センサーへの悪意ある攻撃を計測データの矛盾から検知。安心・安全・快適な社会の実現に貢献します。

概要

車載機器・生産設備・ドローンなど、センサーで計測したデータを基に最適な自動制御を行う機器の普及が進んでいます。これらの機器を安心・安全・快適に利用するには、サイバー攻撃への対策が不可欠です。

三菱電機は複数のセンサーを組み合わせて計測データを取得するドローンなどの自動制御の要であるセンサーフュージョンアルゴリズム※1の内部計算に着目しました。これまで確立されていなかったセンサーフュージョンアルゴリズムの安全性を評価・検証。独自の「センサー攻撃検知アルゴリズム」をセンサーフュージョンアルゴリズム内に実装することで、悪意のある攻撃で発生する計測データの矛盾から攻撃を検知する「センサーセキュリティー技術」を世界で初めて※2開発しました。

ニュースリリース

技術ポイント

独自の「センサー攻撃検知アルゴリズム」でセンサー搭載機器への攻撃を検知

センサーに対して異常信号を照射するなど悪意のある攻撃を受けた場合、これまでは有効な対策方法が確立されていませんでした。

複数のセンサーを組み合わせて計測データを取得するセンサーフュージョンアルゴリズムは、計測精度の向上に加えて攻撃対策としての効果も期待されていました。しかしアルゴリズムの複雑さと評価環境を構築することの困難さから、攻撃に強いのか否か、どのような環境で攻撃されやすいのかなどがいままで示されていませんでした。

当社は今回、センサーフュージョンアルゴリズムの内部での計算処理に着目。ドローンの自動制御時に用いられるジャイロ・加速度・磁気センサーに関する各センサー間の計測データの不整合(矛盾)から、悪意のある攻撃を検知する「センサー攻撃検知アルゴリズム」をセンサーフュージョンアルゴリズム内に実装しました。

本アルゴリズムは、センサーフュージョンアルゴリズムの計算過程を利用して検知するため、プログラムの計算量に悪影響を与えずに処理できます。さらに磁気センサー・ジャイロ・加速度など個々の狙ったセンサーに異常信号を当てる、または狙った複数のセンサーに同時に異常信号を当てることが可能な高度な評価環境をNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託業務で構築。自然現象で発生する計測データと攻撃によって発生する矛盾に明確な差異があることを確認しました。

センサーを搭載する自動制御機器へ安価に導入が可能

今回開発した「センサーセキュリティー技術」は、既存のセンサーの性能や構成を変更する必要はなく、センサー内部の信号処理回路の一部として実装できます。そのため車載機器・生産設備・ドローンなどの機器に対して、部品の追加や改造などを行う必要がなく安価に導入できます。

またセンサーフュージョンアルゴリズムの計算途中の値を利用して攻撃を検知するため、センサーから計測したデータの精度に影響を及ぼしません。

本開発成果の一部は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務の結果から得られたものです。

※1複数のセンサーを組み合わせて計測データを取得する方式。

※22019年2月7日現在、当社調べ。

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