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情熱ボイス GOT篇 GOTから「FA機器の未来」が見えた! 3 飛躍!新しいビジネスモデルの確立へ 情熱ボイス GOT篇 GOTから「FA機器の未来」が見えた! 3 飛躍!新しいビジネスモデルの確立へ

「そんなことしたらGOTがなくなるぞ!」。

そのアイデアを社内に提案したとき、社内のあちこちから懸念や反論の声があがってきたという。もっとも一柳をはじめとしたGOTの開発チームとしては、反論は承知の上だった。確かにGOTがなくなってしまうという懸念がないわけではない。

新たなアイデアとは、GOTの遠隔監視機能だ。GOTで表示する情報を、ネットワークを介してPCやタブレット、スマホなどの画面にも映し出すというもの。作業者がGOTの画面の前にいなくても、GOTにつながる機械の状態が分かると同時に操作も可能になるため、生産性の向上に寄与できる。

しかしGOTと同様の画面をスマホなどでも見られるようになれば、その分GOT自体の数は少なくて済むようになる。中にはスマホなどだけで十分で、GOTがいらないというユーザさえ出てくるかもしれない。社内の関係者はそれを懸念しているのだ。

「そんなことしたらGOTがなくなるぞ!」。

そのアイデアを社内に提案したとき、社内のあちこちから懸念や反論の声があがってきたという。もっとも一柳をはじめとしたGOTの開発チームとしては、反論は承知の上だった。確かにGOTがなくなってしまうという懸念がないわけではない。

新たなアイデアとは、GOTの遠隔監視機能だ。GOTで表示する情報を、ネットワークを介してPCやタブレット、スマホなどの画面にも映し出すというもの。作業者がGOTの画面の前にいなくても、GOTにつながる機械の状態が分かると同時に操作も可能になるため、生産性の向上に寄与できる。

しかしGOTと同様の画面をスマホなどでも見られるようになれば、その分GOT自体の数は少なくて済むようになる。中にはスマホなどだけで十分で、GOTがいらないというユーザさえ出てくるかもしれない。社内の関係者はそれを懸念しているのだ。

しかも遠隔監視は、既に他の方法で部分的ながら実現していた。シーケンサにWebサーバユニットを接続すれば、機械の情報をWebで発信することは可能だったからだ。もちろんGOTの画面を映し出す方が情報量が多く、開発も容易な点で機能的に優れているが、果たしてGOTがなくなるというリスクを負ってまで取り組むべきことなのか。

それでもGOTの開発チームは、提案を引き下げることはしなかった。

「三菱電機のGOTがなくなるのではなく、
選ばれるために必要な機能なんです
と社内を説得。

最終的に開発にゴーサインを得て、GOTの遠隔監視機能「GOT Mobile」の開発がスタートした。

「GOT Mobile」は海外ユーザの心もつかんだ

的場が最初に行ったことは、書店でWeb技術の資料を買い集めて読み漁ることだった。GOTの画面作成ツール「GT Works3」は従来Webとは無縁だったが、スマホなどでGOTの画面を見せるためには、Webの技術を活用しなくてはならない。的場はGT Works3の開発を担当する立場として、まずそこから整理する必要があった。

一方で的場はさまざまなWebサイトの画面を調査し、どういう機能を使えばどんな使いやすい画面を開発できるかを研究していった。

「なるほど、こういうボタンの形状にすれば操作ミスを防げるのか」

などいろいろなヒントを得て、そのために必要な機能をGT Works3に盛り込んでいくことで、GOT Mobileはサービス提供に近づいていった。

GOT Mobileは、今までGOTというハードウエア自体にあまり関心のないユーザ層からも、大きな関心を集めている。GOTエキスパートの一人、中部支社機器第二部コントローラ課の田口晴が日頃受けるデモ要請も、

「今ではGOT Mobileが一番多いという。

GOTの側面からIoTや見える化を具体化したものとして、格好のソリューションとなっているのだ。GOTエキスパートのデモセットのトランクには、今ではタブレット端末も常備されている。

新本も「GOT MobileはFAの他のシステムに比べて
分かりやすく
、特に海外のユーザには
e-F@ctoryへの入口的存在になっている」
と話す。

e-F@ctoryは概念的なものと受け取られがちだが、実は個々のソリューション自体は単純明快なものということを、GOT Mobileは明らかにした。

e-F@ctoryのグローバル展開を推進するうえで大きな突破口となったGOT Mobileは、同時に社内にも大きな気づきを与えた。FA機器に今までなかったライセンスビジネスを、いち早く実現したからである。

ハードを売ることだけがビジネスではない

「FAは基本的に機器を売るコンポーネントビジネスです。
機器の進化でユーザに新しい価値を提供してきましたが、
新たなデバイスも次々と出ている中で、
果たしてビジネスモデルが今のままでいいのか、
再考するきっかけになりました
と桑森は話す。

GOTで言えば、GOTというハードウエアを売ることだけがビジネスではなく、表示機能の販売というライセンスビジネスも可能なことを、GOT Mobileは実証したのだ。

その桑森はGOT Mobileのサービス開始を機に、個人的にいろんな新しいデバイスを買い込んでいる。スマートグラスやプロジェクターなどを試してみる中、

「将来のGOTは、ひょっとしたら今のGOTのような形をしていないかもしれない」
とまで思うようになったという。

一柳は「単なる顧客満足度向上でなく、
顧客に感動を与えられるソリューション
の実現を、部門の目標に掲げる。

しかし従来のソリューションの延長線では、満足は与えられても感動まで与えることは難しい。ソリューションの形ごと変えることでもしなければ、顧客が感動することはないだろう。コンポーネントビジネスが基本のFA機器の中で、いち早くライセンスビジネスという未来の形を見いだして実現したGOTは、おんぶにだっこ「される」存在から「する」存在に変わり始めている。

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