

『百日紅~Miss HOKUSAI~ 』
試写会に行ってきたのは…
編集部員 Y(男性)
ひと昔前はハリウッド大作を好んで観ていたが、最近は、邦画ばかり。好みが変わったと言うより、年齢的に字幕を追うのがつらくなってきたと気がつき、少しショックを受けている。
編集部員 S(女性)
邦画・洋画を問わず歴史・時代劇ものが大好き。特に日本の戦国時代について語り始めると止まらなくなるが、本人的には歴女ではないと思っている。もし江戸時代に行けたなら、江戸城大奥をのぞいてみたい。
S今回は、三菱電機のテレビCMに出演中の杏さんが声優に初挑戦をした作品、「百日紅(さるすべり)~Miss HOKUSAI~」を鑑賞してきました。
浮世絵師・お栄(声:杏)は、父であり師匠でもある葛飾北斎(松重豊)と共に絵を描いて暮らしている。雑然とした家に集う善次郎(濱田岳)や国直(高良健吾)と騒いだり、犬と寝転んだり、離れて暮らす妹・お猶(清水詩音)と出かけたりしながら絵師としての人生を謳歌している。恋に不器用なお栄は、絵に色気がないと言われ落ちこむが、絵を描くことはあきらめない。そして、百日紅(さるすべり)が咲く季節が再びやってくる、嵐の予感とともに…。
SYさんは、百日紅の花を見たことがありますか?
Y実は、見た記憶がないんですよ。つるつるした木というイメージしかなくて…。“百日紅”って漢字でこう書くんだということも今回初めて知りました。
S私もです!言われてみたら、この花が百日紅だったのかという程度です。百日紅の花は、梅雨が明けた頃から一気に紅色の花が咲き始め、百日もの間、咲き続けることからその名が付いたそうですよ。
Yなるほど~。それに葛飾北斎に娘がいて、娘もまた絵師だったということも初耳。登場のシーンから、凛としていて芯が強そうな女性だなと感じました。
Sそのお栄の声を演じているのが、杏さんなわけですね。
Y活気あふれる両国橋を颯爽と歩くお栄の姿は、杏さんとオーバーラップしますね!女浮世絵師というのも新鮮だし、かっこいいです。

S私は、一見すると強そうに見えるお栄が、好きな人の前でだけちらっと見せる乙女な部分がちょっと可愛いなと思いました。そういうギャップがある女性って魅力的に見えたりしませんか?
Yえっ?あっ、そうですね。でも、ちょっと気が強すぎるのは苦手かも…。それとは対照的に生まれつき目が見えず、体が弱い年の離れた妹、お猶(なお)が可愛らしかったな。
S確かに…彼女を通して感じる江戸の空気感や季節感が丁寧に描かれていましたね。特に目が見えないからこそ感じ取ることができる音が見事に表現されていて、江戸時代の風情をリアルに感じることができました。
Y原恵一監督は、この作品があまりに好きすぎて、絵コンテを書く手が何度も止まってしまったとか…。
Sだからなんでしょうね、江戸の街やそこに住む人々の暮らしぶりが細かい部分までかなり作り込まれていて、こだわりがひしひしと伝わってきます。

Yストーリーの中では、お栄が地本問屋の萬字堂に「お前の絵は、人は描けているが色気がない」と言われて、その後どうするのかと思ったら…。
Sそうそう、負けず嫌いのお栄らしいですけどね。あっ、でもそれは、観てのお楽しみってことにしましょう。ところで、この映画のタイトルになった「百日紅」って、どんな意味があると思っていましたか?
Y僕は、「百日紅が咲く頃にお会いしましょう」みたいな感じで、男女の物語が流れていくようなイメージを持っていました。でも、実際は違いましたね。
S私も想像と違っていました。“わさわさと散り、もりもりと咲く、百日紅”、そのタイトルが意味するものとは…?パンフレットの解説を読んで、なるほど~そういうことだったのかと。
Yそして、そのラストを飾るにふさわしい主題歌「最果てが見たい」を歌うのは、椎名林檎さん。原作者である杉浦日向子さんが椎名林檎さんの大ファンだったとのことで実現したそうですよ。今っぽいロックな曲なのに、江戸時代を生きたお栄のイメージに合いますね。
Sそうですね。“悩んでも落ち込んでも…筆は止めない!”そんなお栄の力強い生き様と活気あふれる江戸の街が見事に表現されている<爽快>浮世エンターテインメント!みなさんもぜひ劇場では、耳を澄まして江戸時代の音や空気感を感じてみてくださいね。

次回もお楽しみに!



