Factory Automation

特集論文

グラフィックオペレーションターミナル
“GOT2000シリーズ” の
トラブルシュートソリューション

2016年4月公開【全3回】
名古屋製作所 出口洋平 林和裕

第1回 製品概要

1. まえがき

 当社はFA(Factory Automation)向け表示器事業を1992年にスタートし、三菱FA機器との親和性を武器に事業拡大を行ってきた。2004年7月に “GOT1000シリーズ” を発売し、基本性能の高さ、信頼性の高さ、三菱FA機器との独自連携機能によって他社との差別化を図り、国内外の顧客から高い評価を得ている。
 しかし、スマートフォンやタブレットといったタッチパネル搭載機器の普及などによって、市場環境・要望は刻々と変化している。これら変化に対応するため、アーキテクチャを刷新し、 “Easy&Flexible(使いやすく、自由度が高い)” のコンセプトの下に、2013年9月にGOT2000シリーズを市場投入した。

2. GOT機能強化の背景

 生産装置の異常発生時に、迅速な原因追求や処置によるダウンタイムの短縮が求められ、生産装置の状態をモニタして状況を表示する表示器にはトラブルシューティングのための様々な機能が求められている。生産装置に組み込まれているGOTは、単に装置の操作や状態確認だけでなく、装置に異常が発生した時、問題となっている場所の特定や原因、対処方法の確認を現場で迅速に対応できるようにこれまで多くの機能を開発してきた。
 “トラブルシュートソリューション” として、装置異常の原因となっている回路を検索し、チョコ停のような不意なトラブルに対応できる “シーケンスプログラムモニタ機能” 、パソコンにあるマニュアルの閲覧など遠隔地にあるパソコンをGOTで操作できる “パソコンリモート操作機能” 、GOTで行った操作を時系列で保存し、異常発生時に要因特定や分析に便利な “操作ログ機能” などを提供し、生産現場でのトラブルシューティングに対応している。
 “製造管理・連携ソリューション” として、GOTと接続されたFA機器のデータをMES(Manufacturing Execution System)データベースサーバへ、GOTから直接SQL(Structured Query Language)文を送信し、生産情報を蓄積管理できる “MESインタフェース機能” 、GOTで収集した情報ファイルや材料の配合条件や加工条件などの生産制御データファイルを事務所から読書き可能な “FTP(File Transfer Protocol)サーバ機能” を提供してきた。
 このような状況の中、セキュリティの観点から現場へのパソコン持込みが厳しく制限されている工場が増え、パソコンレスでの問題解決可能な機能が求められるようになった。
 本稿では、パソコンレスで現場の問題を効率的に実施することが可能なトラブルシュートソリューションとして、 “iQSS連携機能” “システムランチャー機能” “駆動連携機能” の3つの機能について述べる。

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