開発NOTE
暗号分野における当社の
プレゼンスをさらに高めるために。
「SAEB」以外にも、国際的な会議でいくつかの当社独自の認証暗号アルゴリズムを発表してきました。当初は論文を書いてもなかなか審査に通らず悩みました。考えていたアイデアが別の研究者に先に発表されてしまうといった、悔しい思いも幾度となく経験しました。数年前、上司に論文に対する考え方など、多くのアドバイスをもらい、それが転機となっていまではトップカンファレンスでもコンスタントに論文が通るようになり、学会でも私の名前を知ってくださる方が増えたように思います。
当社は暗号分野において世界的に多くの実績を残してきました。論文発表という成果をひとつひとつ積み重ねることで、この分野における当社のプレゼンスをさらに高めていけたらと思っています。
実用化・製品化という点では、まだまだスタートラインに立ったばかりです。すでにいくつかの製品に私の開発した技術が実装されていますが、より多くの製品に適用できるように、今後も技術開発を進めていきます。
技術面の知識や思考力など、まだまだ学ぶことが多くあります。
最終的な目標としては、当社の暗号技術を代表するようなアルゴリズムを設計することです。例えば、いままでとはまったく異なる方法でメモリサイズを減らすなど、独自の方式が開発できればと思っています。
そのためにはあらゆる面で自分の能力を上げる必要がありますが、まだまだ遠いと感じています。私の専門はアルゴリズム開発ですが、ハードウェアや実装技術など専門以外の知識を身に付けるだけでなく、常に自分の行動の改善点を考え、周りの方の意見を取り入れながら、思考力を上げていきたいと思っています。そうすればその先に、誰もが使いたいと思うようなアルゴリズムの設計や標準化への道が見えてくる気がします。
暗号は実装するシステムによっては個別にカスタマイズしたアルゴリズムが望ましい場合もありますが、やはり標準化は研究者にとって大きな夢です。標準化されれば多くの製品を通じてたくさんの人に私の開発した技術を使ってもらえる、これは研究者にとってこの上ない喜びです。