
『世界にひとつのプレイブック』
今回レポートをするのは…
※2020年6月より当面の間、おすすめ映画ブルーレイソフトのレビューとなります。
編集部員T(女性)
寒い日が続き、もともとの出不精にさらに拍車がかかっている今日この頃です。休日は、家でごろごろしながら映画を見たり読書をしたりとステイホームを満喫しています。低温調理など、手の込んだ料理にも挑戦してみたいです。
編集部員S(女性)
年の初めに、財布を新調しようとミニマルな財布を探して買いました。今まで長財布にたくさんのカードを入れていたのが、今では必要最小限の2枚のみに。心もカバンの中身も軽くなって、いいことづくめです。
S今回のレポートは、第85回アカデミー賞で作品、監督、脚色、主演・助演男女と主要部門すべてでノミネートし、ジェニファー・ローレンスが主演女優賞を受賞した『世界にひとつのプレイブック』です。
T主人公がそれぞれ違う形で最愛の人を失い、心に傷を負った二人が立ち直るべく奮闘する姿を描いた、笑って泣けるハートウォーミング・ストーリー。
Sアカデミー賞受賞作品として、かなり話題となった作品ですね。それでは、まずあらすじからご紹介しましょう。
妻の浮気が原因で心のバランスを崩し、すべてをなくしたパット(ブラッドリー・クーパー)。今は実家で両親と暮らしながら、社会復帰を目指してリハビリ中だ。そんな時、出会ったのが、近所に住むティファニー(ジェニファー・ローレンス)。愛らしい姿からは想像もつかない、過激な発言ととっぴな行動を繰り出す彼女だったが、実は彼女も事故で夫を亡くし、心に傷を抱えていた。ティファニーは立ち直るためにダンスコンテストへの出場を決意、パットを強引にパートナーに任命する。人生の希望の光を取り戻すため、2人の挑戦が始まった。

S妻の浮気が原因で心のバランスを崩してしまったパット(ブラッドリー・クーパー)と、事故で夫を亡くしてから自暴自棄になっているティファニー(ジェニファー・ローレンス)。かなり強烈なキャラクターが主人公でしたが、Tさんは、いかがでしたか?
T絶望的な2人の境遇から、悲しい物語が始まるのかと思いきや、笑いあり涙ありで、見ていて元気になれる作品でした。パットは実家で社会復帰を目指して両親と暮らしながらも、浮気をした妻とよりを戻すのに必死。精神科医が薦める薬を拒んだり、突然夜中に暴れだしたり、とにかく破天荒な行動を繰り返してましたね。
Sそんな中、出会ったのが近所に住むティファニー。パットに負けず劣らず過激な発言と突飛な行動を取る彼女もかなり型破りで、パットが黒いゴミ袋をかぶって、ランニングをしていても、そこは気にもせず、自分の言いたいことを言い放つ。普通は、あのスタイルで近づいて来られたら、ちょっと引いちゃいますよね。
T私もそう思います。前半は、そんな二人のバトルが続いて、自分で自分をコントロールできない二人が見ていてもどかしくなりました。でも、パットの家族も負けずにキャラが濃いじゃないですか。特に、ロバート・デ・ニーロ演じる父親は、アメフトの勝敗を賭けて稼ごうとするちょっとダメなお父さん。それでも息子に対する愛情がないわけじゃない。
Sそうなんです。息子を立ち直らせようと協力するし、理解もしてるんですよね。だから、ティファニーとのことも陰ながら応援しているように思えました。ティファニーが立ち直るためにダンスコンテストへの出場を決意して、パットを強引にパートナーに引き入れた時は、周囲も戸惑いながら二人を応援していきます。
T観ているうちに、私もどんどん二人を応援したくなってきました。パットは、思ったことを正直に口に出してしまうので、それがもとで、トラブルになることも多いのですが、なぜか憎めないし、純粋だからこそ、心が傷つきやすいのかも。パットの目線で描かれたところに、少しずつ共感を覚えていったように思います。
S特典映像を観て知ったのですが実は、ラッセル監督の息子さんも、同じような心の病になり、苦しんだ時期があったんだそうです。それがこの作品を作るきかっけのひとつになったんだとか。さらに、父親役のロバート・デ・ニーロも息子さんが精神障がいをわずらったことを告白するなど、衝撃的なエピソードがありました。
Tあの父親としての渾身の演技は、実体験から演じられていたってことですね。
Sあっ、実は監督の息子さんも出演してるんですよ。近所に住んでいて、精神を病んでいるパットに興味を持ち、インタビューをしようとする子が、実際に監督の息子さんだそうです。俳優志望なんですって。
Tそうなんですか?それは、いい経験になったでしょうね。
Sところで、原題『Silver Linings Playbook』の“Silver Linings”は、直訳すると「銀色の裏地」ですが、「希望の光」という意味もあるのだとか。ちなみに、これは、英語のことわざ「Every cloud has a silver lining」=すべての雲には銀の裏地が付いている、つまり“どんなに絶望的な状況でもどこかに必ず希望はある”からきているそうですよ。絶望を希望に変えるための作戦図という意味があるのではないでしょうか。
Tなるほど、私もこの映画を観て、心の病について考える良いきっかけになりました。人とのつながりがないと病を克服できないということも…。今は、人と会うことが簡単にはできない時期ですし、孤独感から、心を病んでしまう人も多くなっていると聞きます。そんな時こそ、この映画で希望の光を見出して欲しいと思いました。
S“あらゆる努力をすれば、希望の光が見えてくる。絶望しても希望はある。”この映画の言葉を信じて、つらい時期を乗り越えたいですね。ブルーレイディスクには、特典映像として、未公開シーンや、メイキング、出演者のインタビューなどがなんと102分も収録されています。ご家庭でじっくりとお楽しみください。
次回もお楽しみに!
2021.02.10


