このページの本文へ

ここから本文

CLUB DIATONE

メニューを開く

DIATONE®車載用スピーカー
DIATONE Car speakers

車載用DIATONEスピーカー
DS-SA1000

カーオーディオでは
最強のスピーカーといっても
過言ではない

カーオーディオジャーナリスト
石田功氏

ダイヤトーンの名がカーオーディオに復活したのは、DS-SA3が登場した10年前。その後、トゥイーターの振動板素材にダイヤトーン独自のB4Cピュアボロンを採用したフラッグシップ・スピーカー、DS-SA1が登場し、一気にハイエンド・カーオーディオを代表するブランドの一つに上り詰めた。

そのDS-SA1も2年ほど前に生産が終了。そのあとを継ぐフラッグシップ・スピーカーの登場が待たれていたのだが、ダイヤトーンはしっかりと開発を進めていた。そして、ダイヤトーン・ブランド誕生から70周年、車載用ダイヤトーン復活から10年というタイミングでついに登場したのが、DS-SA1000である。

車載用DIATONEスピーカーDS-SA1000

新開発の素材が、理想に近いトゥイーターに仕上げた

トゥイーターが、DS-SA1と同じ振動板素材のB4Cボロン、ウーファーはDS-G500などと同じカーボンナノチューブ混入のNCVなのだが、いずれも全くの新開発。まずトゥイーターだが、DS-SA1がドーム型だったのに対して、DS-SA1000の振動板形状はDS-G500などと同じドーム&コーン型とした。しかし、一般的なドーム型でも成形が難しいボロンをこれまでのプラズマ溶射法で製造するのは難しく、このドーム&コーン型振動板を作るために、新常圧焼結セラミックス製法※1を新開発。その新製法と高度なシミュレーションによる形状の最適化※2によって、実測値で12,700m/秒という、ほとんど理論値※3に近い伝搬速度を実現したという。

ちなみに従来のプラズマ溶射法では12,000m/秒以下。現在、理論値で10,000m/秒を超える伝搬速度を持つ素材はダイヤモンド(17,000m/秒)とベリリウム(11,500m/秒)、そしてB4Cボロンの3つしかなく、実測値となるとダイヤモンドもベリリウムも、この数値よりは低くなる。つまりDS-SA1000のトゥイーターは、世界最速に近い伝搬速度を持つと言っても過言ではないのだ。そのため、DS-SA1000のトゥイーターの振動板は、新たにB4Cプレミアムボロンと名付けている。

振動板素材B4Cプレミアムボロン

DIATONEだけが手に入れた、B4Cピュアボロンを超える振動板素材B4Cプレミアムボロン。圧倒的な情報量、かつてない高S/N感が生み出す、リアルな音楽と空間を再現。

しかも、B4Cボロンは紙に近い適度な内部損失を持つから、金属のような固有の音がしない。だから原音に近い音の再生が可能。ほかの金属を素材としたトゥイーターよりも自然な音で、しかも伝搬速度は最速レベル。理想に近いトゥイーターに仕上がっている。

ドーム&コーン型としたのは、トゥイーターでの再生レンジを拡大するためだ。トゥイーター全体の外形寸法は、DS-SA1の78mmに対してDS-SA1000が71mmとコンパクト化しているのだが、振動板口径はDS-SA1の30mmに対してDS-SA1000は36mmと拡大している。このおかげで、トゥイーターの低域側をピストンモーション領域で再生できるようになるとともに、エネルギー密度の高い再生音を実現している。

磁気回路も一新。DS-SA1のトゥイーターは奥行きが70mmを超え、取り付けが難しい面があったのだが、DS-SA1000のトゥイーターの奥行きは34.2mmと縮まり、クルマへの装着性が向上。また、プレートの内周から外周にかけて大胆にカットしてプレート中を流れる渦電流の値を、右回りと左回りとで同一化することで、渦電流が交流歪に与える影響を効果的にキャンセリングできた。このECCT(渦電流キャンセリング技術)低歪磁気回路を採用した結果、歪みが低減し、大幅な音質改善に繋がったのだ。

  • ※1成型品を加圧することなく、高温で焼き固める製法。美濃窯業株式会社と国立研究開発法人 産業技術総合研究所の共同開発
  • ※2三菱電機先端技術総合研究所の開発技術
  • ※3B4C 伝搬速度理論値 13,400m/秒

