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先人の知恵や歴史、日常に役立つマナーを掲載しています。

知っ得マナー アジアの人たちが「!?」と感じる日本のビジネスマインド
日系企業で働くアジアの人たちに聞く 奇異に感じたニホン人の仕事の常識

2015年10月公開【全1回】

ビジネスマナーに正解なし 理由があれば理解できる

台湾編

ニホン人は“飲み”でコミュニケーションを取る

日本人はオンとオフを切り替える。お酒の席でないと、プライベートにあまり踏み込まないことも多い。「別にオフィスでプライベートな話をすればいいのに…」。そう思われているようだ。言い換えれば、台湾では仕事中にプライベートな話をしても、進行に支障がなければまったく問題ないようだ。

ニホン人は“予定”を何より大切にする

案内すべきことを順々に知らせていたら「日本ではそうしない」と言われたそうだ。日時、場所、連絡先などは、1回でまとめて知らせるものだと初めて知ったという。予定と実際を必ず比較する習慣にもびっくりしたらしい。予定を立て、それをしっかりと守ろうとする仕事の仕方は、現地の人にはなじみがないのかもしれない。

香港編

ニホン人はささいなことを“義務”として強要する

日本人からさまざまなことを義務化されるのが、精神的に苦痛になるのだという。
例えば、報連相を一つひとつ強要されることや、「ドアは静かに閉める」「ファイルは元の場所へ」など貼り紙をされることに、幼稚さを感じるそうだ。香港では義務化しない代わりに、自己責任とする考え方が一般的なのだ。

ニホン人は“YESでないことをYES”と言う

「うんうん」と言っているので合意を得たと思っていたら、最後に断られて驚いたという。「相づち」の存在を知らなかったのだ。しかし慣れてきて、いつの間にかすっかり身に付き、自国の人に「はっきりして!」と言われるほどになった人もいるそうだ。とはいえ現地の人相手のコミュニケーションでは、結論をはっきり言うように心がけたほうがよさそうだ。

中国編

ニホン人は“融通”がきかない

日本の技術力、品質、業務態度を評価している半面、一緒に仕事をしてみると「融通がきかない」「頑固」といった資質を感じ、なじめなかったそうだ。分単位で時間厳守を徹底され、たった数分の遅れも理由にかかわらず許されない。「いきすぎでは?」と感じていたが、慣れてくるとその根拠が徐々に理解できるように。日本のビジネスのやり方は、みんながそれをきちんと実行すると、驚くほどうまくいくようにできているのが分かったという。

インドネシア編

ニホン人は“ルール”に重きを置き過ぎる

インドネシアでは、日本人の勤労意欲の高さに敬服している一方で、仕事上のルールに対して盲目的に忠実だと見られている。現地の人はルールを守らないことも多く、ルールそのものを変えることにも、まったく抵抗はないそうだ。しかし、日本人に仕事で生じた疑問をぶつけても「ルールだから仕方ない」としか返してもらえないことが多いという。なぜそのルールを守らなくてはならないのか、なぜそのルールが仕事上必要なのかを、必ず説明したほうがよい。

まとめ

各アジアの現地日系企業で働く人々は、「どうして日本人はこう言うのだろう」「どうして日本の会社はこうなのか」と感じることが多々あるようだ。しかし彼らはどこかで折り合いをつけ、そのビジネスマインドに納得すると長く仕事を続けることができる。どちらが正しいというのではなく、なぜそうするのかということをきちんと説明し、理解してもらうことが大切なのだ。

協力/学習院大学 国際研究教育機構「日本語研究者/教育者支援アジア・ネットワーク形成の試み」代表・前田直子
イラスト/Satoshi Nakamura

※この記事は、2015年3月発行の当社情報誌掲載記事より再編集したものです。

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