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読む宇宙旅行

2014年1月16日

宇宙日本食で免疫力アップ!

盛りつけた宇宙日本食28品。品目を更に増やして1週間のメニューを組みたいとのこと(提供:JAXA)

盛りつけた宇宙日本食28品。品目を更に増やして1週間のメニューを組みたいとのこと(提供:JAXA)

 和食が2013年に、ユネスコの無形文化遺産に登録された。ヘルシーで美味しい和食は今や世界で大人気だ。もちろん宇宙でも。「宇宙日本食」で栄養補給はもちろん、疲れを癒し活力を与えるばかりでなく、さらにカルシウム強化、免疫力アップ、放射線防護など宇宙環境で受けるリスクを和食で低減しようという試みが始まろうとしている。日本機械学会が2013年12月開催の「宇宙サロン」で宇宙日本食についての講演があった。

 現在、宇宙日本食は28種類。カレーやさばの味噌煮、ラーメンなど、日本の一般家庭でテーブルに並ぶ料理を中心に人気がある。将来的に宇宙日本食だけで1週間のメニューを作ることを目標に、2013年7月、JAXAが一般企業に対して募集をかけた。宇宙食には「常温で1年半保存できること」など厳しい条件が課され、様々な試験を行う必要があるため、必要な一部費用を負担したこともあり、12月の締め切りまでに予想を大きく上回る応募があったという。

 JAXA宇宙飛行士健康管理グループ副グループ長の佐藤勝さんによると、「地方でのセミナー会をしたこともあり、期待できる宇宙日本食候補を応募して頂いた。10品目程度を選ぶ予定だったが時間をかけて多めに選びたい」とのことだ。

 そして日本はヘルシーな宇宙日本食をさらに一歩進めて、宇宙環境で受ける様々なリスクを食で低減できないか、と考えている。たとえば無重力状態で長く生活しているうちに、骨密度が低下することはよく知られている。宇宙飛行中に1日約250ミリグラムのカルシウムが尿に出て行くそうだ。そこでカルシウムを強化した宇宙食は既に開発されている。

 JAXAが今、もっとも注目するのは「免疫力」。宇宙で暮らす宇宙飛行士が様々なストレス等の要因により免疫力が低下することが報告されている。宇宙には病原菌がないので発病しないが、帰還後病気に罹る宇宙飛行士もいるという。そこで免疫力を活性化する効果のあるメニューを考え、実際に宇宙飛行士に宇宙で食べてもらい、その効果を調べようと計画している。

2009年の宇宙長期滞在で宇宙日本食を浮かべ嬉しそうな若田光一宇宙飛行士(提供:NASA)

2009年の宇宙長期滞在で宇宙日本食を浮かべ嬉しそうな若田光一宇宙飛行士(提供:NASA)

 この研究は「きぼう」利用の重点課題テーマにも選ばれている。チームの一人である、太田敏子筑波大学名誉教授は「免疫細胞の約70%は腸にある。腸内細菌を活性化し、運動と組み合わせることによって免疫力の低下を防げるのではないか」と言う。

 腸内の免疫を活性化させるには、乳酸菌やビフィズス菌を含むヨーグルトや納豆菌からできる納豆などを摂取して腸内の善玉菌を増やすのが効果的なようだが、残念ながら菌数の多いこれらの食品を宇宙食として国際宇宙ステーションに持込むことは許可されていない。そこで、太田教授は「ごぼうやにんじんなどの根菜類やほうれん草、ブロッコリーなどの色の濃い野菜などで食物繊維をとるとともに、善玉菌のエサとなる『オリゴ糖』をとれば効果があるのでは」と考えている。乳酸菌を練り込んだビスコのようなお菓子もいいかもしれない。2015年以降に実施できるよう準備中とのこと。2015年と言えば油井亀美也飛行士が長期滞在する予定だ。

 免疫活性化のほかにも、リスク低減食は検討されている。たとえば、宇宙では長期間宇宙放射線を浴びるが、遺伝子DNAを作る補酵素として働く葉酸が効果があるのでは、とか宇宙で味覚が鈍るためどうしても濃い味付けになりがちな宇宙飛行士のために「低ナトリウム食」が考えられないか、というように。美味しい食事を食べながら、様々なリスクを減らすことができれば一石二鳥だ。宇宙でも地上でも食は大切。「和食は一汁三菜と言われるように野菜が豊富。健康にいいですよ!」と太田先生。太田先生のお肌はツルツル。ヨーグルトも毎日食前に食べるといいそう。さっそく実践しましょう!