インスタントコーヒー解体新書インスタントコーヒー解体新書

手軽にコーヒーを楽しみたいときにぴったりのインスタントコーヒー。
とても身近な存在ですが、実は奥が深いのです。
今回はUCCコーヒーアカデミーで講師を務める小山勝宝さんに、
インスタントコーヒーの歴史から近年のトレンド、ほかにも基本の飲み方からアレンジアイデアまでをご紹介いただきます。
知れば知るほど楽しいインスタントコーヒーの世界を、どうぞ召し上がれ。

手軽なだけではない、インスタントコーヒーの魅力 手軽なだけではない、インスタントコーヒーの魅力

インスタントコーヒーの魅力の筆頭は、抽出の手間がいらないこと。特殊な器具がなくとも作れることから、自宅用だけでなく贈り物にも向いています。1杯飲むのに必要な粉の量はレギュラーコーヒーだと12gなのに対してインスタントコーヒーはたったの2g。コンパクトに収納できるので、ご自宅に置いてもスペースをとらず、持ち運びにも便利です。スティックタイプのインスタントコーヒーをバッグに忍ばせて、旅行やお出かけのお供に。そんな楽しみ方もできます。ここからは「インスタントコーヒーを知る」と「インスタントコーヒーを味わう」、ふたつのパートでお届けします。

インスタントコーヒーを知る①そもそも、インスタントコーヒーとは
インスタントコーヒーを知る①そもそも、インスタントコーヒーとは

インスタントコーヒーとは、コーヒーの抽出液から水分を飛ばして粉状または粒状にしたもの。「ソリュブルコーヒー」とも呼ばれます。お湯を加えると溶けてコーヒーができ上がるのが特徴です。これと似て非なるのが「レギュラーコーヒー」。レギュラーコーヒーはフィルターでドリップするタイプのコーヒーで、粉はお湯で溶けません。見た目がよく似ていて間違いやすいのですが、それぞれのパッケージには必ず「インスタントコーヒー」または「レギュラーコーヒー」という表示があるので、購入時には確認しましょう。

インスタントコーヒーにはさらさらとした粉状のものと、もう少し大きめの粒状のもの、ふたつのタイプがあります。この違いを生むのが製法です。高温の熱風を吹きつけて水蒸気になったコーヒー液を瞬時に乾燥させる「スプレードライ製法」で作ると粉状に。細かいのでお湯やミルクなどに溶けやすいのが特徴です。一方、コーヒー液を超低温で冷却し、水分を取り除く「フリーズドライ製法」だと粒状に。スプレードライ製法に比べてコーヒー本来の風味や香りが失われにくい良さがあります。

インスタントコーヒーを知る②考案したのは日本人だった
インスタントコーヒーを知る②考案したのは日本人だった

あまり知られていませんが、インスタントコーヒーを最初に考案したのは日本人です。1899年に、化学者の加藤サルトリ博士が製法を思いつきました。ところが当時の日本ではインスタントコーヒーの販路がなかったため、アメリカで発表したものの日の目を見ませんでした。その後、1903年に別の方法でインスタントコーヒーを作ったジョージ・ワシントンが特許を取得。それ以来、インスタントコーヒーは急速に広まり、団らんの場や集中したいシーンなどに寄り添ってきました。

現在となっては、コーヒーの生産に関わる人や企業の努力によって改良が重ねられ、もはやインスタントコーヒーにおいて「おいしい」のは当たり前。ドリップコーヒーと比べても、味に遜色はありません。かつては製造過程で風味が落ちやすいといわれていたカフェインレスのインスタントコーヒーも、今ではおいしい商品が登場しています。ますます多くの方から、インスタントコーヒーが愛される時代になっているのです。

インスタントコーヒー味わう①おいしさを最大限に引き出すコツはお湯の温度
インスタントコーヒー味わう①おいしさを最大限に引き出すコツはお湯の温度

まずはインスタントコーヒーを使ったホットコーヒーの入れ方を押さえましょう。コーヒーカップにインスタントコーヒー小さじ1杯(約2g)を入れます。お湯を約140ml注ぎ、コーヒーが溶けるまでよくかき混ぜたら完成です。コーヒーのおいしさを最大限に引き出すコツはお湯の温度。90度くらいがベストです。温度が高すぎると、コーヒーに含まれているタンニンから渋みが出やすくなるうえに、香りも失われやすくなります。カップを事前に温めておく「プレヒート」は必要ありません。カップに直接お湯を注ぐうえにドリップの時間がかからないため、プレヒートをしなくても飲み頃の温度になります。

アイスコーヒーにするときは、少なめのお湯で濃いコーヒーを作るのがポイントに。こうすることで、氷が溶けてコーヒーが薄まってもおいしく飲めます。多めの氷で一気に冷やすのもコツです。香りが閉じ込められ、コーヒーのおいしさを存分に味わえます。

インスタントコーヒー味わう②ひと手間かけてもっとおいしく「シナモン香るチョコカフェオレ」
インスタントコーヒー味わう②ひと手間かけてもっとおいしく「シナモン香るチョコカフェオレ」

お好みでミルクや砂糖を加えるなどアレンジしやすいのもインスタントコーヒーの魅力です。本格的な寒さがやってくるこの季節にぴったりの、心も身体も温まるレシピをご紹介します。

材料(1杯分)

  • ①インスタントコーヒー2g
  • ②お湯70ml
  • ③チョコレート2粒(板チョコ2片分程度)
  • ④グラニュー糖3g
  • ⑤牛乳70ml
  • ⑥シナモンパウダー適量

作り方

  1. 1.鍋に①から④を入れ、泡だて器でしっかりと混ぜ合わせる
  2. 2.鍋に⑤を入れて火にかけ、沸騰する直前で火を止めてカップに移す
  3. 3.⑥を適量振りかける

よく知っているようで実は奥が深いインスタントコーヒーについて、新たな発見はありましたか?
日常生活にもっと気軽に取り入れて、コーヒーライフを満喫しましょう。

2024.01.10

小山勝宝(こやま・かつたか)さんUCCコーヒーアカデミー講師

UCCコーヒーアカデミーは、初心者からコーヒーを仕事にしたい人まで楽しく学べるコーヒー専門の教育機関です。趣味で楽しむ方向けの体験コースやベーシックコース、プロ向けのプロフェッショナルコースやスペシャリストコースなど、ニーズに合わせてさまざまなコースを用意。コーヒーについて体系的かつ段階的に学べるため、ステージを変えてスキルアップすることも可能です。小山さんはここでメイン講師を務めています。

UCCコーヒーアカデミー

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