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三菱電機のFA技術や、ビジネスに役立つ各種レポート・コラムをご紹介します。

セミナーレポート
TECHNO-FRONTIER2015(第33回モータ技術展) セミナーレポート

2015年6月公開【全1回】

三菱電機名古屋製作所 新城工場 汎用モータ設計課 杉山昌伸 ※講演者の所属は2015年6月時点のものです。

日本でも始まった三相モータのトップランナー規制
34%の損失低減果たした「SF-PR」で対応

2015年4月から始まった規制

地球温暖化や電力需給不安などを背景に、モータの省エネルギー化が着目されています。世界の電力需要のうち46%がモータによるものとされているからです。特に産業部門のモータの消費電力は大きく、日本国内の産業部門が消費する電力のうち、75%はモータが占めると言われています。

三相モータの規制はこうした事情を背景に設けられました。出力と極数ごとに効率基準値を細かく規定し、それをグローバルで統一しています。同じ物差しのうえで比較可能にすることで、世界市場の透明性を高めるためです。

効率レベルによって標準クラスのIE1から最も高い効率のIE4まで、4つの規格に分かれています。メーカが販売するモータがどの規格を満たす必要があるかは、国や地域によって異なりますが、日本や欧米などではプレミアム効率と位置付けられているIE3が必要とされています。その時点の最高技術を規制の基準とする「トップランナー規制」が設けられているのです。欧米に続く形で日本では2015年4月から、新規に出荷するモータはIE3の基準を満たすことが義務づけられました。

規制を大きくクリアするSF-PR

このIE3に対応するモータとして当社が提供しているのが「SF-PR」です。IE3を満たすために、高効率化へのさまざまな技術が詰め込まれています。ステータの鉄心に新しい素材を使用し磁束密度を高めると同時に、巻線の高密度化を進めています。鉄心は当社の電磁解析技術により形状を最適化することで、負荷率増大とともに増加する漂遊負荷損の軽減をはかりました。これらにより、当社のIE1モータであるSF-JRに比べて平均34%の損失低減を実現し、IE3で定められている効率基準を大きく超えることが可能になりました。その効率は、IE3よりさらに高いIE4の基準に近いレベルに達しています。

SF-PRは従来製品(SF-JR)に比べて平均34%の損失低減を実現
SF-PRは従来製品(SF-JR)に比べて平均34%の損失低減を実現

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SF-PRは従来製品(SF-JR)に比べて平均34%の損失低減を実現
SF-PRは従来製品(SF-JR)に比べて平均34%の損失低減を実現

高効率化と同時に、インバータとの親和性も高めています。20Hz以下の低速域では通常のモータは特性が出ないため、こうした用途では専用のモータを使うのが一般的です。しかし当社のインバータFR-700/800シリーズと組み合わせることにより、通常のモータでも定トルクで運転できる範囲が低速域に拡大しております。当社のIE2モータであるSF-HRでは6Hz、専用モータのSF-HRCAでは3Hzまで広がりましたが、SF-PRでは0.5Hzからの定トルク運転が可能です。

展示ブースではSF-PRとインバータFR-A800を組み合わせて1.30Hzという低速でモータを動かし、オルゴールを鳴らすデモを披露
展示ブースではSF-PRとインバータFR-A800を組み合わせて1.30Hzという低速でモータを動かし、オルゴールを鳴らすデモを披露

しかしモータが高効率化したと言っても、実際に現場に取り付けるのが困難では意味がありません。そこでSF-PRはSF-JRと同じ取付寸法を同一にし、既存の設備に組み込まれたモータを容易に置き換えられるようにしています。サイズだけでなく、ブレーカやコンタクタなど配制機器も、SF-JRにつながっているものがそのまま使えます。設備をリニューアルすることなく、中のモータを置き換えるだけで設備の省エネを進めることが可能なのです。

展示ブースではSF-PRとインバータFR-A800を組み合わせて1.30Hzという低速でモータを動かし、オルゴールを鳴らすデモを披露
展示ブースではSF-PRとインバータFR-A800を組み合わせて1.30Hzという低速でモータを動かし、オルゴールを鳴らすデモを披露

