一つひとつの疑問や不安に向き合って。DCPシェアハウスを広げる人たち

2026.09.17

一つひとつの疑問や不安に向き合って。DCPシェアハウスを広げる人たち

三菱電機グループのウェブサイト共通基盤「DCPシェアハウス」は、サイト構築・運営にまつわる作業を効率化し、ブランドガバナンスやデータ活用を推進するための新たな基盤である。2025年4月の本格スタート以降、各事業部や関係会社のサイトオーナーに向けて、その価値を伝える取り組みが進められてきた。
しかし、長年運営してきたサイトを新しい基盤へ移すことには、不安も伴う。そうした不安の声に一つひとつ向き合い、入居へのハードルを下げようとしている人たちがいる。

DCPシェアハウスという仕組みをつくる人たちの思いを紹介した前回に続き、今回はその仕組みを届け、入居の背中を押す人たちの取り組みを追う。

目次

不安があるのは、サイトを大切にしてきた証だった

「シェアハウスは共有空間だから、入居したら自分たちのサイトを思い通りにつくれなくなるのではないか」
あるサイトオーナーが口にした言葉を、DCPシェアハウスの運営主体であるブランドコミュニケーション部デジタルコミュニケーショングループ、通称DCGの石塚健彦さんが教えてくれた。

長年運営してきたサイトには、それぞれの歴史がある。デザイン、更新フロー、制作会社との関係、社内での役割。担当者が積み重ねてきた工夫や思いもある。だからこそ、新しい基盤へ移ることに不安が生まれるのは自然なことだった。

「入居に興味を持つサイトオーナーからは、申し込み方法や手順、料金といった実務的な質問が多く聞かれました。一方で、独自デザインが可能なのか、強制的に移行しなければならないのかといった不安の声もありました」と石塚さんは振り返る。

それは、サイトを大切に運営してきたからこそ生まれる、切実な確認である。DCPシェアハウスの普及は、まずその不安を受け止めるところから始まった。

説明する前に、まず声を聞く

DCGが大切にしたのは、機能やメリットを説明すること以上に、相手の事情を聞くことだった。
当初、三菱電機社内の全社ウェブサイト運営会議を中心に進められていた周知活動は、2025年から国内の各社・各部門のサイトオーナーに直接伝える形へと変えていった。

浅尾陽子さんは、そのときの取り組みをこう語る。
「『ぜひ前向きに入居をご検討ください』と告知し、質問に対して直接回答していきました。ただ、全社会議では拾いきれないほどの質問が出たため、シェアハウスの解説に特化したセミナーもオンラインで開催し、疑問解消に努めました」

疑問が出るのは、関心があるからでもある。資料だけではわからないこと、自分たちのサイトに置き換えたときに気になること。そうした一つひとつの声は、DCPシェアハウスをより伝わるサービスへ育てる材料になっていった。

石塚さんも「懸念を示す質問ばかりではなく、資料では説明しきれない細かな仕様など、前向きな質問も多様な視点から寄せられました。私たちとしても、貴重な気づきを得ました」と話す。

この、疑問一つひとつに向き合う姿勢が、相談の入口を少しずつ広げていった。

実例が、迷いを少しずつほどいていく

入居を検討するサイトオーナーが最初に訪れるのが、DCPシェアハウスのポータルサイト。そこには問い合わせフォームと具体的に検討を進めるためのヒアリングフォームが用意されている。さらに、必要に応じてDCGが個別に説明を行い、サイトごとの事情を聞きながら、入居に向けた道筋を一緒に整理していくのが手順だ。

入居促進の中で見えてきたのは、「良さはわかるが、自社や自部門が最初に入るのは少し不安」という空気だった。
「企業情報サイトは基本的にシンプルなデザインだったため、デザイン性の高いサイトは難しいのではないかとためらう動きもありました」と石塚さんは語る。
その空気を変える一つのきっかけとなったのが、デザイン性の高い「Serendie」の入居である。実例ができたことで、DCPシェアハウスでも独自性のあるサイトを実現できるという認識が少しずつ広がっていった。

