このページの本文へ

ここから本文

CLUB DIATONE

メニューを開く

DIATONE®車載用スピーカー
DIATONE Car speakers

車載用DIATONEスピーカー
DS-G500

DS-G50の音とは別物で、
強烈にスケールアップしている。

カーオーディオジャーナリスト
石田功氏

満を持してDS−G500登場

21世紀の新素材、カーボンナノチューブによるNCV振動板を採用したダイヤトーンのセパレート2ウェイスピーカー、DS-G50が2011年に登場してから早4年。その間、NCV振動板採用のスピーカーは、サブウーファーのSW-G50が追加され、昨年はよりリーズナブルな価格のDS-G20が発売されるなど、ラインアップを拡充した。

このDS-G20の登場で少々、存在感が薄れた感のあったDS-G50だが、着々と生まれ変わる準備を進めていた。そして満を持して登場したのがDS-G500である。品番の数字が50から500へと一気に一桁増えたことからも、自信のほどが伺える。

まったく新しい振動板構造

そんなDS-G500の変更点だが、ウーファーもトゥイーターも、振動板がまったく新しくなった。

まずウーファー。素材そのものはDS-G50と同じNCVだが、振動板の背面に5本のリブを設けたソリッドライン構造とした。これは、剛性を高めて振動板の変形量を減らすことで、ボイスコイルの動きをより効率よく正確に、空気振動に変えることを狙ったものだ。そのおかげでもともとの持ち味だったレスポンスの良さは、さらにアップ。またウーファーの口径が一回り大きくなったようなエネルギー感も得られるという。

実は、このリブが5本に決まるまでには様々なカット&トライがあった。5本、6本、7本、8本…と様々な本数を試してまずはシミュレーション。特性が良さそうな振動板を実際に数パターン作って試聴した結果、聴感上でもっとも良かった5本のリブのソリッドライン構造に決まったのだという。


左がDS-G50、右がDS-G500の振動板背面

トゥイーターは従来と同じドーム&コーン型振動板を採用し、一見、何も変わっていないように見える。が、振動板とボイスコイルが接する部分の振動板形状が変わった。DS-G50のトゥイーターの振動板は、一筆で書ける形状だったのだが、DS-G500の振動板はY字型。Yを「V」と「I」に分けてみると、Vの部分が振動板、Iの部分がボイスコイルとの接合部というわけだ。

このYコンタクト構造に変えたおかげで、振動板の変形量は無いに等しいほど極小になった。そのため、高域に追従性は大幅に向上。よりナチュラルで正確、かつハイスピードで空間表現に優れたサウンドを再生できるようになったという。


左がDS-G50、右がDS-G500の振動板背面

高域はよりスムースになり、低い音階まで音に力がある

実際に音を聴いてみると、これまで述べてきたことに、大きく頷いていただけると思う。まず感じたのは高域のスムースさ。実は、これまでのDS-G50のトゥイーターは、試聴室のようにスピーカーと正対する形で、トゥイーターを耳の高さに合わせて聴くと、多少、高域がピーキーに感じる部分があった。リスニングポジションをトゥイーターの高さよりもちょっと高い位置にして、耳の高さをトゥイーターの音軸から少し外すと丁度いいくらいのイメージである。

ところが、DS-G500はトゥイーターを耳の高さに合わせて試聴しても、DS-G50で感じていた高域のピーキーさがまったくない。もともと、トゥイーターとウーファーの振動板に同じ素材を使用することで、まるで再生レンジが広いフルレンジスピーカーのような音色の統一感はあったが、聴感上の特性がさらにスムースになったことで、低域から高域までよりナチュラルで一体感のあるサウンドを聴かせてくれる。

しかも、ウーファーの剛性アップに伴い追従性が高まったことで、解像度、レスポンスともに一段と向上。NR-MZ90シリーズにモデルチェンジしたDIATONE SOUND.NAVIが格段に解像度アップした上にDS-G500も解像度が高まったのだから、この組み合わせは強烈で、これまでカーオーディオでは聴けなかった、見晴らしのいい世界が見えてくる。

エネルギー感が向上して、よりダイナミックに、という点も確認できた。DS-G500もそうだが、DS-G50は車載状態で特性がフラットになるハイダンピング設計で、試聴室のような広い空間で聴くと低域がやや弱く感じるため、試聴室ではイコライザーで低域を持ち上げる補正をしていた。

ところが、DS-G500の場合、もちろん周波数特性的には低域がなだらかに落ちているのだが、試聴室で聴いても低域を持ち上げる補正が不要なほど、低い音階まで解像度があり音に力がある。そこで、DS-G50同様の低域補正を与えると、引き締まった筋肉質な低域のままでエネルギー感がモリモリと湧いてくるものだから、音に躍動感が加わる。だから、音楽を聴いていて楽しい。

