特集論文
“UL489Listed低圧遮断器”大容量フレーム機種拡充
2014年2月公開【全3回】
福山製作所 倉田康平 上迫彰彦
第1回 市場要求の背景(上):高遮断容量品
1. まえがき
低圧遮断器は、半導体製造装置・自動車製造装置・工作機械等の制御盤や一般受配電盤に多く採用されている。これら装置の大型化、大容量化、グローバル展開に伴い、低圧遮断器としては、遮断容量のアップ、漏電保護機能のAC480V回路への適用や、世界各国の規格への適合といった要求が増加している。
こうした状況の中で、UL489対応機種の総合力をアップさせるため、先に発売された250Aフレーム以下のWS-VシリーズUL489対応機種に続き、400A・630AフレームのUL489対応機種について、高遮断容量品を追加ラインアップするなどの機種拡充を行い、市場要求への対応を図った。
本稿では、これらの市場要求の背景と開発品の概要について、製品ラインアップとともに述べる。

2. 市場要求の背景
2.1 高遮断容量品の要求
北米輸出機械の電気装置(制御盤)には、UL規格(UL508A Supplement(補遺)SB)によって求められた短絡電流定格(Short Circuit Current Rating:SCCR)を、安全規格(National Fire Protection Association 79:NFPA79)に基づき制御盤の短絡性能として表示する必要がある。電気装置使用にあたり、制御盤の入り口での推定短絡電流は、表示したSCCRよりも小さくなるようにしなければならない。また、その際SCCRの値が大きいほど電気設備を構築しやすいメリットがある。
SCCRとは、装置や機器が耐えうる短絡電流の大きさのことであり、従来は、引込み口に設置する回路遮断器などの遮断容量を制御盤の短絡性能として使用していた。しかし、2005年のNEC(National Electric Code:米国の電気設備基準に相当)改訂によって、SCCRを制御盤の短絡性能として表示することになった。
一般に幾つかの電気機器を組み合わせて電気システムを構築するとき、機器間でなんらかの“協調”(保護機器を含む場合には“保護協調”)をとることが必要になる。制御盤全体で協調、特に短絡時の協調を考える場合、いったいどのような指標が適切か、引込み口の過電流保護装置の遮断容量が制御盤の短絡協調を説明しきれるのかといった疑問に対する一つの考えがSCCRである。
製品紹介

- 要旨 “UL489Listed低圧遮断器”大容量フレーム機種拡充
- 第1回 市場要求の背景(上):高遮断容量品
- 第2回 市場要求の背景(下):SCCRやグローバル規格対応
- 第3回 開発の概念・新旧使用比較