特集論文
三菱シーケンサ “MELSEC iQ-Fシリーズ”
2016年7月公開【全3回】
名古屋製作所 西本雅規 廣川 悠 梅田剛義 堀川 朋
第3回 製品特長(下)
2. 3 エンジニアリング環境の進化
iQ-Fシリーズのエンジニアリング環境は、グラフィカルで直観的な操作性、トラブルシュートが容易な診断機能を特長とするエンジニアリングソフトウェア “MELSOFT GX Works3” である。MELSOFT GX Works3の新機能で、従来のFXシリーズから大きく進化した点を中心に述べる。
2. 3. 1 ユニット構成図によるパラメータ設定
MELSOFT GX Works3では、シーケンサのユニット接続構成をグラフィカルに設定できるユニット構成図機能を備えている。この機能によって、ユーザーが作成したユニット構成図から、ユニットの動作用パラメータを生成可能である。iQ-Fシリーズは、装着している順番にユニットのI/O番号が割り振られるが、ドラッグ&ドロップによってユニット構成図を作成するだけで割り振られたI/O番号をパラメータに反映できる。
また、各ユニットのパラメータ設定画面を備えており、ユニット構成図上でパラメータの変更を行うユニットを選択することで、容易に各ユニットのパラメータやシステム構成の変更ができる(図4)。

図4.ユニット構成図によるパラメータ設定
2. 3. 2 診断機能の強化
iQ-Fシリーズは、拡張ボードや拡張アダプタでインタフェースを拡張できるようになっており、これに応じてiQ-Fシリーズのユニット診断では、CPUユニットの異常だけでなくCPUユニットに装着されている拡張ボード、拡張アダプタに対しても異常の原因、処置方法を詳細に表示可能である(図5)。さらに、各種ネットワーク診断にも対応する予定である。ネットワーク診断によってネットワークの異常箇所をグラフィカルに表示することで、異常箇所の特定を容易にして、ダウンタイムの短縮に貢献する。

図5.診断機能の強化
2. 3. 3 従来シリーズとの互換性
iQ-Fシリーズは、従来のFXシリーズと高い互換性を備えており、従来シリーズからの移行が容易である。
iQ-Fシリーズは、FX3シリーズの機能を包含した命令やデバイスをサポートしており、エンジニアリングソフトウェアでFX3シリーズのプログラムをiQ-Fシリーズのプログラムに変換可能である。既存設備のプログラム資産をiQ-Fシリーズに変換することで、ユーザーのプログラム作成コストを大幅に削減する。
さらに、既にFX3シリーズでシステムを構成しているユーザーは、FX3シリーズの増設ユニットを接続するためのバス変換ユニットを使用することで、FX3シリーズのインテリジェント機能ユニットをiQ-Fシリーズのシステムに活用可能となり、エンジニアリングコスト削減に貢献する。
3 むすび
MELSEC iQ-Fシリーズのコンセプトを実現するために適用した技術と機能の特長について述べた。今後も、小規模制御に求められるシーケンサを追求して、製造業の革新的な進歩を牽引(けんいん)していく。
製品紹介

三菱マイクロシーケンサMELSEC-Fシリーズは、バスの高速化やCPU内蔵機能の充実化をはじめ、SSCNET III/H対応による位置決めソリューションの大幅強化、エンジニアリングソフトウェアGX Works3による各種機能のパラメータ設定化などエンジニアリング環境を大幅に改善し、新たにMELSEC iQ-Fシリーズとして生まれ変わりました。
スタンドアロンユースからネットワークを含むシステム提案まで、お客様の『一歩先行くものづくり』を強力に支援致します。
- 要旨 三菱シーケンサ “MELSEC iQ-Fシリーズ”
- 第1回 製品概要
- 第2回 製品特長(上)
- 第3回 製品特長(下)