Factory Automation

海外レポート

モンクット王工科大学ラートクラバン校(KMITL)チーム、「三菱電機杯 全国大学生電気・自動化コンテスト(MECA)タイ大会2025」で優勝

2026年1月公開【全2回】

海外レポート

第2回 環境課題に挑むタイと産業界の連携

タイは東南アジア地域における産業大国の一つだ。ほとんどの途上国と同様に、タイもまた、汚染問題から災害に至るまで、広範な環境課題に直面している。中でも、バンコクのような大都市では、環境問題の深刻さが顕著に現れている。タイ国家環境委員会(NEB)は、気候変動法の起草や温室ガス排出量削減計画の実施などを含め、国家方針・新たな規制・及び規制を通じて、気候変動問題に取り組んでいるところだ。その一環として、気候変動環境局(DCCE)は気候変動法案を提出。これは、パリ協定におけるタイの公約を果たすための活動を強化する動きである。その公約とは、2030年までに温室効果ガス排出量を30~40%削減して2050年までにカーボンニュートラルを達成し、2065年までに温室効果ガス排出量のネットゼロを実現するというものだ。

こうした目標の達成のためには、ステークホルダーたちの参加が不可欠だ。三菱電機はこの考えのもと、世界中で自動化ソリューションを提供する大手企業としてコンテストを実施し、技術研修や、SCADAソフトウェアGENESIS™・3DシミュレータMELSOFT Gemini・MELSOFT MaiLab・表示器GOT2000・GT Designer3・エンジニアリングソフトウェアMELSOFT GX Works3といった関連機器を通して、参加チームをサポートしている。

タイ産業の自動化に全力を注ぐ三菱電機

Mitsubishi Electric Factory Automation (Thailand) 社のFA Specific Industrial (FA特定産業)部長、Chalermchai Chompoopeunは、イベントの目標を次のように説明する。「三菱電機では、産業が雇用創出と経済成長の基盤であると考えています。そこで弊社は、『全国フォーラム』で、学生たちが自身の産業技術力を発揮できる機会を提供しています。我々の目標は、タイの経済と産業の成長をけん引すること、そして、公共・教育・民間の3つの主要な分野をつなぐことです」

さらに、「タイMECA大会は、単なるコンテストの場にとどまらず、『コンバージェンス・ポイント(収束点)』としての役割も担っています。学生たちへは、産業界での実社会経験を提供し、起業家たちに対しては、次世代が持つ可能性や、従来の製造業の枠組みを超えたアイデアを検討する機会にもなっています」と語る。

自動化の専門家でもあるChalermchaiは、三菱電機が工場のコスト削減・生産効率の改善・二酸化炭素排出量削減への貢献を目指して自動化技術を推進し、起業家の事業経営効率を向上させることで、タイの経済に利益をもたらし、その結果、国際レベルでの競争力も高めるのだと話を続ける。

タイMECA大会は、学生が貴重な体験を得ただけでなく、イベント主催者にも学びがあった。

Chalermchaは、「このコンテストが、学生・教師・民間にとって、共に学び合う場にもなっていることを実感しました。わずかな投資でも、このようなプロジェクトが、組織と社会の両方にプラスの影響を与えられることを認識する起業家が増えています。また、新しいアイデアやソリューションを体験することに加えて、未来の事業と産業を支える、才能と可能性に満ちた若者を見出すこともできます。まさに、ウィンウィンと言えるでしょう。」とスピーチを締めくくった。

今後、本コンテストは、エネルギー効率の向上、カーボンフットプリントの削減、AIやスマートマニュファクチャリングのような新しい技術など、産業の動向と世界的な課題に重点を置いていく。こうしたテーマは、世界中の起業家の優先事項でもあるためだ。そこでイベントでは、単なる「技術者のコンテスト」としてだけでなく、産業と教育機関を結び、タイのサステナブルな未来を創造する「人材育成のための基盤」でもあるということを、三菱電機のメッセージとしているのだ。

RoboCloud社の取締役であり、2025年タイMECA大会の審査員を務めたPithoon Wattakapast氏は、脱炭素化に向けたRoboCloud社の取り組みについて説明した。「当社は、システムインテグレータとマシンビルダーとの両方の役割を兼ねており、工場の効率的な稼働実現のためのコンサルティングと研修を実施することで、炭素排出量削減に向けた産業組織の自動化システム設計を支援しています」

また、同氏は2025年のタイMECA大会について、次のように語った。「このコンテストは、単なるコンテストの域を越えて、タイ産業の未来に向けて基盤を築くことでもあります。三菱電機から多大なサポートを受け、このプロジェクトは今や2年目を迎えました。この間に、自動化技術と炭素削減構想に対する若者たちの具体的な理解を培ってきました。参加者は、貴重な経験を得るだけでなく、タイの産業をサステナビリティや国際競争力に向けて牽引していく上で、中心的存在となっています。この活動は、真の意味で、今後、この国のけん引力となっていく『知識の種を蒔いている』と言えるでしょう」

若者たちの行く手には、明るい未来が

優勝チームに、彼らの目標と未来、そして今後10年間で達成したいことについて尋ねてみた。

「卒業したら、教育関係の会社を設立するか、講師または教授を目指したいと考えています。その前に、技術者として工場に勤めて、勉強し、経験を積むかもしれません。アイデアがわき次第、徐々にそれを自分の仕事に発展させていきたいと思います。これから10年をかけて、そうした熱い想いを実現していこうと思いますが、それには、相当な努力と長い時間が必要だと、十分に理解しています」とWeerasit Surin-aporn氏は言う。

Phanthakorn Wongwat氏は、自分の将来についてこう語る。「装置の設置や点検が好きなので、計装分野で仕事をしたいと思っています。まず、会社のワークフローに従って仕事をし、自分の可能性を発展させるために新しいことを学んでいきたいと思います。10年後の成功を見据えるためには、ただ単に目の前の仕事をこなすだけでなく、仕事そのものを楽しみ、同時に組織や家族のためにも新たな価値を創造することだと思います」

Aphisit Lakhonkhet氏も、「卒業後は、新しいことに挑戦したいと思います。新しい人たちと仕事をし、新しい視点を切り開くことで、自己を磨き、スキルを向上させたい。今回の経験を生かせるよう、今後10年にわたって企業で技術者としての道を進もうと思っています。そして、将来的には、小さな会社を設立するかもしれません。社会に価値を生みだせるよう、これからも学び続け、自己を成長させながら、情熱を追求していきたいです」と、将来の夢を語ってくれた。

集合写真

終わりに

2025年タイMECA大会は、学生・教育機関・産業界が環境問題について真摯に向き合い、解決へと向けた意欲を示したことで、大成功を収めることができた。三菱電機は教育と産業を結ぶプラットフォームを構築し、学生たちが知識とスキルを社会に生かすための基盤を提供している。この大会は、若者の可能性を引き出すだけでなく、タイ産業の持続的成長に向けて重要なステップとなった。

アンケート

Q1今回の記事に興味関心を持ちましたか?

※必須項目です。選択してください。

Q2Q1で答えた理由を教えてください。また次回題材でご希望があれば教えてください。※なお、ご質問に対する回答はいたしかねますのであらかじめご了承願います。

ご回答いただきありがとうございました

一覧に戻る