中域の密度感が増したのも大きな変化だ。一般的に、2ウェイスピーカーだと中域の情報量が物足りなく感じるため、ミッドレンジを足して3ウェイ化を図り、中域の情報量を増すわけだが、DS-G500なら、わざわざミッドレンジを加えて3ウェイ化を図るまでも無いなと思えるくらいの中域の密度感だ。総合的には、DS-G50とはまったくの別物。型番の数字が一桁増えたが、音は二桁も三桁もスケールアップした印象だ。

さらに、嬉しいのがトゥイーター、ウーファーを、それぞれ単体で購入できること。これなら、DS-G50をお持ちの人が、まず手始めにトゥイーターだけをG500のものに替えてみるとか、ウーファーだけを替えてみるということができるし、DS-G20をお持ちの人がトゥイーター、ウーファーを徐々にDS-G500にグレードアップするということもできる。もしかしたら、純正スピーカーにDS-G500のトゥイーターを加えてみるだけでも、音質向上の効果が期待できるかもしれない。そんなユーザーにとって嬉しい商品ラインナップとしてくれたのも、DS-G500の良さだ。

デモカーインプレッション

NR-MZ90PREMIとDS-G500の組み合わせを、早速デモカーのアルファロメオ・ジュリエッタで試聴した。 試聴した時期が、完成直後だったためか、まだまだ若い音というかまだ硬さが抜けておらず、エージングの必要性は感じたが、試聴室で感じた解像度の高さと中高域の滑らかさ、低域の躍動感の高さを確認できた。

また、これは解像度の高さがもたらすのだろうが、音場の空気感がいい。とくにライヴ音源などは、空間の広さや奥行きをしっかりと感じることができる。その上、ヴォーカルや楽器などの音像の輪郭がシャープ。そこにいるようにヴォーカルが唄うし、楽器が鳴っているので、リアルに近い感覚で音楽が楽しめる。

マルチ+パッシブ3Way/L

そんなデモカーで、もっとも驚いたのは、NR-MZ90PREMIに新しく加わった調整モード、マルチ+パッシブ3Way/Lで調整した時の音だ。これまではミッドレンジを加えて3ウェイ化したときのためにマルチ+パッシブ3Way/Hという調整モードがあったわけだが、マルチ+パッシブ3Way/Lはウーファーが受け持つ帯域を2分割してマルチウェイタイムアライメント調整できるようにしたモードである。つまり2ウェイスピーカーを疑似3ウェイ化して、ウーファーの調整性を高めたわけだ。

しかもウーファーの剛性アップに伴い追従性が高まったことで、解像度、レスポンスともに一段と向上。NR-MZ90シリーズにモデルチェンジしたDIATONE SOUND.NAVIが格段に解像度アップした上にDS-G500も解像度が高まったのだから、この組み合わせは強烈で、これまでカーオーディオでは聴けなかった、見晴らしのいい世界が見えてくる。

この調整を施したとき、何がすごいのかというと、ベースの音が輪郭もシャープに目の前に浮かび上がる。このベースのフォーカスがビシッと合った感覚は、これまでカーオーディオでは聴いたことがなく、多少輪郭がぼやけて音像が膨らんでいても、ベースの音が前から聴こえていれば、カーオーディオでは良しとしていたところだが、マルチ+パッシブ3Way/Lでこの音が可能だとなると、カーオーディオの次元は一段上がる。そんなエポックさえ感じさせる音であり機能である。

ピュア・エクステンド・ワイドサラウンド

ピュア・エクステンド・ワイドサラウンドも新しく加わった機能。従来のカーオーディオにあるホールシミュレーションのような、残響を付加するサラウンドではなく、音楽ソースに含まれている残響成分を抽出して残響を付加する方式だから、残響音が自然。しかもFIRで処理するから、サラウンドをかけても元々の情報量やクオリティを損なわずに自然に広がりのある音場感が得られる。とくにライブ音源には効果的だし、複数の人で出かけるときにも、いい機能だと思う。

ものすごく高性能なフルレンジスピーカーのように、低域から高域まで統一感のある音色で、細かい音どころか空気感まで描写し、ベースの音像がシャープな輪郭とともにリアルに現れるNR-MZ90PREMI+DS-G500の音は、従来のNR-MZ80PREMI+DS-G50の時よりも一つ、次元を超えた感がある。とくにライヴ音源を聴きたくなる、そんなサウンドだ。

Catalog / Contact