特集論文
エネルギー計測ユニット “EcoMonitorPlus”
2016年10月公開【全3回】
福山製作所 成井徹志
第1回 製品概要
1. まえがき
近年、省エネ法改正による事業者単位のエネルギー管理の導入に伴い、生産現場での省エネルギーへの取組み強化が求められている。また、原子力発電所停止に伴う火力発電の燃料費大幅増加による電気料金高騰の影響もあり、節電対策のためのピーク電力カットによる使用電力の削減や使用電力の見える化による電力消費量監視のニーズが高まっている。これに伴い、計測管理ポイントは分電盤から、生産ライン、生産設備レベルの制御盤へと細分化しつつある。
当社は、この状況に対応するため、単回路・表示付きのエネルギー計測ユニットEcoMonitorLightの開発に続き、ユニットの増設による拡張が可能なEcoMonitorPlusを開発した。
2. EcoMonitorPlus
2. 1 製品仕様
EcoMonitorPlusの主な製品仕様を表1に示す。(表1)
基本ユニットは、簡単に低コストで電力計測を始めたい顧客向けの “電力計測経済品” と高調波計測、警報監視、上下限監視、警報出力やパルス入出力を行いたい顧客向けの “電力計測高機能品” 、及び設備の漏洩(ろうえい)電流の計測を行いたい顧客向けの “絶縁監視品” の3機種をラインアップした。増設ユニットは、同・異電圧の電力計測の要望に応じたユニットの選定を実現するため、 “電力計測同電圧系統増設品” と “電力計測異電圧系統増設品” の2機種をラインアップした。オプションユニットは、既に発売済みである先に述べたロギングユニット、通信ユニットに対応した。
2. 2 EcoMonitorPlusの製品コンセプト
(1) エネルギー管理と予防保全を1台で実現
絶縁監視品で漏洩電流を計測することで、設備の安定稼働や故障前の予防保全に活用可能である。増設ユニットと組み合わせることで設備の負荷や消費電力量も計測でき、エネルギー管理と予防保全を1台で実現できる。
(2) ユニット増設によるシステム拡張
基本ユニットに増設ユニットを3台まで増設可能なため、計測回路の増加に合わせた拡張が容易である(図1)。
オプションであるロギングユニット “EMU4-LM” を基本ユニットに増設することで、基本ユニット、増設ユニットで計測した計測値をSDメモリカードへCSV(Comma Separated Values)ファイルとして保存できる。
また、オプションである通信ユニット(B/NET伝送対応品 “EMU4-CM-B” 、CC-Link通信対応品 “EMU4-CM-C” を基本ユニットに増設することでB/NET伝送・CC-Link通信が可能となり、当社省エネデータ収集サーバEcoServerⅢでエネルギーの見える化を実現し、計測データの簡易分析が可能になる。

図1.ユニット増設による拡張
(3) MODBUS RTU通信機能の標準搭載
本体内蔵のMODBUS RTU(RS-485)通信によって、シーケンサや表示器(GOT)と接続してエネルギー管理を行うことができる。シーケンサで、エネルギーデータを生産情報等と一元管理することで、生産設備ごとのエネルギー消費量計測や、リアルタイム計測による設備の予防保全、生産情報とリンクした品質管理指標への活用などが可能になる。
