
『影裏』
試写会に行ってきたのは…
編集部員R(女性)
今年の冬はあたたかいように思います。雪国出身の私ですが、今年は地元でも雪不足でスキー場がずっと開かないままだそうです。ウィンタースポーツ好きにとっては少し残念なシーズンです。寒すぎるのもつらいですが、冬らしくない暖かさも考えものですね。
編集部員M(女性)
年始に実家に戻った時に、夜空を見てみたら星の数が多くて、今更ながら感動しました。東京ではどんなに目を凝らしてもあの数は見えません。もう少し暖かくなったら、自然を堪能しに小旅行の計画を立てようと思います。
M今回の試写会レポートは、2月14日(金)より公開の『影裏』です。
R第157回芥川賞を受賞した沼田真佑による同名小説。その作品に映画監督の大友啓史が惚れ込み、映画化が実現したそうです。小説ファンはとても気になっていた作品ではないでしょうか。
M小説の舞台となるのが岩手県盛岡市。大友監督の故郷でもあるその場所で、すべてのロケが行われたそう。主演は綾野剛、そして今回が初共演となる松田龍平と、演技派俳優がそろい期待が高まります。
それでは、早速あらすじからご紹介しましょう。
今野秋一(綾野剛)は、会社の転勤により移り住んだ岩手・盛岡で、同じ年の同僚・日浅典博(松田龍平)と出会う。慣れない地で日浅に心を許していく今野は、遅れてやってきたかのような青春の日々に心地よさを感じていた。ところが2人で夜釣りに出掛けたある晩、ささいなことで雰囲気が悪くなり、日浅の態度の変化に戸惑った今野は、朝まで飲もうという彼の誘いを断り帰宅する。しかし、それが日浅と会った最後の日となるのだった。数カ月後、日浅が行方不明となったことを知った今野は、会社の同僚や家族から話を聞くうちに、これまで自分が見てきた彼とは全く違う顔を知ることとなる。

M深いですね…、、、。なんでしょう、一言では言い表せないこの感じ。淡々とした日常の中、今野(綾野剛)と日浅(松田龍平)の関係性を示す演技のやりとりが絶妙で、すぐにこの映画の世界に引き込まれました。
Rわかります!今野が醸し出す独特の間や時間の流れが、映画全体の空気感を作り出していましたよね。繊細な表情や、動きで魅せる姿も必見です。
M物語は何気ない今野の日常から始まります。時間軸は東日本大震災の前後。ゆっくりとした時間が流れ、今野を中心にストーリーが展開していきます。
R今野と日浅が自然と仲を深めていくなかで、劇中に何度も登場するのが二人の釣りのシーン。その中でも夜釣りの時に日浅が言う台詞に注目ですが印象的でした。観ているこちらもドキッとしてしまいました。

Mあの言葉は、日浅が初めて少し本音を吐いた時だったような気がします。
R心を許した友人、日浅の見えていなかった裏側が次々と明らかになるにつれ、ゾクゾクとして、もし自分が今野の立場だったらと思うと、とても複雑な気持ちになりました。
Mそれともう一つ、水が物語の重要な要素として組み込まれていましたよね。川の穏やかな流れから濁流まで、まるで登場人物の心情を映し出しているかのようでした。
R全てを言葉で表現説明するというより、感覚に訴えてくるシーンが多くありましたね。
Mこちらも自然と、想像力を膨らませて考えながら観ていました。そして大画面に映し出される盛岡の自然の美しさ!これは映画館の大きなスクリーンで観るべきです!

R美しかったですね。この撮影はオール盛岡だったそうですが、圧倒的な自然の美しさや人間味があふれていて、監督の郷土愛を感じました。個人的には中村倫也さん演じる副島の美しさにも引き込まれました。(笑)
Mどんな姿で登場するか、乞うご期待です!
Rこの映画はタイトルの通り、“影裏”を抱えた人間たちの、それぞれの姿や生き方を見つめる作品。なかなか自分以外の人の真実に答えを見出すことは難しいのかもしれません。
M皆さんも映画館で、自分なりの答えを探してみてくださいね。
2020.02.06


