特集論文
“MELSEC-Qシリーズ”電力計測ユニット
2014年4月公開【全3回】
福山製作所 下江政義
第2回 製品特長(上):多回路化での処理速度向上技術
3. 特長及び製品化のための技術
3. 1 多回路化での処理速度向上技術
3. 1. 1 データ更新周期の最適化
この計測器は、生産設備系のエネルギー計測をターゲットとしており、きめ細かいエネルギー管理を実現するため、計測データの計測・演算処理の高速化が必要である。
2010年に発売した電力計測ユニット(1回路品、QE81WH)は、電力量や電流等の計測値データの更新周期が250msであるが、
今回の開発では1ユニットで4回路分の計測・演算を行うため、QE81WHと同様の処理を行うと1秒掛かってしまう。
そのため、計測・演算処理の最適化を図りデータ更新周期を高速化する必要があった。
今回のユニットでは、図1のとおり、計測ASICから計測データを取得する処理とCPUで演算する処理を回路ごとで並列に行うことによって、処理時間の短縮を図った。
これによって、4回路計測でデータ更新周期:500msを実現した。

3. 1. 2 電流計測モード
3. 1. 1項で述べたように、電圧、電流、電力量等の複数の計測データを4回路分演算する場合、1回路品と比較すると、データ更新周期は遅くなってしまう。 しかし、予防保全用途や品質管理用途での使用の場合、現行1回路品のデータ更新周期(250ms)より早いデータ更新が求められており、 その要望に応える解決策として、電流だけを高速で計測・演算する電流計測モードを搭載した(図2)。

この電流計測モードでは、電力量の計測は行わず、8回路分の電流だけを100msのデータ更新周期で計測を行う。 また、回路ごとに上下限警報の設定が可能(デマンド電流値での警報監視)であり、設備のモータなど、 異常時に電流が上昇する故障モードの設備の予防保全用途、製品品質管理用途での利用が可能である。
製品紹介

- 要旨 “MELSEC-Qシリーズ”電力計測ユニット
- 第1回 製品コンセプト・仕様
- 第2回 製品特長(上):多回路化での処理速度向上技術
- 第3回 製品特長(下):ソフトウェア対応・機能改善