さまざまな旅客機・航空路で
高速インターネットサービスの実現に貢献します。

概要

三菱電機では国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)と共同で、飛行中の旅客機内における100Mbps以上の大容量・高速通信を目指し、厚み3cm以下の世界最薄クラス※1のKa帯※2対応航空機用電子走査アレイアンテナ(AESA※3)技術を開発しました。

また、より大容量・高速通信が可能なミリ波帯(V帯)※4の要素技術についても、当社単独でアンテナ素子を開発、さらに、国立大学法人 東北大学、および東北マイクロテック株式会社(本社:宮城県仙台市、代表取締役社長:元吉 真)と共同で高周波集積回路を開発し、ミリ波帯対応の航空機用AESAの実現も可能にしました。

アンテナの小型化により大型機から小型機まで機体サイズに左右されず搭載でき、ミリ波帯により高緯度地域にも対応できるため、世界中の航空路で、オンデマンド動画再生など高速インターネットサービスの実現に貢献します。

開発した技術を適用した製品イメージ

ニュースリリース

技術ポイント

衛星通信の大容量・高速化を実現する高緯度地域対応の世界最薄クラスAESA

従来の機械駆動式の衛星通信アンテナは、アンテナ可動域と駆動機構が必要であるため、中・小型航空機などへの搭載は困難でした。今回、NICTが開発したアンテナ素子と、当社が開発した高周波分配・合成回路、および高周波集積回路を一枚のプリント基板上に形成・実装し、厚み3cm以下の世界最薄クラスのKa帯対応AESA技術を開発しました。

一方、Ka帯より高い周波数であるミリ波帯においては、アンテナ素子の電力効率の低下が課題でした。今回、プリント基板内に空洞を形成する独自のミリ波帯中空構造アンテナ素子を開発し、ミリ波帯においても良好な円偏波特性と電力効率の向上を実現。仰角20度の低仰角方向にビーム走査した場合においても高いアンテナ性能が維持できるため、高緯度地域を含む多くの航空路に対応できます。

ミリ波帯中空構造アンテナ素子の構成と開発品

Ka帯・ミリ波帯の高周波集積回路の開発により、次世代大容量衛星通信に対応

衛星通信用アンテナの小型化・高性能化においては、送信・受信回路に用いられる高出力増幅器と低雑音増幅器の性能が重要となります。今回、最先端SiGe※5半導体製造プロセスを用い、世界最高レベル※1の電力付加効率29.1%(従来比1.8倍)の高出力増幅器と、雑音指1.8dB(従来比0.8倍)の低雑音増幅器を搭載したKa帯高周波集積回路を開発。大容量・高品質なKa帯衛星通信システムの実現に貢献します。

また、次世代のミリ波帯衛星通信用AESAを実現するためには、高周波集積回路を高密度に配列しなければならず高周波集積回路のさらなる小型化が必要でした。今回、東北大学および東北マイクロテック株式会社と共同で、シリコン貫通電極により複数の高周波集積回路を積層化したミリ波帯3次元実装高周波集積回路を世界で初めて開発し、ミリ波帯衛星通信システムに対応したAESAの実現を可能にしました。

ミリ波帯3次元実装高周波集積回路

※12020年2月6日現在、当社調べ。

※2周波数27GHz~40GHzの電波

※3AESA:Active Electronically Steered Array

※4周波数40GHz~75GHzの電波

※5シリコンゲルマニウムの略、半導体材料のひとつ。

本成果には、2017 年度から総務省からの委託を受けて実施している「小型旅客機等に搭載可能な電子走査アレイアンテナ(AESA)による周波数狭帯域化技術の研究開発」の成果の一部が含まれています。

SDGsへの取組

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