Factory Automation

特集論文

グラフィックオペレーションターミナル
“GOT2000シリーズ” の
トラブルシュートソリューション

2016年4月公開【全3回】
名古屋製作所 出口洋平 林和裕

第2回 製品特長(上)

3. iQSS連携機能

 近年、工場生産現場もIoT(Internet of Things:モノのインターネット)時代が到来し、各種センサでの状態把握が必要となっている。当社ではFA向けセンサ機器の製造・販売は行っていないため、パートナーメーカーの機器をいち早くタイムリーに接続することが求められている。
 一方、センサ自身の進化も目覚ましく、例えば従来センサでは感度ボリウムを回転させてON/OFFを調整していたが、デジタルセンサではティーチング(感度設定)、検出距離変更(応答速度変更)等の操作が可能となっている。センサのデジタル化、多機能化によって調整、管理項目が爆発的に増大している。また、センサの設定項目の増大に伴い、正常時の状態を管理・保管する必要が出てきている。そこで簡単に複数台のセンサの管理を現場で行う、iQSS連携機能の開発を行った。
 この機能は、センサ機器を始めとするパートナーメーカーの機器の運用状況閲覧、パラメータ参照・編集を可能とする。機器のプロファイル(機器がサポートする機能、パラメータ、機器の製品情報等を定義したファイル)を記述する記述言語仕様“CSP+”に基づいてこの機能を実現する仕組みを設けている。
 GOTではiQSS機器のプロファイルを記述したCSP+ファイルを解釈し、各機器に対応した機能を実現する“iQSSユーティリティ”を提供する。
 各機器のCSP+ファイルを変換することで、既存システムに組み込まれているGOTを変更することなくパソコンレスでタイムリーに新たに登場したパートナー機器に対応した機能を提供することが可能となる(図1)。
 機能面ではシステム立ち上げ時や改造時に、センサの機器一覧情報をグラフィカルに表示し、簡単に確認可能な専用画面を用意、現場でのシステム立ち上げ時や改造時の作業時間短縮を実現している(図2)。

図1.iQSS連携機能実現のためのアーキテクチャ
図1.iQSS連携機能実現のためのアーキテクチャ

図2.機器一覧情報画面
図2.機器一覧情報画面

 また、表示位置をリボン状に配置することで操作性を統一した専用画面によるセンサのモニタが可能で、各センサの状態確認によってライントラブル発生時のセンサの状況や交換すべきセンサの特定が現場で容易に可能となった(図3)。
 さらに、今までパソコンがなければ調整ができなかったセンサパラメータの設定確認、変更が可能な専用画面を用意した。現場での調整が可能となったため、立ち上げ時、稼働中の調整時間の短縮を実現した(図4)。

図3.センサ状態モニタ画面
図3.センサ状態モニタ画面

図4.センサ設定値の確認・変更画面
図4.センサ設定値の確認・変更画面

4. システムランチャー機能

 GOTは、シーケンサのラダープログラムを閲覧・編集可能なシーケンスプログラムモニタ機能、シーケンサの動作プログラムをGOTに保管し、万が一のトラブル時のバックアップとするバックアップ/リストア機能など、保守・保全に関する様々な機能を持つ。これら機能はGOTのユーティリティ画面などから個別に呼び出す必要があり、そのたびに通信チャネル・ネットワーク番号等を入力するため、操作が煩雑となっていた。
 これら従来機能の付加価値を高めるため、システム構成図をグラフィカルに表示し、表示されたユニットにタッチすることでそのユニットに対して適用可能な保守・保全に関する機能を起動できるシステムランチャー機能を開発した(図5)。
 さらに、オンラインユニット交換操作に対応し、現場でのユニット交換操作をパソコンレスで実現可能とした。

図5.システムランチャー機能画面
図5.システムランチャー機能画面

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