
『ジョーカー』
今回レポートをするのは…
※2020年6月より当面の間、おすすめ映画ブルーレイソフトのレビューとなります。
編集部員T(男性)
海外旅行が好きなので、洋画を観るときはその舞台がどこなのかが気になります。今回のジョーカーの舞台はゴッサムシティという架空の街ではありますが、こころなしかニューヨークの街並みに似ているような気がして、行きたくなりました。
編集部員M(女性)
最近やっと数か月ぶりで美容室へ行きました。カラーリングや髪形を変えるだけでも少し気分が変わるものです。グリーン…とまではいかずとも、今までしたことのない奇抜な色へ変えたら、違う人になれるような感覚を味わえるのかもしれません。
M今回のレポートは、2019年に公開された『ジョーカー』です。
T「バットマン」のヴィランとして有名な“悪のカリスマ=ジョーカー”の誕生秘話を、『ハングオーバー!』シリーズのトッド・フィリップス監督により映画化された作品ですね。
M主演のホアキン・フェニックスは、本作で第92回アカデミー賞主演男優賞を受賞したことでも話題となりました。
では、早速あらすじをご紹介しましょう。
大都会の路上で大道芸人として生きるアーサー(ホアキン・フェニックス)は、「どんな時でも笑顔で人々を楽しませなさい」という母の言葉を胸に、世界に笑いを届けることを夢見る心優しい青年だった。ある日、会社を解雇された帰りの電車で、3人の男性たちに絡まれる女性に遭遇。助けようとしたものの自分が袋だたきに遭ってしまい、耐えられなくなったアーサーは、拳銃を取り出し彼らを射殺してしまう。そして、コメディアンとして世界に笑顔を届けようとしていたはずの一人の男は、やがて狂気あふれる悪へ変貌していく―。

M本当はあまり暗い映画は好んで観るほうではないのですが、今回はとても面白く興味深い作品でした。Tさんはいかがでしたか?
T実は昔から、ピエロの笑っているのか泣いているのか、なんとも言えないあの表情が怖くて、少しトラウマのように感じていたので、このジョーカーを観るのも少々抵抗がありました。
Mそうだったんですね。道化恐怖症というのがあるくらい、ピエロに恐怖を感じる人は少なくないようです。この作品でもピエロというものが、より不安を煽る要因であったのは言うまでもありません。
T本作は、とても母親思いでコメディアンを目指している心優しい青年アーサー(ホアキン・フェニックス)が、混沌とした時代の社会問題や数々の不運に直面し、徐々に狂気をまとい悪のカリスマへと変貌していくストーリーですが、他にも「孤独」「貧困」「差別」などの重いテーマが、とてもリアルに描かれていました。
Mそうですね、中でもわたしが特に印象に残っているのは、アーサーが笑うシーン。顔は笑っているけれど、常に悲しみや苦しみを吐き出しているかのように見えて、胸が締め付けられました。とても繊細な心理描写に加え、ホアキン・フェニックスの演技力とその存在感が素晴らしく、自然と作品に引き込まれました。なんと、ホアキンがアドリブで演じたシーンも多かったようで、撮影スタッフや監督もその演技力に感心しきりだったとか…。
Tたしかに心が痛くなるようなシーンも多いですが、もしかしたらジョーカーは、彼が望んだというより、社会によって生み出されてしまった“悪のカリスマ”なのでは、と思いながら観ていました。誰もが一歩間違えると悪の道へ踏み込んでしまう危うい世界で、必死に生きながらもジョーカーへと変貌してしまった彼を、とても不憫に思いました。
M劇中、ジョーカーが言う「善悪を主観できめている」、「誰も他人のことを気にかけない」という言葉に私自身もドキっとしました。自分が善だと思い込んでいたことは、果たして本当にそうなのか?もっと多角的に見て考え、判断することが大事なのでは?と言われているような気がしました。
Tそうですね、まさに正義とは、悪とは何なのかを問われているような気持ちになりました。もっと思いやりに溢れる誰もが生きやすい世の中になれば、と思います。
Mところでふと思ったのですが、もしブルース・ウェイン(バットマン)がアーサーと同じ境遇で育っていたとしても、彼はバットマンになっていたのでしょうか…。。
Tなっていると信じたいですが、こればかりはわかりませんね(笑)
アーサーだからジョーカーになったのか、それとも“誰か”は問題ではないのか…。考えだすと、きりがないですね。
Mそうなんです(笑)
Tそれくらい観た後も考えさせられる作品ということですね。
Mはい。それと劇中の大事なシーンでいくつもの名曲が流れるのですが、終盤でかかる「That’s life」という曲に合わせてジョーカーが口ずさむシーンは必見です。歌詞にもぜひ注目していただきたいです。
Tバットマンを観たことがある方はもちろん、観ていない方でも、不思議と入り込んでしまう作品です。
Mそして鑑賞後には、観た人同士でそれぞれの感想を確認したくなる、そんな映画です。
次回もお楽しみに!
2020.08.12


