特集論文
省エネデータ収集サーバ“EcoServerIII”
2013年8月公開【全3回】
福山製作所 戸板滋人 角田裕明 友田雅雄 佐々木和也
第1回 EcoServerIII
1. まえがき
1997年に開催された気候変動枠組条約第3回締約国会議(京都会議)の結果を受けて、国は1999年4月に省エネ法を改正し、省エネルギーを促進させるため、以後2、3年おきに改定を行い、最近では2008年4月の事業者単位のエネルギー管理の導入を行った。また、2011年3月に発生した東日本大震災の影響で、節電・省エネルギー行動に対する意識が高まり、電力使用状況を管理するエネルギーマネジメントに対する注目が急速に高まっている。電力会社では安定した電力供給の確保が重要な課題となっており、省エネルギーは必要不可欠となってきている。
当社は省エネデータ収集サーバによる、エネルギー使用量の“見える化”、エネルギー原単位管理による省エネルギー支援を展開してきた。
更なる省エネルギー活動の推進を支援するため、見える化機能の充実、生産設備ごとでの原単位管理を考えたきめ細かなデータ収集、監視機能充実化を実現する省エネデータ収集サーバを開発した。データを収集するフィールドネットワークは、従来のB/NETに、CC-Linkを追加し、システム構築対応の幅を広げた。
2. EcoServerIII
2.1 EcoServerIIIの特長
EcoServerIIIは、簡単な設定だけでフィールドネットワークであるB/NETやCC-Linkに接続された計測情報の計測データを収集し、収集した計測データをWebブラウザを使用してグラフ化し、現在値表示させることができ、省エネルギーに必要なデータ分析が簡単に行える機器である。
- エネルギー計測ユニット“EcoMonitorPro”、MDU(Measuring Display Unit)ブレーカ、伝送機能付電子式マルチ指示計器等の計測機器や、MELSECシーケンサが管理している生産情報を収集し、内部に記憶することが可能である。1時間ごとのデータであれば最大6か月分のデータ蓄積が可能である。
- Ethernetを持っており、かつ、内部のHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)サーバ機能によってイントラネット/インターネットへの情報発信が可能である。イントラネット上のクライアントパソコンであれば、Webブラウザを使用し生産情報、計測情報をどこからでも監視、閲覧することが可能である。
- EcoServerIIIが収集した各種電気量の上下限監視を行うことができ、上下限異常が発生した場合にイントラネット上のメールサーバに自動的に通報メールを送り、メールサーバから設備管理者の携帯電話へメール通報を行うことも可能である。
- データを収集し保存、かつ、Web上にデータを配信するために必要となるハードウェア、及びアプリケーションソフトウェアをすべて含めた一体型構成とし、顧客でのソフトウェアの作り込みや追加の手配が不要である。
- 同梱(どうこん)している設定ソフトウェアによって、端末と計測するデータを選択してEcoServerIIIに書き込むだけで、パソコンのWeb画面で各種データを棒グラフ・折れ線グラフ等によって確認できる。
- ソフトウェアのメニュー、ボタン類、操作の流れ、全体の色使いにユニバーサルデザインを適用している。また、主流となっている16:9のアスペクト比にも対応し、ワイド画面の特長をいかした、直感的な操作での使用と、データのわかりやすさが強化されている。
2.2 製品仕様
EcoServerIIIの製品仕様を表1に示す。製品はB/NET版(日本語)、CC-Link版(日本語、英語、中国語)をラインアップしている。

製品紹介

- 要旨 省エネデータ収集サーバ“EcoServerIII”
- 第1回 EcoServerIII
- 第2回 特長及び製品化への技術(上)
- 第3回 特長及び製品化への技術(下)