2023年05月号

特集 「サステナブルな社会と企業のDX推進に資するITソリューション」

三菱電機技報 2023年05月号

巻頭言
災害レジリエンス向上のための“都市OS”への期待
特集論文
全7編

特集概要

三菱電機グループは、サステナビリティの実現を経営の根幹に据えて、注力する5つの社会課題領域を明確化し、事業を通じた社会課題解決、SDGsへの貢献に取り組んでいます。また、企業において近年重要性が増している、デジタル技術を活用したビジネスモデル変革や業務改革といった、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に貢献できるソリューションの提供にも取り組んでいます。
本号では、サステナブルな社会の実現へ向けたITソリューション、そして、顧客企業のDXの推進に資するITソリューションについて、近年の取組みを紹介します。

巻頭言
特集論文
(全7編)
2.

環境データ収集自動化・管理・利活用へ向けたソリューション“cocono”によるカーボンニュートラル達成への貢献(PDF:659KB)

仁平百合菜/奥田裕樹/岩谷俊輔/谷口初音/杉本美紀

近年,日本を始め各国が,2050年のカーボンニュートラル達成に向けて,産業構造や経済社会の変革に取り組んでいる。カーボンニュートラルへの関心が高まるにつれて,環境データの効率的な収集,管理,分析,可視化などのニーズも高まってきているが,システム基盤の整備は追いついておらず,環境管理部門が手作業で対応している例が多い。そこで,三菱電機インフォメーションシステムズ㈱(MDIS)は,GHG(GreenHouse Gas)排出量データ一元管理ソリューション“cocono”を開発した。GHG排出量は,工場やオフィスでの消費エネルギー量,部品や完成品の輸送量・輸送距離などで表される“活動量データ”と,排出係数の積算で算出される。coconoは,企業のシステムに内在する活動量データを自動収集,一元管理し,様々な形での利活用を可能にする。環境管理部門の負荷削減を実現し,企業のカーボンニュートラルへの取組みに貢献する。

3.

DX時代のビジネスを加速する,仮説検証型のサービス創出マネジメント(PDF:643KB)

小林 敦/高橋 渉/大澤伸行/佐藤啓紀/佐藤 剛

三菱電機インフォメーションシステムズ㈱(MDIS)では,仮説検証型の新サービス創出を促進するため,クラウドの利用を基軸としてサービス提供技術を体系化し,自社サービスで実践するとともに,顧客とのサービス共創に適用可能にした。まず,企画構想段階では,デザインアプローチの導入サービスメニューを確立した。また,サービスの実証評価(PoC:Proof of Concept)を効率的に実施する環境の構築と,商用サービスを安心・安全に提供するための非機能要件を克服する技術開発を進めた。さらに,サービスの構想・企画から収益化までのプロセス管理,収益管理やサービスガバナンスの仕組みを確立した。
MDISは,顧客とのサービス共創を推進し,サービスインテグレーターとして顧客のDX(Digital Transformation)に貢献していく。

4.

金融コンプライアンス録音“nokos”とDX(PDF:573KB)

西 健太朗/馬渡小春/白浜広彬/清水俊介/鶴田季丸

金融機関では,コミュニケーション基盤(電話やディーリングフォン,ウェブ会議ツールやコールセンター基盤)を活用して顧客への迅速かつ正確な対応や多様な顧客のニーズに対応している。金融業界では,投資家の保護や有価証券の発行や売買などの金融取引を公正にすることを目的とした“金融商品取引法”や銀行の業務の公共性に由来する信用維持,預金者保護などと,金融の円滑のための銀行業務の健全で適切な運営を確保することを目的とした“銀行法”,保険業を行う者の業務の健全かつ適切な運営及び保険募集の公正を確保することによって保険契約者などの保護を目的とした“保険業法”などが整備されており,コンプライアンス強化を実現するためにシステマティックな仕組みが求められている。
三菱電機インフォメーションシステムズ㈱(MDIS)は,音声系ソリューションで,1990年代後半から,これら顧客の期待に対応してきた。近年では新しいコミュニケーション基盤で“ウェブ会議の自動録音”,“音声データのテキスト化”,及び“そのデータを利活用”することで,顧客の高まる期待に対応している。ウェブ会議ツールでの会話や画面,動画を自動的に記録するサービス“nokos(ノコス)”は,クラウドベースで容易に導入でき,確実なコンプライアンス管理を実現する。

5.