省エネ効果を具体的に試算

当社ではSF-PRへの置き換えでどのくらいの省エネ効果が得られるか、具体的に試算してご提案しております。例えば11kWの工場内換気ファン10台のモータをSF-JRからSF-PRに置き換えた場合、1日12時間、年間240日の稼働で、電気料金1kWhあたり14円という条件だと、1年間で31万4000円の電気料金削減が可能です。

ポンプやコンプレッサ、ブロワーなどでは、中のモータが10年以上の長期に渡って使われていることが多く、省エネ効果によるモータの投資回収は容易です。早期に置き換えるほど大きな効果が得られるでしょう。当社はモータなどFA製品を紹介するWebサイトで、SF-PR置き換えによる省エネ効果を具体的に試算できるツールをご用意しております。

省エネは、モータの効率性改善以外からも進めることができます。効果的な方法の一つは、求められる出力に合ったモータを選択することです。モータの定格出力は、大が小を兼ねるわけではありません。同じ出力でも、定格が大きいものよりも小さいものを選んだ方が効率面で有利な場合があります。例えば4~5kW程度の出力が必要な場合、11kWよりも7.5kWのモータを使う方が効率よく動作させることができます。

必要な出力に合わせて最適な定格を選ぶことで省エネが進む
必要な出力に合わせて最適な定格を選ぶことで省エネが進む

モータを置き換える場合、今と同じ定格のものを選ぶ必要は必ずしもありません。当社のエネルギー計測ユニット「EcoMonitorLight」などを使って、装置の運転パターンや消費電力を把握してそれに合ったモータを選択するのが有効です。

その他にも、モータと装置の間のプーリ比の見直しなど、省エネを実現する方法はあります。当社は単なるモータの置き換えだけでなく、使い方も同時に見直しながらさらに省エネを進める方法をご提案しております。

必要な出力に合わせて最適な定格を選ぶことで省エネが進む
必要な出力に合わせて最適な定格を選ぶことで省エネが進む

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三相モータの規制は、グローバルで統一された基準のもとに作られておりますが、対象範囲や電圧、認証取得義務などの部分はそれぞれの国や地域で異なります。そのため日本で規制に適合したモータでも、海外でそのまま使うことはできません。ものづくりのグローバル展開を進めるうえでは、現地の規制を満たしたモータを選択することが重要です。SF-PRは主要な国や地域の規制に適合したモデルをラインナップしております。

SF-PRは世界各国・地域の規制を反映する形でグローバル対応を進めている
SF-PRは世界各国・地域の規制を反映する形でグローバル対応を進めている

まず米国については、日本国内向けと同じモデルが使用できます。国内向けモデルは200V/50Hzなど国内3定格に加えて、米国の230V/60Hzの定格も1台で対応しているからです。欧州や中国、韓国にはそれぞれの電圧や周波数に対応し、認証ラベルを添付したモデルを用意しております。欧州と中国については2極、4極、6極を、韓国は4極をラインナップしております。

SF-PRはその高い省エネ性が評価され、2015年3月に優秀省エネルギー機器表彰において、日本機械工業連合会会長賞を受賞しました。当社のインバータや電磁開閉器と合わせて、駆動システム全体の省エネ化を進めるソリューションを展開していきたいと考えております。

SF-PRは世界各国・地域の規制を反映する形でグローバル対応を進めている
SF-PRは世界各国・地域の規制を反映する形でグローバル対応を進めている

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省エネシミュレーション

お客様の使用環境に合わせて、省エネシミュレーションが体感できます。
省エネ効果シミュレーション ダウンロード

  • ※本システムをお使いいただくには、Microsoft .NET Framework 4が必要です。

製品・ソリューション紹介

プレミアム効率モータ SF-PR

プレミアム効率モータ SF-PR

全機種(80 - 225フレーム)で鋼板フレーム化を実現した標準モデル

インバータ FR-800/700シリーズ

インバータ FR-800/700シリーズ

インバータの世界を大きく変えた800/700シリーズ

EcoMonitorLight

エネルギー計測ユニット EcoMonitorLight

エネルギー計測に必要な表示・設定が1台で実現

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