Factory Automation

特集論文

MELSEC iQ-Rシリーズ サーボシステムコントローラ

2015年11月公開【全3回】
名古屋製作所 大野宏幸 安藤友典 末松圭司

第1回 ハードウェア

2. ハードウェア

2. 1 新開発SoC採用による基本性能向上

 新規開発したSoCの高速化した演算コアによってモーション演算周期は従来のQシリーズのモーションCPUユニット “Q173CPUN” 比4倍、 “Q173DCPU” 比1.8倍を実現した。また、サーボネットワーク “SSCNETⅢ/H” に対応した通信制御部をSoCに内蔵することによって部品点数を減らすとともに、低発熱設計によってヒートシンクやファンが不要な自然空冷としている。

2. 2 バスの高速化とノイズ対応

 一方、システムバスの伝送速度を3Gbpsとすることで、ユニット間のデータ交換をQシリーズの40倍に高速化した。さらにマルチCPU間専用の定周期通信バスも4倍の高速化を果たした。さらに、各ユニット間でのクロック同期の仕組みを導入することによってモーションCPUユニットはもとより複数のシンプルモーションユニットを使用して大規模なモーション同期システムを構築することも可能とした。
 なお、これらの高速動作と通信を実現する回路の実現には、EMC(電磁両立性)との両立が必要となる。この課題に対しては、基板設計時の電源、GND(GrouND)パターンのプレーン共振シミュレーションを代表としたフロントローディング設計による適切なパターン・部品配置設計によって、外部からのノイズの影響・不要輻射(ふくしゃ)の低減と高速動作の両立を図った。

2. 3 その他の機能向上

 不揮発メモリとしてFRAM(強誘電体メモリ)を採用し、機械の原点情報などの停電保持用に従来必要であったバッテリーを不要とした。これによって、定期的なバッテリー交換を不要としてメンテナンス性を向上させた。また、モーションCPUユニットはSDメモリカードスロット、ドットマトリックスディスプレイの採用によって、大容量データの扱いや視認性が大幅に向上した。

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