特集論文
“MELSEC-Qシリーズ”電力計測ユニット
2014年4月公開【全3回】
福山製作所 下江政義
第1回 製品コンセプト・仕様
1. まえがき
近年、省エネ法改正による事業者単位のエネルギー管理の導入に伴い、生産現場における省エネルギーへの取組み強化が求められている。生産設備レベルでは、エネルギー使用量についての実績データを活用したきめ細かな稼働分析による設備稼働率向上と省エネルギーを目的として、生産状況・実績と連動したエネルギー使用量の把握が要求される。
また、設備の稼働率向上という観点から、設備の突発故障によるライン停止の防止を目的とした予防保全用途での設備の電気量計測ニーズも高まってきている。
本稿では、生産設備系のエネルギー使用量を把握する計測器として開発した汎用シーケンサスロットインタイプの電力エネルギー計測器“MELSEC-Qシリーズ電力計測ユニット”のシリーズ展開として、新たにラインアップしたQE84WH、QE81WH4W、QE83WH4Wの3機種について述べる。
2. 電力計測ユニットの概要
2. 1 電力計測ユニットの製品コンセプト
MELSEC-Qシリーズ電力計測ユニットの製品コンセプトは次のとおりである。
- 1スロットで多回路計測が可能。さらに省スペース
三相3線対応品“QE84WH”では最大4回路、三相4線対応品“QE83WH4W”では最大3回路の電力量計測が可能である。
設備のメイン回路だけの計測から、メイン・サブ回路の計測まで、計測ポイントに合わせた機種選定が可能で、省スペース・省コストでのエネルギー管理を実現した。また、三相4線対応によって、海外での計測需要にも対応している。 - “GX Works2”対応で簡単設定
シーケンサのエンジニアリングソフトウェアGX Works2から電力計測ユニットへのパラメータ設定、スイッチ設定が可能であり、 ラダープログラムでの設定が不要となることで、設定がより簡単になった。
また、自動リフレッシュにも対応しており、電力計測ユニットのバッファメモリ上の計測データをCPUユニットのデバイスに移動するためのラダープログラムを作成する必要がなく、エンジニアリング作業負荷低減につながる。 -
よりきめ細かな原単位管理をサポート
計測データを250msごと(単回路品)又は500msごと(多回路品)に直接バッファメモリに書き込むので、タクトごとにきめ細かな原単位管理を行うことが可能となり、 生産ラインや製造装置におけるモータ負荷やヒーター負荷の制御パターンの見直しなどにも役立つ。 原単位を改善することによって、省エネルギーを実現するだけでなく、生産性の向上にも貢献できる。 -
データの見える化もカンタンに
製造現場でのエネルギー情報をより簡単に把握できるGOTでの表示画面サンプルを当社FAサイトから無償でダウンロードできるようにし、顧客でのGOT画面の製作を容易にした。この表示画面サンプルでは、原単位グラフ表示のほかに、電力計測ユニットの設定も行える構成としている。
また、MELSEC-Qシリーズの“高速データロガーユニット“QD81DL96””との組合せで電力エネルギーデータをロギングすることによって、パソコン上での計測データの確認と原単位グラフの表示が可能である。
2. 2 製 品 仕 様
表1に電力計測ユニットの製品仕様を示す。電力量の計量に関しては、4,340Hz(50/60Hzとも)のサンプリング周期で連続計測を行っており、溶接器などの短サイクル負荷の場合でも、正確な電力量計測が可能である。

製品紹介
