Factory Automation

海外レポート

「オートメーションを超え、人に力を」
初開催の「MECA KOREA CUP」観戦レポート in 韓国

2025年12月公開【全3回】

海外レポート

第2回 学生の課題 ― 将来の工場の設計と構築

技術で現実と想像力を結び、未来の工場を組み立てる

プレゼンテーションセッションでは、10チームがそれぞれのアイデアと技術的な成果を発表した。高校生から大学院生までが参加し、未来の工場をテーマにした多彩なプロジェクトが披露された。

漢陽大学「KAI」チーム:AIカメラと協働ロボットを組み合わせた自動組立システムを開発。操作者の位置に応じてロボットの動作を制御する強化学習ベースの技術が特徴である。

東洋未来大学「MCA」チーム:危険物管理に対応するスマート倉庫システムを提案。RFIDによるアクセス制御や3D可視化、CCTV監視などを統合し、高い実用性を示した。

MECA競技会審査団

MECA競技会審査団

慶北機械工業高校「No Errors」チーム:自動PETボトルリサイクル装置を設計。ラベル除去や圧縮工程の利便性向上に注力し、環境問題への技術的アプローチを提示した。

慶北機械工業高校「No Errors」チーム

慶北機械工業高校の「No Errors」チームによるプロジェクト発表の様子。

永進大学校「Elecsys」チーム:ゴルフ練習用の自動ボール返却システムを開発。高齢者やリハビリ利用者向けに、生活の質を高める産業技術の応用を示した。

永進大学校の「Elecsys」チーム

永進大学校の「Elecsys」チームによるプロジェクト発表の様子。

慶北機械工業高校「Winner」チーム:食堂でのトレイ洗浄作業を自動化するシステムを提案。デジタルツインと自動投入機構を組み合わせ、作業負担の軽減を目指した。

韓国ポリテク大学「Supreme」チーム:港湾の完全自動化を目指したシステムを構築。視覚認識、振動制御、リアルタイムシミュレーションなどを統合し、高度な技術力を披露した。

「Supreme」チーム

「Supreme」チームが発表した自動化港湾コンテナクレーンシステム

フィールドインタビュー「配線設計からフルデジタルツイン実装まで」

慶北機械工業高校「Winner」チームのハム・スンウさんは、「この競技会は本当に実践的な学びの場だった」と振り返る。
食堂の人手不足という課題に着目し、スマート調理支援システムを自ら設計・実装。配線からシリンダの組み立てまで、すべて自分たちで手がけたという。
使用した3Dシミュレータ MELSOFT GeminiやSCADAソフトウェアGENESIS™といったデジタルツインソフトは、最初は扱いづらかったものの、トレーニングを通じて習得。「実際にシステムが動いた瞬間の感動は忘れられない」と語り、技術力だけでなくチームワークや自信も大きく成長した」と話す。

慶北機械工業高校「Winner」チーム

慶北機械工業高校「Winner」チームのハム・スンウによるデモンストレーション発表の様子。

競技会では、三菱電機による3日間の技術トレーニングも実施され、ソフトウエア操作や可視化技術、シミュレーションの基礎を学習した。理解が難しかった部分は、日本本社からの教材で補完された。

漢陽大学のパク・ウォヌさんは、「この競技会を通じて、ロボット工学の知識だけでは不十分だと気づいた」と語る。
専攻分野であるロボット工学に加え、PLCとの通信構造を自ら設計することで、産業自動化の複雑さを実感。チームではロボット制御とPCロジックの両方を統合したシステムを構築した。
「PCは単なる制御装置ではなく、プロセス全体の中で重要な役割を担っていることを初めて理解できた」と振り返る。
準備期間は短かったものの、三菱電機によるオンライン講義やチャットでのフィードバック、動画教材などの支援が技術習得の大きな助けになったという。

漢陽大学の学生 パク・ウォヌ

漢陽大学の学生、パク・ウォヌ

使用した3Dシミュレータ MELSOFT Geminiについては「既存のシミュレーターよりも産業プロセスに特化していて、すぐに使えるロボットアセットが豊富。PCとの連携も直感的で扱いやすかった」と高く評価。
最後に、「製造業は厳しい状況にあると言われるが、人材と技術が結集すれば競争力は維持できる」と語り、今後もプロセス自動化とロボティクスの分野で挑戦を続けたいと抱負を述べた。

スペシャルインタビュー①「三菱電機が語る、MECAに込めた哲学」

初開催の競技会の展開を見守りながら、MEAKの山口司は、MECA KOREA CUPの開催について次のように語る。

「韓国ではFA分野の教育が理論に偏りがちで、実践的なトレーニングの機会が限られています。MECAはそのギャップを埋めるための実践型プラットフォームです」と述べ、教育現場の課題に言及。
また、「学生たちは短期間で3Dシミュレータ MELSOFT GeminiやSCADAソフトウェアGENESIS™といった新しいツールを習得し、創造的なアイデアを実装していた」と高く評価した。
今後については、「MECAを韓国国内の大学や高校に広げ、教育と産業界をつなぐ架け橋にしていきたい」と展望を語った。

山口司

山口司は、MECAが製造業の未来のための「社会貢献を原動力とする人材育成プラットフォーム」であると述べた。

スペシャルインタビュー②「AI工場の時代に真の鍵を握るのは人」

センター長 ソン・ビョンフン

センター長のソン・ビョンフンは、MECAを自動化、DX、AIの3つの柱を同時に扱う韓国で唯一の技能競技会であると説明した。

ソン氏が率いるKETI SMICは、自律型製造の研究拠点として、AIサーバーやヒューマノイドロボットのテストベッドを備え、デジタルツイン技術を活用したシミュレーション環境を構築している。

「AIが意思決定プロセスに関与する時代において、技術者・開発者・現場作業員が共通の言語で協力することが不可欠です」とソン氏は強調する。3Dシミュレータ MELSOFT GeminiやSCADAソフトウェアGENESIS™などのツールは優れているが、現場での活用には時間と反復練習が必要である。MECAはそのギャップを埋める実践的な教育プラットフォームとして機能している。
三菱電機が単なる製品提供にとどまらず、現場目線でソリューションを体系化している点も高く評価されている。

「技術は現場で活用されてこそ意味がある。三菱電機は現場を深く理解している」とソン氏は語る。
最後に、「MECAは教育インフラの代替ではなく、若者が産業界へ踏み出すための実践的な入り口です。技術そのものではなく、それを人に伝える仕組みが不足しているのです」と締めくくった。

審査員らの各チームの評価の様子

プレゼンテーション後、審査員らが各チームのデモを評価する。

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