浅尾さんは、言う。
「簡単・手軽にサイトを運営したい、丸ごとおまかせしたいというニーズだけでなく、ブランドの価値観を反映した独自デザインを大切にしたいという思いにも応えたいと考えました。ヘッダー・フッターなどの基本構造は統一しつつ、それ以外のデザイン要素は自由にできる方向性へとアップデートしました」

共通化できる部分を整えることで、各サイトが本当に大切にすべき表現や情報発信に集中できるようにする。その考え方を、実例と対話を通じて伝えていくことが、入居促進の大きな一歩となった。

自分たちも入居したから、同じ目線で語れる

もう一つの転機となったのが、株式会社アイプラネットのサイト移行である。
アイプラネットはDCPシェアハウスへ入居し、その経験をもとにアンバサダーとして普及活動に加わった。審査センターの技術サポートを担当し、アンバサダー活動も担う中村岳夫さんは、こう振り返る。
「当初は、やはりデザイン性が制限されるのではという懸念もありました。そこで、どこまで自由にできるのかを確かめる意味も含め、当社サイトを丸ごと移行しました。その際、シェアハウスの仕組みでできることと難しいことの線引きを行い、移行時のポイントも整理できました」

実際に移行してみると、見栄えは元のサイトをほぼそのまま再現できたという。
「見栄えの再現だけでなく、問い合わせフォームが使いやすくなったなど、改善された部分も多く感じました」と中村さんは話す。

DCPシェアハウスには、コンテンツ管理、コンテンツ配信、フォーム作成、多言語対応、高度なセキュリティ対策の標準装備など、サイト運営に必要なサービスが含まれる。自社で個別に導入しようとすれば、コスト面でも運用面でも負担が大きくなりがちな機能を、共通基盤の中で活用できることは大きなメリットだ。

導入のメリットをさらに伝えていく段階に入ったDCPシェアハウス。実際に入居を経験し、良さも難しさも知っている人が、同じ目線で語れるようになった。そこに、アンバサダー活動の力がある。

迷ったままでも、相談していい

入居を検討するうえで、サイトオーナーが不安に感じるのは、デザインや費用だけではない。独自インフラや独自プログラムはどうなるのか。セキュリティ検査には対応できるのか。複雑な構成のサイトでも移行できるのか。技術的な不安は、ときに検討そのものを止めてしまう。

そこで重要になるのが、中村さんが担う技術サポートの役割である。
「独自インフラや独自プログラムの運用、セキュリティ検査への対応などに苦慮しているサイトは、移行を検討している段階で、まずは早めにご相談ください。不安を一つひとつ解消していくことで、よりスムーズに移行への一歩を踏み出せると思います」

一方、グループ会社の目線で相談の入口をつくっているのが、同じくアイプラネットに在籍する小野澤秀平さん。DCPシェアハウスで小野澤さんが進めるテンプレート制作は、入居検討のハードルを下げるための取り組みである。
「そもそもシェアハウスの仕組みがよくわからないというサイトオーナーにとって、典型的なパターンのサイトテンプレートがあれば、サイトを簡単に制作・更新できることが、より理解しやすくなると期待しています」

このテンプレートは、何から考えればよいかわからない状態をほどき、入居後の姿を具体的にイメージしやすくするための入口である。

浅尾さんは、最近では入居済みサイトのオーナーからも、分析結果を見てサイトをリニューアルしたい、コンテンツを追加したいといった相談が寄せられるようになったと話す。入居して終わりではない。データを見ながら、サイトを育てていく。そんな動きが少しずつ生まれ始めている。

「DCPシェアハウスが三菱電機グループの“超定番”といえる存在になることを目指し、これからもニーズに応える機能の拡充を含め、より使いやすいものに育てていきます」と話すのは石塚さん。

浅尾さんも
「DCGは三菱電機グループのウェブサイトを良くしようと長年考え続けてきました。DCPシェアハウスは、そのノウハウと経験と思いを結集したサービスです。まずはお気軽にご相談ください」と言葉を重ねる。

迷いがあるなら、迷ったままでいい。まだ具体的に決まっていなくてもいい。
「少し話を聞いてみたい」という小さな相談から、サイト運営の未来は動き出す。DCPシェアハウスを広げる取り組みは、その入口を一つひとつ増やしていく営みなのである。

* 掲載されている情報は、2026年9月時点のものです。

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