Factory Automation

ビジネスコラム

愛すべき後輩たちへ

2023年11月公開【全4回】

性別にかかわらず多様な意見を受け入れて性別にかかわらず多様な意見を受け入れて

ものづくりの根幹を支え、世の中をつなげているFA。その魅力をあらためて噛みしめ、モチベーションをかき立てられたという人も多いのではないでしょうか。かつての露骨なジェンダーギャップが一掃された現代、女性のビジネスパーソンはどのようなことを心がけるべきか。また、男性にはどのような配慮と姿勢が求められるのか。公平な視点からアドバイスをいただきます。

中村
最近は製造業の企業にも女性が増えてきましたが、みなさんの印象はいかがですか?
太田社長
エンジニアでも女性が増えてきたように感じます。打ち合わせに5~6人のエンジニアが集まると、そのうち1人は女性というケースが多いですから。
竹内
営業職も若い女性が増えていますよね。ただ、マネージャークラスになるとどうしても男性が多い印象です。一方で、中国や欧米に行くと製造業の企業でも女性のマネージャーが普通に現れています。それこそ、4人に1人くらいの割合で。そういった国々と比較すると、やっぱり日本は遅れているのかなと。
中村
なぜ日本では海外のようにマネージャークラスに女性の登用が進まなかったのでしょう。
竹内
ひとつは結婚や出産、子育てなどのライフイベントがあるからではないでしょうか。これまで、こうしたライフイベントは、どうしても女性に負荷がかかりやすく、時間の融通も効かなくなりますから。日本は「成果主義」ではなく「時間主義」の時代が長かったので、それこそ24時間働ける人が出世していました。
ただ、今はそういった傾向も変わってきて、むしろ時短が重視されている時代。時間よりも効率を求められるようになり、子育て中の女性も働きやすくなっていますよね。
中村
女性にとって厳しい時代を乗り越えてこられたみなさんは後輩たちのお手本になる存在ですが、今よりもはるかに製造業で働く女性が少ない中、みなさんはどのような先輩をお手本にされてきたのですか?

アットホームな雰囲気が自慢という社内でPCに向かう溝脇氏

溝脇社長
私は母ですね。父が54歳の若さで急死してしまったものですから、母が急遽、二代目の社長を引き受けることになったんです。それまでは父の手伝い程度でしたので、慣れないことも多かったと思いますが、会社と社員のために重責を引き受けて頑張る姿を間近で見てきましたので、私にとっては最高のお手本です。
中村
重責から逃げずに使命を全うされたお母様。社長就任にあたり同じ重責を経験されたであろう溝脇社長にとっては、たしかに最も尊敬すべき“先輩”ですね。太田社長には、お手本になるような女性の先輩はいましたか?
太田社長
三菱電機時代の宣伝部に何名か私より年上の先輩女性社員がいらっしゃったのですが、周りの人への気配りですとか細やかな対応が、社会人になりたての私にとって、とても勉強になりました。人を思いやること、人への気遣いは性別にかかわらず、どんな時代になっても大切なものですから。
中村
竹内さんのように家庭を持ちながら管理職として働くという女性社員の前例はなかったと思われます。参考になるロールモデルがない中で、どのように働けばいいのかという悩みはなかったのでしょうか?
竹内
子育て中は「朝起きたら会社に出勤して、仕事が終わったら家に出勤する」というような慌ただしい日々でしたので、悩んでいる余裕もなかったというのが正直なところですね。今日済ませること、明日済ませることをやり切ることに必死でした。
中村
女性が家庭と仕事を両立させるには、家族や上司・同僚からの理解と協力が欠かせませんからね。私も育児休暇中にパートナーを「教育」しましたよ(笑)。
太田社長
竹内さんがおっしゃるように子供が急に熱を出したり、学校の行事があったりするなかで「仕事を休む」ということに対して厳しい意見があったことも事実だと思います。けれどもそこは働き方や時間の使い方を工夫して、みんなで支えてあげるべきですし、会社として社員同士が助け合う環境づくりをしなければいけないのかなというように思います。
溝脇社長
当社は30~40代の若い男性社員が多く、おかげさまで女性の働き方に関してはとても協力的です。すると、そんな男性社員に感謝して女性社員も協力的になってくれるんですね。「途中で1時間抜けたので、あと1時間頑張らせてもらいます」というように。みんなが気持ちよく働ける環境が自然と生まれてくるのは、当社のような中小企業のいいところなのかもしれません。
竹内
溝脇社長のおっしゃる通り、楽しく働く方法を自分たちで工夫していかれるようになれたら素晴らしいですよね。私も職場の皆さんには今までのやり方にとらわれず、多様な意見に対して「それ、いいんじゃない?」という受容性を持ってほしいと思います。性別にかかわりなくそれぞれの意見を一旦受け入れてディスカッションできるような環境づくりに努めているところです。
太田社長
ものの見方や視点は、男性と女性で違いがでるものかもしれませんね。たとえば女性が会議に出て積極的に発言できるようになれば、男性にはない切り口の意見が出るはずです。ですから、女性は遠慮なく発言するべきですし、男性はその声に耳を傾けてほしいですよね。
竹内
おっしゃる通り、男性ばかりの会議では画一的な意見しか出てこないことが多いように感じます。そこに女性が1人でも入って、男性の意見に「それはなぜですか?」と質問するだけで新しいコミュニケーションが始まります。さらに、そこへ外国籍の方が加われば、さらにまったく新しい発見も生まれることでしょう。性別や国籍にかかわらず “みんなが活躍できる環境” のメリットは計り知れないほど大きいはずです。
中村
女性が1人のビジネスパーソンとして飛躍するには、自ら声を上げ行動する積極性や、そんな女性に対する男性からの理解が欠かせないということですね。さて、座談会も佳境を迎えました。引き続き、よろしくお願いいたします!

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