メキシコの人々にとってもっとも大切な祝祭の日と言えば、9月16日の独立記念日。1810年9月16日に初期の独立指導者による演説が行われ、この日からメキシコ独立革命がスタートしたとされることから、9月16日がメキシコにおける独立記念日となっています。

前夜祭からメキシコシティの広場には数十万の人が集まり、メキシカン・トリコロールの赤、白、緑をモチーフにしたアイテムであふれ、夜空には花火が打ち上げられます。

メキシコが最高に盛り上がる独立記念日の前後に、メキシコで食べる伝統料理が「チレスエンノガダ」です。

メキシコの大きな唐辛子（……と言っても辛い個体は多くはありませんが）、緑色の「チレ・ポプラノ」の中にスパイスやフルーツを効かせたピカディージョ（挽き肉のフィリング）を詰め、クルミを使った白いソースをかけ、真っ赤なザクロを散らす。まさにメキシコの色を模した行事食と言えるでしょう。

もともと19世紀ごろには原型となる料理があったようですが、色を重視する現代と同じスタイルになったのは1930年代頃からのことだとか。

特にクルミは新物を使うのがよいとされる上、ザクロも出回るのは秋口ですから、素材の旬を考えても9月の独立記念日の料理としてうってつけというわけです。

メキシコがもっとも盛り上がる季節に「典型的なメキシコ料理」と言われるチレスエンノガダにトライするのもいいかもしれません。ちなみに「チレ」は唐辛子、「ノガダ」はクルミを意味する言葉です。