特集論文
三菱シーケンサ “MELSEC iQ-Fシリーズ”
2016年7月公開【全3回】
名古屋製作所 西本雅規 廣川 悠 梅田剛義 堀川 朋
第2回 製品特長(上)
2. 2 駆動機器との連携強化
iQ-Fシリーズでは、CPUユニット内蔵機能の強化と高速入出力ユニット、シンプルモーションユニットのラインアップで、駆動機器との連携の強化を図っている。
それぞれの概要と特長について述べる。
2. 2. 1 CPUユニット内蔵機能
iQ-FシリーズのCPUユニットは、最大周波数が200kppsで4軸のパルス出力による位置決め機能と、最大周波数が200kHzで8chのパルス入力による高速カウンタ機能を備えている。特に、位置決め機能では、割り込み運転、簡易直線補間運転、テーブル運転による複数軸同時駆動及び動作中の速度・目標位置変更にも対応して、FXシリーズに比べて大幅に機能を向上させた。また、センサ割り込みなどの外部信号によって、シーケンスプログラムとは非同期で20μsの高速起動が可能なため、タクトタイムの短縮にも貢献する。
2. 2. 2 高速入出力ユニット
CPUユニットに高速入出力ユニットを1台増設することで、2軸の位置決め機能と2chの高速カウンタ機能を拡張でき、1CPUユニット当たり最大で4台(位置決め8軸、高速カウンタ8ch)増設可能である。CPUユニットと同じLSIを採用することで安価にユニットを提供でき、なおかつCPUユニットと同じ使い勝手で軸数・ch数を拡張できる。また、1台のユニットで位置決め機能と高速カウンタ機能の両方を兼ね備えているため、従来機種でのシステム構成に比べて、ユニット台数削減による設置面積の縮小やコスト削減が期待できる(図2)。さらに、これまでシーケンスプログラムを必要としていた動作設定のパラメータ化によってエンジニアリングソフトウェアの専用画面で手軽に設定できるため、簡単なプログラムで容易に装置の立ち上げが可能となる。

図2.高速入出力ユニットによる増設台数削減
2. 2. 3 シンプルモーションユニット
食品・包装機械メーカーなどからの要求仕様として多く挙げられる同期制御が可能なユニットは、従来のFXシリーズにはなく、iQ-Fシリーズでは、モーション制御が可能な4軸のシンプルモーションユニットを開発した。これによって、小型機械でも安価に同期制御可能なシステムを構築できる。サーボ高速同期ネットワーク “SSCNETⅢ/H” 通信への対応で装置の高性能化に貢献して、直線補間、2軸円弧補間などの補間制御や同期制御でユーザー装置を止めることなく連続的に動作させることができる。シート長などを設定するだけでロータリカッターのカムデータを簡単に自動生成できるといった特長もあり、設計工数を削減できる(図3)。
また、上位機種である “MELSEC iQ-Rシリーズ” のシンプルモーションユニットと基本機能や使い勝手に互換性を持たせているため、ユーザー装置の制御点数や軸数の増減に応じて機種の移行が容易となっている。エンジニアリングソフトウェアで、ユニットのパラメータ、位置決めデータ、サーボアンプのパラメータ設定やサーボ調整なども行えるため、立ち上げ時間・メンテナンス時間を短縮できる。

図3.カムデータの自動生成
- 要旨 三菱シーケンサ “MELSEC iQ-Fシリーズ”
- 第1回 製品概要
- 第2回 製品特長(上)
- 第3回 製品特長(下)