次世代高機能汎用インバータ
“FREQROL-A800シリーズ”

FREQROL－A800シリーズでは、高速演算が可能なマイクロプロセッサや、独自開発した駆動専用ICを搭載することで、従来機種であるFREQROL－A700シリーズに対して、速度応答、端子応答の高応答化と運転周波数の高速化を実現した（表４、図１）。例えば、紙、糸、電線等の長尺材の加工に必要なライン制御では、ライン速度の変化に対する素早い追従が要求されるため、高応答化が有効である。また、切削、研磨を行う工作機械では、鏡面のような精緻な加工が要求されるため、高速運転が有効である。

表４．FREQROL－A800シリーズの性能仕様

図１．インパクト負荷時の実回転速度変化

センサ（エンコーダ）を使用せずに、磁極位置、速度を検出してPMモータを制御するPMセンサレスベクトル制御をFREQROL－A800シリーズで新たに搭載した。インバータ内部で速度検出を行うため、センサがなくてもACサーボに迫る速度制御を実現し、高精度でPMモータを駆動することが可能となった。例えば、プリント基板の搬送装置の位置制御では、正確な搬送を要求されるため、有効である。

他社製PMモータのセンサレスベクトル制御を可能とするために、FREQROL－A800シリーズでは、PMモータの磁気飽和特性を利用したパルス電圧印加方式によるPMオートチューニング機能を搭載した。図２に示すように、オートチューニング中のパルス電圧を最適化することで、過電流を防ぐことができ、他社製PMモータでもインダクタンス推定が可能になった。図３は、他社製モータでの速度－トルク特性の測定結果であり、他社モータを駆動した際も速度変動なく定格150％トルクを得ることができた。他社製PMモータが駆動可能となることで、三菱製、他社製の誘導モータ、PMモータがいずれも駆動可能となり、在庫、予備品が削減できる。

FREQROL－A800シリーズでは、安全規格（EN ISO13849－1など）に適合する安全回路を搭載している（表５）。従来機種であるFREQROL－A700シリーズでは、外部回路としてMC（electro Magnet Contactor）を２個使用して安全遮断回路を構成する必要があったが、それらが不要となり、低コスト、省スペースで安全規格に適合できるようになる。近年は更に高いレベルの安全規格や安全機能、安全ネットワーク対応を要求されることが増えてきており、それらに対応する内蔵オプションを準備する（対応予定）。

表５．FREQROL－A800シリーズの安全規格対応

インバータの制御電源は、従来機種であるFREQROL－A700シリーズでは単相交流入力であったが、FREQROL－A800シリーズでは、単相交流入力に加えて、DC24V入力を新たに追加した。外部からDC24V電源を入力した場合には、CPUや通信オプション等の制御電源が動作するため、主回路電源をオフした状態でも、パラメータ設定や通信が継続できるようになり、安全にメンテナンスが行うことができる。