AI-OCRとインボイス制度に対応した電子取引サービス“@Sign”(PDF:716KB)

村井園美/小倉大典/古賀理沙子

三菱電機インフォメーションネットワーク㈱(MIND)は,ハンコ手続や紙の印刷のために出社せざるを得ない業務プロセスの見直しを後押しして,ニューノーマル時代の働き方改革に貢献するため,2021年3月から電子取引サービス“@Sign(アットサイン)”を提供している。このサービスは,契約書の締結,見積書/注文書等のファイル授受・保存をオンラインで完結できる。@Signでは,ニーズに合わせた機能追加や,他社連携での機能強化を実施している。@Signの利用で,ペーパーレス化,ワークフロー機能による業務効率化・生産性向上等,サステナブルな社会と企業のDX(Digital Transformation)を推進できる。

6.

デジタル化の動向と“販売指南”の対応(PDF:483KB)

関根大樹

2023年10月から施行される“適格請求書等保存方式(インボイス制度)”の影響によるバックオフィス作業の増加を解決するため,官公庁主導で“中小企業共通EDI(Electronic Data Interchange)(中小企業でも受発注業務のデジタル化を実現できる仕様)”,“JP PINT(電子文書のネットワーク標準仕様等)”,“ZEDI(銀行間資金決済)”が展開され,官民一体となってデジタル化(デジタライゼーション)が進められている。
三菱電機ITソリューションズ㈱(MDSOL)では,官公庁が進めるデジタル化に合わせて,MDSOLが提供する販売管理システム“販売指南”を改修して販売管理業務のデジタル化に対応する。
具体的には,販売指南の取引データを,各省庁のEDI仕様に合わせてデータ変換後,データ連携をして,各業務プロセスの取引にかかる作業負荷を削減することでバックオフィス作業の増加を解決する。また,販売指南の各業務プロセス間の取引データをシームレスに連携する機能を開発し,各取引書類の照合作業を効率化する。
開発する連携機能は,出力定義の設定変更だけで様々な項目を出力できる販売指南の汎用データ出力機能“外部出力”を流用する。これによってルール変更や法改正に柔軟に対応し,保守性や発展性の高いシステムでユーザー業務のデジタル化を支援する。

7.

顧客のセキュリティーライフサイクル全般を支えるサイバーフュージョンセンター(PDF:595KB)

村松孝俊/鈴木貴也/高田直樹

三菱電機インフォメーションネットワーク㈱(MIND)は,顧客のセキュリティーライフサイクル全体を横断的に支援するための専門組織として,2022年10月にMINDサイバーフュージョンセンターを設立し,ファシリティーの増強を2022年12月に完了した。MINDサイバーフュージョンセンターではサイバーセキュリティーフレームワークを基盤としており,セキュリティーライフサイクル全体を網羅するサービスを提供することが可能になった。これらのファシリティー・サービスによって,顧客の安心・安全なDX(Digital Transformation)化推進に貢献していく。

8.

OTネットワークセキュリティー機器“MELWALL”(PDF:579KB)

高須賀史和/木村有佑

近年,サイバー攻撃の対象として工場や発電所といったプラントやインフラの制御システムが狙われる事例が増えており,設備そのものや,サービスの提供や安全を維持するためのシステムを攻撃されることが懸念されている(1)
三菱電機では,FA,電力,公共インフラなど幅広い分野での制御システムの知見や技術・経験を生かして,アセスメント・コンサル,セキュリティー対策導入,運用保守までをワンストップで提供するOT(Operational Technology)セキュリティーソリューションサービスを提供している。
OTネットワークセキュリティー対策製品の一つとして当社が提供するOTネットワークセキュリティー機器“MELWALL(メルウオール)”は,既存のネットワーク構成を変更せずにOTネットワークを論理的に分割してセキュリティー脅威の感染拡大防止を実現する。

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