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連載コラム「星空の散歩道」ライター:国立天文台 教授 渡部潤一 最新の天文学のトピックスも織り交ぜながら、季節の星空の話題をお届けします。

2011年4月25日 vol.65

みずがめ座η流星群を眺めよう

今年のゴールデンウィークは、ちょっと休みにくい並びだが、3日が新月であることもあって、星空を眺めるには最高の条件である。都会を離れ、旅行に行く機会もあると思うので、月明かり・街明かりのない初春の星空を眺めてほしい。

この季節、深夜にはすでに夏の星座たちが見え始める。東には夏の大三角がのぼってくるし、南にはさそり座が雄大なS字カーブを描いて輝いている。深夜2時過ぎには、夏の天の川の最も濃い部分、いて座が南中を迎える。街明かりのないところであれば、天の川を眺めることができるだろう。午前2時過ぎを過ぎると、東からは秋の星座が上ってくる。夏の大三角の真下、東の地平線から現れるのが、秋の四辺形であるペガスス座や、みずがめ座といった秋の星座である。

2011年5月6日 午前3時頃の東京の空 みずがめ座流星群が見頃。

特に、連休の後半には、このみずがめ座に注目したい。連休後半には、この星座に放射点を持つ流星群が活動するからだ。みずがめ座η(エータ)流星群である。条件さえ良ければ一時間に数十個程度の流れ星を数えることができる。流星というのは、満天の星空のもとであれば、ものの10分も眺めていれば必ず目にすることができる。こういったランダムに出現する流星を散在流星と呼んでいる。一方、特定の時期に、集中して流星が見られることがある。いわゆる流星群である。実は、規模が小さなものまで含めると、流星群は50を超えるほど存 在するのだが、今夜は流星が多いなぁ、と思えるほどの出現を示す流星群は数えるほどしかない。三大流星群と呼ばれているのが1月はじめのしぶんぎ座流星群、8月中旬のペルセウス座流星群、それに12月中旬のふたご座流星群である。これらの流星群は、条件さえ良ければ一時間あたり50個を超える流星を数えることも珍しくない。三大流星群は、ほぼ毎年のように出現する。

みずがめ座η流星群は、三大流星群には及ばない、やや規模は小さい流星群なのだが、これは日本での話。オーストラリアなどの南半球に行くと、その流星数は倍増するのである。これは放射点がみずがめ座という、やや南天の星座にあり、明け方に上ってくるために、日本から見ると地平高度が低いが、南半球では高いからである。

放射点というのは流れ星になる砂粒が地球に突入する方向なので、それが観察する場所から見て、どちらになるかが重要である。真上にあるような場合は、流星は真上から降ってくることになり、たくさん見える。放射点が地平線に近いほど、つまり高度が低ければ低いほど、夜空の単位面積当たりに出現する流星の数が減ってしまうのである。オーストラリアで一時間に50個見えても、日本では半分以下になってしまうのである。

とはいえ、明け方に近づけば近づくほど放射点の高度も上がり、なんとか流星群らしい活動を見せる。しかも休みの取りやすい連休に活動するので、天文ファンにとっては馴染みの流星群である。みずがめ座流星群の母親は、実は10月に出現するオリオン座流星群(参照:vol.23/「3000年以上前のハレー彗星のかけら ーオリオン座流星群を眺めようー」)と同じ、ハレー彗星である。ハレー彗星は、地球の軌道と二カ所で近づいているために、ほぼ半年をおいて二度出現するのである。つまりオリオン座流星群とみずがめ座η流星群は、同じ母親を持つ兄弟と言っても良い。どちらもスピードが速く、明るく輝く流星が多いので迫力がある。

ところで、流星を眺めるのに、その星座を探したり、その星座の方向を見つめる必要は全くない。流星は全天のどこにでも出現するからである。放射点から流 星が全天に流れ出すように見えるので、むしろ離れた方向、つまり西や南を眺めていた方が、流星の軌跡は長くなり、迫力がある姿を楽しめる。

みずがめ座流星群の活動は連休の後半、3日頃から目立ちはじめ、5日から6日頃に極大となる。今年は6日明け方、そして7日の明け方が最も流星数が多くなるだろう。6日は金曜日で平日なので仕事や学校が有るときにはちょっと厳しいが、7日は土曜日なので、晴れれば明け方にみずがめ座η流星群の流星を眺めてみてほしい。

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