Factory Automation

特集論文

省エネデータ収集サーバ“EcoServerIII”

2013年8月公開【全3回】
福山製作所 戸板滋人 角田裕明 友田雅雄 佐々木和也

第3回 特長及び製品化への技術(下)

3.2 ソフトウェア構造化設計

EcoServerIIIのソフトウェア開発で、CC-Link、B/NET、MC(MELSEC Communication) プロトコル等、様々なフィールドネットワークに柔軟に対応する必要があり、 開発規模が増大するため、開発効率を高めることが課題であった。 開発効率を高めるにあたり、 まず、現行機種EcoServerIIのソフトウェア資産の流用率をいかに高めるかを念頭に、 ソフトウェア構造化設計を行った。EcoServerIIIサーバ部のソフトウェア構造を図3に示す。
今回の開発で着目したのが、最も規模の大きいWebアプリケーション部であり、 この部分の流用率を高めるため、従来機種とのプラットフォーム差異を吸収できるミドルウェアを開発することとした。 このミドルウェアと、Webアプリケーション間のインタフェースを従来機種と共通にすることで、流用率を高めている。
さらに、ミドルウェア内部では、異なるフィールドネットワークごとに通信制御部をドライバ化し、 機能間の結合度を下げることで、将来的に新たなネットワークをサポートする際の機能追加を容易にした。
今後、このミドルウェアを、当社省エネデマンド監視サーバ“E-Energy”、検針サーバ等、 サーバ製品のプラットフォームとして、順次展開していく計画である。

図3.EcoServerⅢサーバ部のソフト

3.3 トレースログ機能による問題早期解決

EcoServerIIIは、購入ソフトウェアを含む複数のソフトウェアで構成されるため、 障害が検出された場合に問題箇所の特定が困難になることがあらかじめ予想された。 これに対して、各ソフトウェアにおける、内部動作情報をログとして記録し、 問題早期解決に役立てる仕組みを盛り込んだ。 トレースログには、問題箇所の特定に有用な次の情報を記録するようにした。

  1. タイムスタンプ(いつ)
  2. 関数名(実行パス)(どこで)
  3. エラー情報、内部変数値等(何が)

ただし、すべての箇所でログを記録した場合、製品の主機能の動作に影響を及ぼすため、 トレースログ記録の粒度を設定によって変更できるようにしている。
レベル3(粗):エラー情報
レベル2(中):レベル3+実行パス
レベル1(細):レベル2+デバッグ情報(内部変数値)

これによって、通常はレベル3に設定して製品主機能に影響がないよう動作させ、 障害発生時の問題箇所特定時にのみレベル2、又はレベル1に設定して詳細な動作を確認するという使い方が可能となった。
トレースログ機能による効果としては、主に次の二つが挙げられる。

  1. 製品開発評価時の問題早期解決による開発期間の短縮
  2. 設定ミス、配線ミス等による動作トラブルに対してスピーディーなサポート対応が可能

4. むすび

当社は、エコファクトリー活動のノウハウの中から生まれた、省エネルギー支援システムと省エネルギー支援機器を提供している。 今後も引き続き、市場で要求される省エネルギー管理を提供する総合的なエネルギー管理システムを 必要とする顧客に効果的に提供できる製品開発に取り組んでいく所存である。

製品紹介

省エネ支援機器

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Webでのデータ管理はEcoServer におまかせ

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