塩だし醤(ひしお)篇

味噌や日本酒など身近な発酵食品に含まれ、美容や健康をサポートしてくれる食品として、近年あらためて注目を集めている“麹”。
麹の力をかりると料理の風味が向上して簡単に味がきまるので、実は時短料理にもつながります。
そこで、いつもの料理に使いやすい基本の塩麹のほか、多彩な麹調味料を使用したレシピをご紹介。時短でおいしいカラダいたわる料理をぜひお試しください。

今月は塩だし醤を自家製でつくり、
その麹をつかって
カラダいたわる時短ごはん6品
ご紹介します。

今回の麹でつくる調味料塩だし醤

自家製塩だし醤の出来上がり!

豆麹と麦麹が混ざっている「ひしお麹」に塩、水、だし昆布などを加えて発酵させた麹調味料で、米麹で作る塩麹よりもうま味、風味が強いのが特徴です。また、ひしお麹はたんぱく質を分解する力が強いので、肉料理などが柔らかく仕上がります。塩味なので、和風だけでなく洋風の料理にも使えます。

【保存の目安:冷蔵で3ヶ月間】

材料

作りやすい分量/できあがり塩分濃度約7%

  • ひしお麹(乾燥)100g
  • だし昆布(3cm角)1枚
  • かつお節の粉小さじ1/4
  • 150g
  • 20g

作り方

  1. 1下ごしらえをする

    だし昆布はキッチンバサミで2~3等分に切る。

  2. 2混ぜる

    清潔な容器にひしお麹、だし昆布、かつお節の粉、水、塩を入れ、よく混ぜ合わせたら蓋を軽く閉める。

  3. 3発酵

    直射日光と湿気の多い場所を避け、常温に置く。始めの数日は1日に2~3回、その後は1日1回、清潔なスプーンなどでよくかき混ぜる。
    麹の固い粒が潰れるくらい柔らかくなったら完成。
    (目安:夏は5~10日間ほど、冬は10日~2週間ほど)

  4. 4保存

    蓋をしっかり閉め、冷蔵庫で保存する。

ポイント

「醤(ひしお)」は、食材を塩に漬けて発酵させたものの総称で、大豆や麦を原料とした「穀醤」はみそ、しょうゆの原点と言われています。今回使うひしお麹は、豆麹と麦麹を混ぜ合わせたもの。これにしょうゆを加えて発酵させた調味料は「醤」としておなじみですが、塩と水を加えて発酵させ、塩味でよりいろいろな料理に使える発酵調味料にしました。

ひしお麹は水分を吸収しやすいので、最初は1日2~3回混ぜ合わせるとよいでしょう。徐々に水分が出てきたら、混ぜるのは1日1回でかまいません。

完成した醤は、気温が高くなるとアルコール発酵しやすくなるので、でき上がったら必ず冷蔵庫で保存し、使う度に全体をよく混ぜ合わせてください。冷蔵庫で保存する間もときどき混ぜ、均一な状態を保たせましょう。

だし昆布は、途中で取り出して料理に使うことができます。

かつお節の粉がない場合は、かつお削り節をポリ袋に入れ、袋の上から揉みほぐして細かくしたもので代用できます。削り節の場合は、小さじ1(約0.5g)を使ってみてください。

ひしお麹には大豆が使われているので、納豆菌が混入すると、醤に粘りが出てしまいます。納豆を食べた後は醤に触れないようにするなど、納豆菌が入り込まないよう注意してください。

発酵過程で炭酸ガスが発生することがあるため、蓋は完全に閉めずに軽くゆるめておきます。また、容器は材料をすべて入れても少し余裕があるサイズを選ぶと、発酵中の炭酸ガスの逃げ場ができて安心です。

ジッパー付きの保存袋でも作れます。その場合も袋の口を完全に閉めず、ジッパーに短く切ったストローを挟んで閉じるなどして空気が通るようにすると、発酵がうまく進みます。また、材料を入れる前に袋の口を2回折り返すと、ジップ部分が汚れにくくなり袋が清潔に保たれて、発酵中に2週間前後常温で置いても衛生的に管理できます。

ほかにもたくさん!麹を使った料理

レシピを作ってくれたのは小西君枝さん

小西 君枝(こにしきみえ)
料理家 / フードコンサルタント

女子栄養大学卒業。
企業での商品企画開発を経て料理家として独立。フードアドバイザー、企業や飲食店などの商品開発、イベント調理、料理教室なども行う。素材を生かし、シンプルな調味料とハーブやスパイス、素材の組合せでワクワクするような料理を得意とする。

2025.10.01