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三菱電機のFA技術や、ビジネスに役立つ各種レポート・コラムをご紹介します。

セミナーレポート
TCO削減ソリューションセミナー セミナーレポート

2015年11月公開【全1回】

三菱電機講演 三菱電機名古屋製作所 FAシステム第二部コントローラ開発課 課長 井上直丈

※講演者の所属は2015年9月時点のものです。

e-F@ctoryを実現するキーコンポーネント ~C言語コントローラのご紹介~

生産現場に特化したコントローラで管理コストを低減

生産現場では、機械や設備の制御・検査・監視・通信のために多くのパソコンやマイコンが使われています。しかしこれらはもともと事務現場での使用を前提に作られており、ものづくりの現場での使用にはいくつかの課題が伴います。

一つは維持管理コストで、特にOSの更新には費用と工数がかかります。二つめはセキュリティのためのコストです。汎用製品のパソコンはウイルスによる攻撃にさらされやすく、対策が欠かせないためです。三つめは耐久性です。生産現場は事務現場に比べて振動や塵などが多く、パソコンにとって厳しい環境と言わざるを得ません。振動や塵はパソコンの故障の要因となります。四つめは生産現場で求められる長期使用が困難なことです。商用のパソコンは製品サイクルが早いために、本体や部品の供給年数が短く、同じ仕様のものを継続的に導入することができなかったりするからです。

こうした課題を解決するために、当社が提供しているのが「C言語コントローラ」です。35年以上に渡るシーケンサのノウハウから生まれたコントローラで、生産現場での長期使用に対応できる耐環境性や既存の資産を活用できる点などに優れています。長期使用が可能なことはTCOの削減に特に効果的です。実際、10年間使用する場合で試算すると、パソコンに比べてTCOは3分の1に軽減できるというデータもあります。

耐環境性を高めたC言語コントローラは維持管理コストの低減に効果的

耐環境性を高めたC言語コントローラは維持管理コストの低減に効果的

パートナ製品も豊富で、C言語コントローラにパートナ製のアプリケーションを搭載することで、専用ユニット化することが可能です。現在、当社シーケンサ「MELSEC」Qシリーズとして4機種、iQ-Rシリーズとして1機種を販売しておりますが、2015年中にiQ-Rシリーズの新機種として、CPUユニットを補完する独自演算・通信用途に最適なベーシックモデルを追加する予定です。

C言語コントローラのラインナップ。年内にiQ-Rシリーズ用のベーシックモデルを追加予定

C言語コントローラのラインナップ。年内にiQ-Rシリーズ用のベーシックモデルを追加予定

C言語コントローラの特徴の一つは、高いリアルタイム性です。マルチコアのARMプロセッサと、組み込み向けで実績の豊富なリアルタイムOS「VxWorks」の搭載により、高いレベルのリアルタイム性を実現しており、タクトタイムの向上に貢献します。もう一つの特徴は豊富な関数群です。C/C++標準関数、VxWorksの関数やC言語コントローラ特有の関数に加えて、シーケンサのデバイスを読み書きするMD関数も用意されています。

高速のシステムバスや同期機能、定時性保証の仕組みも特徴です。従来比約40倍の高速バスで、取り込むデータの増大にも耐えるようになっています。ユニット間やネットワーク間の同期、制御周期の定時性保持により、伝送遅れやデータ授受のばらつきをなくし、製品の品質安定に貢献します。一つの処理から次の処理への遷移をユニットからの割り込みで行うため、処理完了を検出するためのポーリングが不要になり、CPU負荷を低減する仕組みも取られています。

EthernetからSLMP通信でパソコンのプログラムや表示器、画像処理システムなど各種のSLMP対応機器と接続するなど、多様な周辺機器を接続できることや、メンテナンス作業の中でも特に面倒なバッテリ交換が基本的に不要なことなども特徴です。C言語コントローラはバッテリ不要のMRAMをデータ保持用に使用しているため、保守の負担が軽減できます。開発環境などを一緒に購入できることも、迅速なシステム立ち上げに効果を発揮します。C言語コントローラ用エンジニアリングツールの「CW Workbench」やVxWorksシミュレータ「CW-Sim」なども、当社から提供可能です。

C言語コントローラは、「生産現場」と「ITシステム」の間で「FAとITの連携」というe-F@ctoryの基本コンセプトを実現するキーコンポーネントです。「生産現場」にてデータ収集後に一次処理して、クラウドと連携するエッジコンピューティングのプラットフォームとしても、C言語コントローラは活用できます。

TCO削減を支援するパートナーソリューション

C言語コントローラは、オープンプラットフォームとしても活用可能であり、パートナアプリケーションとの組み合わせにより多彩なシステムを簡単に構築・カスタマイズできます。例えばMathWorks Japanの「MATLAB/Simulink」は、モデルベース開発による効率的な開発が可能で、作成したブロック図からシミュレーション検証とC言語コードを自動生成して、プログラム開発の効率化を実現します。ラティス・テクノロジーの「Vmech」は、C言語コントローラと3D CADを組み合わせて実機レス開発を可能にして、リードタイム短縮と開発費削減を実現します。パートナアプリケーションの拡充により、適用できる範囲は今後さらに広がっていきます。

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e-F@ctory

三菱FA統合ソリューション e-F@ctory

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