特集論文
“UL489Listed低圧遮断器”大容量フレーム機種拡充
2014年2月公開【全3回】
福山製作所 倉田康平 上迫彰彦
第2回 市場要求の背景(下):SCCRやグローバル規格対応
2. 1. 1 短絡電流定格(SCCR)の決め方
UL508A SBでは、SCCRの決め方のステップを1. ~ 3.のとおり規定している。
- 個々の動力回路部品のSCCRを決める。
- 限流要素ごとにSCCRを補正する。
- 制御盤全体のSCCRを決定する。
基本的に動力回路が対象であり、遮断器は定格遮断容量を使用する。このとき、動力回路の各部品の最小値が制御盤全体のSCCRとなる(図1)。

電気設備を構築しやすくするため、SCCRをアップさせる方法として、分岐回路全部品のSCCRが、遮断器の限流性能による通過電流波高値Ip(図2)以上であれば、遮断器と組み合わせての遮断が可能であり協調をとることができる。よって、遮断器の遮断容量を制御盤全体のSCCRとして表示することができる。例えば図3で、分岐回路単品のSCCR5kAより遮断器のIpが小さければ、遮断器との組合せでSCCRは25kAとなる。
これによって、遮断器の遮断性能をアップするとともに高遮断容量品の要求が増加している。

2. 2 漏電保護要求
各種規格で規定されている制御盤の安全保護について、次の方法がある。
- 感電…接地、自動遮断、直接接触保護、間接接触保護
- 熱…エンクロージャ、耐熱材料
- 過電流…自動遮断
- 短絡故障電流…自動遮断
- 過電圧…SPD(アレスタ、避雷器)、接地
- 不足電圧…再起動防止回路、自動遮断
この中で、自動遮断の要求を満たすものが遮断器にあたる。したがって、感電保護(表1)を含め、電源の自動遮断を実施するため、またNFPA79の火災保護に対応するため、危険度の高い高電圧のAC480V回路の制御盤に漏電遮断器を搭載する要求が増加している。

2. 3 グローバル要求
自動車業界や半導体製造メーカーなどの工場の海外進出が加速していく中で、製造ラインを形成する工作機械メーカーや装置メーカーも海外生産を展開し、また設計を簡素化する目的で世界各国共通の制御盤を搭載した装置が増えている。これによって、制御盤を構成する各パーツでは、JIS規格(日本)だけでなく、UL規格(アメリカ)・CSA規格(カナダ)・EN規格(欧州)・GB規格(中国)・IEC規格(国際)の適合要求が増加している(図4)

製品紹介

- 要旨 “UL489Listed低圧遮断器”大容量フレーム機種拡充
- 第1回 市場要求の背景(上):高遮断容量品
- 第2回 市場要求の背景(下):SCCRやグローバル規格対応
- 第3回 開発の概念・新旧使用比較