開発NOTE

いずれ来る人・モビリティが
共存する社会のために。

いずれ来る人・モビリティが共存する社会のために。

先端技術総合研究所 小堀 真吾先端技術総合研究所 小堀 真吾

労働人口が減れば、ロボットが物を運ぶ、人の仕事をサポートする、あるいはパーソナルモビリティが人を目的地まで運ぶ。そんな社会がいずれ必ず来る、そう考えたのが今回の開発の発端です。

ビルは様々な設備によって、快適性や安全・安心が守られています。そのような環境の中で、モビリティが自由に移動するためには、エレベーターや入退室管理システムなどとの連携が不可欠です。さらに、ビルにモビリティという新たな存在が加わっても、快適性を損なうことなく人と共存するためには、人とモビリティの両方に配慮した移動管制システムが必要になります。

このようなシステムを実現するためには、ビルやビル設備のことを、十分に理解している必要があります。その点、当社は幅広いビル設備を長年開発しており、技術・ノウハウとも豊富にあり、そこが強みだと思います。

あらゆるシチュエーションで、人の快適・安全を中心に考えました。

エレベーターに関して言えば、特定のモビリティが、特別仕様のエレベーターを使う技術はありました。今回の技術は標準化されたシステムに適用され、一般的なエレベーターを使って様々なモビリティが自由に移動できる、そこが大きな違いです。

開発にあたって、頭を悩ませたのはモビリティが人と同じエレベーターを使うとなると、どのようなシチュエーションが考えられるのか、それを洗い出すことでした。まったく新しいシステムなので、想像を巡らすしかありませんでした。人とモビリティをエレベーターに同乗させていいのか、人とモビリティが同時にエレベーターを呼んだ場合、どちらの呼びを優先すべきかなど、シチュエーションに応じて人がストレスなくモビリティと共存できるよう、システム全体の動きを決めていきました。

地震や火災などの緊急時や、もしもモビリティが故障した場合など、不測の事態が起きた時についても、どんなシチュエーションがありうるのか、想定漏れがないか確認しながら、人の快適性・安全をまず第一に考えて設計・検証を行ってきました。

多くのビルで導入できるよう、旧型エレベーターにも対応しています。

多くのビルで導入できるよう、旧型エレベーターにも対応しています。

もう一点、苦労したのは旧型エレベーターへの対応です。最新型エレベーターとは異なり古い機種の場合、取得できるデータが限られていたり、通信に必要なインターフェースが整備されていないこともあります。より多くのビルで利用できるシステムに仕上げるために、旧型エレベーターから得られる必要最低限のデータでも、システム全体が上手く機能するよう、知恵を絞り開発を進めてきました。

現在、入退室管理システムとの連携についても開発を進めています。セキュリティーゲートをモビリティが通過するという、ひとつの行動だけでも、反対側から別のモビリティが来た場合はどうするのか、人が来た場合はなど、考えなければならないシチュエーションは無数にあります。それらについてひとつずつ検証を行い、実用化を目指しています。

「てらすガイド」との連携についても、現在開発中です。モビリティの行動をモビリティに代わって人に知らせることができれば、安全・安心に役立つと考えています。