容量光通信を実現する高度変復調技術の開発と実用化」
受賞者 三菱電機株式会社 情報技術総合研究所 吉田 剛
小西 良明
鈴木 巨生
  1.  インターネットの普及やモバイル通信の発展により、通信トラフィック※1への要求は急速に増加し続けています。特に、基幹系の光ファイバー通信システムには高速大容量化が求められますが、光ファイバーの伝送速度を上げるためには、分散※2や非線形効果※3による波形歪みや雑音など、光信号のさまざまな劣化要因が大きな障害となっていました。

     当社が開発した高度な変復調方式の光ファイバー通信技術は、Advanced-DQPSK※4やProbabilistic Constellation Shaping※5が特徴で、信号劣化への高い耐性確保と高密度な長距離伝送を可能としました。この技術は、複数のネットワークや最新の400Gbpsを超える光ファイバー通信システムへ導入されており、中でも、総延長15,000kmの大西洋横断海底ケーブルシステム(TAT-14)に適用された当社の陸上端局装置※6は、最長7,000kmの超長距離通信を達成するなど、情報通信インフラの提供を通じてさまざまな産業や社会活動の基盤として貢献しています。この開発技術と情報通信インフラの性能向上への取り組みが高く評価されました。



  • ※1

    サーバーやネットワーク機器などのITリソースを繋いでいる通信回線においてやりとりするデータ通信量を指す言葉で、通信の安定性・セキュリティー・通信速度を考慮する必要がある

  • ※2

    光信号が伝送中に広がる現象で、波長成分の速度差により引き起こされ、伝送距離が長いほど信号品質が低下する

  • ※3

    光ファイバー内で光信号が相互作用する現象で、信号が高出力・高速になるほど顕著になり、信号品質が低下する

  • ※4

    DQPSK:Differential Quadrature Phase Shift Keying
    位相差にデータを符号化した4つの位相状態を使って通信する変調方式

  • ※5

    送信するシンボルの確率分布を変更することで、効率的な伝送を実現する方式

  • ※6

    大洋を挟んだ大陸間通信を実現する装置