
『男はつらいよ』4Kデジタル修復版
今回レポートをするのは…
※2020年6月より当面の間、おすすめ映画ブルーレイソフトのレビューとなります。
編集部員T(男性)
すっかり秋ですね。〇〇の秋とよく言いますが、もっぱら私は食欲の秋です。食事が美味しい季節ですが、食べすぎ飲みすぎに注意したいと思います。
編集部員S(女性)
最近、運動不足が心配になったので、ウォーキングやおうちでできるヨガを始めました。周囲の人からは、似合わないとか長続きしないと言われていますが、本人的には新しい世界を見つけたようで楽しんでいます。
S今回のレポートは、1969年に劇場公開された『男はつらいよ』4Kデジタル修復版です。寅さんがスクリーンに初めて登場した記念すべき第一作というわけです。
T実は、今まで『男はつらいよ』シリーズを観たことがなくて、今回が初めてなんです。
Sえー!そうなんですか?!国民的大人気の映画シリーズなのに…。寅さんに「俺の映画を観たことがないヤツがいるとは、いってい、どこの生まれだい?」とか言われそうです。では、早速あらすじをご紹介しましょう。
20年ぶりに故郷の柴又に帰って来た寅さん(渥美清)。だが妹・さくら(倍賞千恵子)の見合いをぶち壊し、再び旅に出てしまう。ところが旅先で御前様(笠智衆)の娘・冬子(光本幸子)と出会い、一目ぼれした寅さんは一緒に柴又へ戻ることに。やがて印刷工員の博(前田吟)がさくらに恋していることを知った寅さんは、2人のために一肌脱ごうとする。

STさんは、「男はつらいよ」シリーズを観るのが、今回初めてということですがいかがでしたか?
Tはい、そうなんです。タイトルが「男はつらいよ」なので、自分よりも他人を優先し尊重する、寡黙で縁の下の力持ちのような男がいて、そのつらい生き様が描かれているのかと思いきや、全く違っていました。
Sなるほど~、タイトルからそういう想像をしていたのですね。それは、なんだか新鮮。下町生まれの私にとって寅さんは、子供の頃からとても身近な存在でした。毎年、お正月になると祖父や父が必ずテレビで放送される「男はつらいよ」シリーズを観るんですよ。だから、自然と観る機会が多かったように思います。それでは、寅さんについて、私がちょっとレクチャーしちゃいましょうか?
Tなんだか語りたそうですね。このシリーズは、映画だけでも50作あるとか…。いったいどこに人気の秘密があったんでしょうか?
Sこのシリーズには、いくつかお決まりがあるんです。まずは、フーテンの寅さんが旅先から故郷の葛飾柴又に帰ってきて、事件が起きる。そして、寅さんが恋するマドンナが登場します。その時代に人気だったり、話題の女優さんがマドンナとして起用されるんです。違う場合もありますが、だいたいこれがいつものパターンです。
T今回も登場してましたが、きれいな女優さんでした。寅さんは、口が達者で喧嘩っ早く、感情が表に出るタイプですよね。「忖度」という言葉が少し前に流行りましたが、そんな感情は微塵もなく、自分のやりたいようにやるその様が痛快でした。
S一見すると、破天荒で自由奔放に見えるのですが、寅さんは人一倍相手のことを思いやるし、大切な人のためなら自分のことは二の次…そういう人です。特に恋する相手に対しては、自分がそばにいると迷惑になるからと、旅に出てしまうシーンが他のシリーズでもあって、そこがすごく切ないんですよ。でも、また懲りずに恋をするんですけどね(笑)
T人間味溢れるキャラクターで、暖かくて優しい。ちょっと時代に取り残されたようなところもあるけど、なんだか憎めない…そんなところも人気なのでしょうね。寅さんが手紙を送ってくるシーンがありますが、今はメールやSNSですぐに連絡が取り合える便利な時代。でも、たまには手書きで相手に思いを伝えるのもいいなと思いました。
S第一作目は昭和40年代が舞台なので、町の情景やファッションも懐かしい雰囲気です。妹役の倍賞千恵子さんが本当にきれい。今回は、妹のさくらが結婚するまでが描かれていて、寅さんが二人のためにひと肌脱ごうとするのですが、寅さんらしくて笑えます。50作も作られているので、意外と第一作目をご覧になった方は、少ないかもしれません。
Tちょうど一作目から観れたので、良かったかも。ご近所付き合いとか、人との触れ合いが少なくなっている今は、寅さんを通して人とのつながりや、関わり方について、あらためて考えさせられます。寅さんの周りは、いつも賑やかそうですね…(笑)
S「男はつらいよ」4Kデジタル修復版では、最先端の技術により、劇場公開時の映像と音声を再現しているので、公開当時の質感を味わいながら、楽しめます。
Tこれを観たら、他の「男はつらいよ」シリーズも観てみたくなりました。
S涙と笑いに包まれて、観終わった後に心がほわっと暖かくなる映画です。
“困ったことがあったらな、風に向かって俺の名前を呼べ。どっからでも飛んできてやるから…”
今こそ、寅さんを呼びたい、そんな気持ちになりました。
みなさんもぜひ、記念すべき第一作目をご覧になってみてくださいね。
次回もお楽しみに!
2020.10.22