新開発のNCV-R※4がウーファーを高性能化

ウーファーの振動板はカーボンナノチューブを混入したNCVがベースではあるが、さらなる高性能化を図ってNCV-Rを新開発した。大きく変わったのは、カーボンナノチューブの形状。従来は単層のものを使用していたが、DS-SA1000ではカップ積層型のCSCNTを採用。他の樹脂との結びつきが強くなり、実測値で6,300m/秒という伝搬速度を達成することができた。そのおかげで、低域もハイスピードでレスポンスに優れ、リアリティ溢れる音楽再生を実現できるのだ。

磁気回路は、磁束密度が強力なネオジウムマグネットでポールを挟み込み最適に配置するダブルマグネット構造。このMLCT(交流磁気歪みキャンセリング技術)によって、低域歪みのエネルギー成分を約1/10に低減することができた。しかも銅リングなどを使用しないため、磁界のロスが激減。高いエネルギーを保ったまま再生できる。もちろん、トゥイーターに使用したECCT技術も採用。渦電流による歪みも大幅に低減している。

フレームも凝っている。ウーファーを手にしてみるとわかるが、車載用スピーカーとしては異例の超重量級。これは、スピーカーの反作用による影響を抑えるため磁気回路のヨークを重くしているのだが、アルミダイキャストのメインフレームは磁気回路のプレート&ヨークと結合して剛性を大幅に向上。また、磁気回路を覆う新形状のDMMフレームは亜鉛ダイキャストを採用し、メインフレームと結合している。この異種金属の組み合わせで双方の共振を抑えるとともに、DMMフレームには各所に長さの異なるスリットを入れ、さらに不要共振を抑えているのだ。

ネットワークはトゥイーター用/ウーファー用がセパレート式で、バイアンプやバイワイヤリングが可能な設計。中のコンデンサーなどをあえて斜めに配置したり、音にこだわっているのがうかがえる。

とくにトゥイーターが素晴らしい

これらトータルで狙ったのは、すべての可聴帯域をピストンモーション領域で再生することだ。3ウェイスピーカーなら、不可能ではないがクルマへの装着性を考えたら、3ウェイは一気にハードルが高くなる。そこで、2ウェイで分割共振のないフルピストンモーションの音を実現しようと作り上げたのが、DS-SA1000である。

その音だが、これまでいかに分割共振による余計な音を聴いていたのかと、ハッとさせられる。とにかく濁りのない音。付帯音のない音楽信号そのままの音はこれほどクリアで気持ちがよいものかと、改めて思わせる。

とくにトゥイーターが素晴らしい。出てくる音のひとつひとつに力があり実在感がある。それも、あくまでも透き通っていてクリアな音だ。音の立ち上がりもものすごく速く、パーカッション等の打楽器も、本当に目の前で叩いているのかと錯覚してしまいそうなくらいリアル。このトゥイーターは、何としても手に入れたい。そう思わせるユニットだ。

ウーファーはトゥイーターの良さを邪魔しない。というか、この組み合わせでなければ、トゥイーターの良さを引き出せないといったほうが正確かもしれない。DS-SA1では、トゥイーターの音色とウーファーの音色の繋がりに、若干の違和感を感じる面もあったが、DS-SA1000ではまったく違和感なく、同一素材を使用しているDS-G500のようによく馴染む。だからボーカルの生々しさや表情がよく再現されるのだろう。

音楽をリズム重視、メロディ重視と分けるならば、DS-G500まではリズム重視のスピーカーと個人的に思っていた。というのも、ハイスピードでキレがよくて解像度も高く、インストルメンタル系の音楽は気持ちよく再生できたが、ボーカル曲の表現力はややクールかな?と感じていたからだ。ところがDS-SA1000はそんな分類は一切不要。リズムも切れるし、ボーカルも生々しく表情豊か。試聴室でエンクロージャー入りのスピーカーを聴いても、ホーム用の数100万円クラスのスピーカーの音となんら見劣りしない。カーオーディオでは最強のスピーカーといっても過言ではない。

  • ※4カップ積層型カーボンナノチューブ「CSCNT」の研究開発製造を行っている株式会社GSIクレオスと三菱電機先端技術総合研究所の共同開発技術
Catalog / Contact